2015年 01月 19日
非課税贈与促進で、貧富の格差が拡大?
マイアドバイザー®jp登録ファイナンシャルプランナーの浅川陽子です。
先月のブログでも、少し触れましたが、平成27年度から、子育て費用についての非課税贈与制度が創設され、20歳以上の50歳未満の子、孫1人あたり、一括で、1,000万円(結婚資金は300万円以内)まで非課税で贈与できることになります。手続きは、現行の「教育資金の一括贈与についての非課税制度」と同様に信託銀行に専用口座を作成し、入金し、そこから払い出されるというもので、50歳以降使い残した金額については、贈与税が課税になるようです。
また、現在の「教育資金の一括贈与についての非課税制度」も、期限が平成27年末から、3年間延長になり、経済的に余裕のある高齢者から、子、孫への贈与がますます、増えていきそうです。
このような贈与が増えていくと、贈与される側には当然、余裕が生じてきます。同じ収入水準の世帯でも、親や祖父母から援助を受けられるかどうかで、貧富の格差が定着拡大するのではないかともいわれています。
私たち、FPは、住宅取得の資金計画の相談をよくお受けします。平成15年に、「相続時精算課税制度」が創設され、この制度を使って、親から非課税で資金の贈与を受け、住宅取得するという方が増えました。相続時精算課税制度の非課税上限は2,500万円、住宅取得ではさらに、1,000万円の非課税枠の上乗せがあったころもあり、この制度を活用して、親ごさんから、高額な資金援助を受けて住宅取得をするという方も珍しくなくなってきました。
購入できる住宅の価格は、よく年収の5倍ぐらい、と言われていたころ、年収が600万円の30代の方であれば、購入できる物件価格は3,000万円程度になります。しかし、「相続時精算課税制度」を使って、非課税で親から2,000万円の資金援助を受けられれば、5,000万円の物件が購入できることになります。実際に30歳で、親から高額の援助を受け、6,000万円以上の住宅を購入する方の相談を受けたこともありました。
住宅取得資金、子の教育費用だけでなく、子育て費用としてさらに、親等からの援助が受けやすくなってくると、親の経済状態で、貧富の格差が定着拡大もおおいにありえることです。自助努力どころか、「親頼み時代」がやってくるといえるかもしれません。
<今後予定される、子、孫への支援制度>
・教育資金一括贈与についての非課税制度の期間延長
30歳未満の子、孫等1人あたり1,500万円まで非課税で一括贈与できる
平成27年末までが平成31年3月までに
・住宅購入のための贈与非課税枠の拡大
平成27年4月から1,500万円へ
・結婚・子育て費用の一括贈与非課税制度の創設
20歳以上50歳未満の子、孫1人あたり上限1,000万円
(結婚資金は300万円)まで、非課税で一括贈与できる
平成27年4月から平成31年3月まで
・子ども版NISAの創設
親や祖父母が20歳未満の子や孫の代理で専用口座を作って
年間80万円まで非課税で投資
平成28年1月から平成35年末まで(利用期間は5年間)