チモシェンコ大村のロン・ポール研究+くだらない話

ロン・ポール氏のブログ翻訳を通じて、リバータリアン思想・オーストリア経済学について勉強しています。

自由を懸けた大取引?

2013-10-07 21:36:06 | çµŒæ¸ˆ
Texas Straight Talk 2013/09/29

A Grand Bargain for Liberty?

自由を懸けた大取引?(拙訳:チモシェンコ大村)

私がこの記事を書いている時点では、医療保険改革法(オバマケア)の予算打ち切りあるいは先延ばしを継続予算決議案(訳注1)に盛り込むかどうかで上院と下院は対立しており、連邦政府は閉鎖(シャットダウン)を余儀なくされそうです。閉鎖を目前として、ワシントンでは悲鳴の声が聞かれますが、実際には、このような短期間のシャットダウンによって、政府全体の機能が停止するわけではありませんし、米国が崩壊するわけでもありません。

【訳注1:米国の会計年度は毎年10月1日に始まり、この日までに歳出法案がまとまらなかった場合、継続予算決議(Continuing Resolution, CR)を可決し、継続予算という形で当分の資金不足を賄う。さもなければ政府機関は閉鎖(シャットダウン)に追い込まれる】

また、仮にオバマケアが無効になったり、あるいは先延ばしになるだけでも、米国民にとってはプラスになります。

オバマケアは、米国の医療システムに新たな経費負担や義務を負わせることで、医療の価格を上げ、その質を下げます。このプログラムの資金を打ち切ることで、議会では、患者と医師が医療の主体となる、自由市場をベースにした医療改革法案を採決する時間的余裕が生まれるかもしれません。オバマケアが施行される前に資金を停止させることができれば、この法律がもたらす最悪の結末は避けられそうです。

オバマケアを無効にしようと戦っている人たちがいることには心を励まされますが、残念なことに、真の歳出削減を議論する人はワシントンではごく少数だというのが現状です。もっと残念なことには、軍産複合体の予算カットという、最も理にかなった歳出削減を訴える人はほとんどいません。米国の軍事費は、全世界の軍事費総額のほぼ50パーセントにもなります。しかし、連邦議会の一部の政治家は、何百万ドルものヘリコプター導入計画が中止になれば米国は完全な無防備になってしまうかのように語るのです。

こういった軍事予算がなぜ間違っているのかというと、それは米国民にとってプラスにならないからです。米国の介入主義的外交政策にこれほどの予算を注ぎ込むことは、米国の防衛を固めるどころか、世界中で米国に対する嫌悪を抱かせ、その結果、米国は危険にさらされることになります。したがって、軍事費を削減することは均衡予算を達成するのに役立つだけでなく、わが国のセキュリティを強化することにもつながるのです。

しかし、継続予算決議案の上院案、下院案どちらとも、軍事費削減を盛り込んでいません。それどころか、彼らは、2011年の予算管理法による歳出強制削減を適用した軍事費より200億ドルも多額の予算を承認しました。“苛酷な”歳出強制削減と謳われていたものは、実際のところ、歳出削減ではまったくありません。正しくは、「予定されていた支出増加からの削減」です。つまり、議会は、当初の予定よりも低い割合で支出を増加させるだけなのです。にもかかわらず、彼らはこれを「歳出削減」と呼んでいます。

歳出強制削減によって、向こう10年間の軍事費は、20パーセントではなく18パーセント増額されることになりました。保守派と呼ばれている政治家の一部は、この見せかけの軍事費削減に強く反対する一方で、増税と福祉支出の増額を支持しています。この「大取引」はワシントンの政治家や利権団体を利することになりますが、米国民にとっては災難です。

小さな政府と自由市場を支持する者は、支出増加と増税を認めるような取引をするのではなくて、反戦リベラル派と結託して、軍産複合体と国内の福祉政策の双方に対し支出削減を訴えるべきです。さらに、「金持ち」への増税をするのではなく、すべての企業助成を減額しなければなりません。こういった「大取引」こそが、本当の意味で国民のためになります。

しかし残念ながら、議員が一致団結して軍事費と福祉支出の両方を削減できたとしても、連邦準備制度理事会(FRB)がある限り勝利の可能性は低いでしょう。FRBは国債を貨幣化することで、連邦政府を借金漬けにすることができます。しかしこんなことはいつまでも続きません。この先いつか、FRBの金融政策はハイパーインフレをもたらし、議会が歳出削減をせざるをえないくらいの経済的危機を引き起こすでしょう。幸い、米国が危険な道を進んでいることに多くの人が気づき始めています。彼らが議会を説得し、危機的状況に陥る前に、海外での軍事活動を縮小させ、福祉国家から撤退し始めるようになってほしいと考えています。

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