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インボイス制度導入後の消費税の税額計算はこれから
インボイス制度がスタートしましたが、まずは正しい適格請求書を発行すること、受け取った請求書などがインボイスの要件を満たしているかどうかの判別、免税事業者から仕入れた場合の消費税コードの選択といったことに注力をしている段階かと思います。
この段階でも様々な疑問や対応が必要となり、業務負荷はそれなりにかかっていますよね。ただ、消費税に関しては、最終的に税額の計算を行うという作業が待っています。
通常は、決算のタイミングで行うことになるので、まだ決算期を迎えていない方は、これから想定をしておく必要がある業務です。
インボイス制度の導入に伴って、税額計算の方法も変更があった事項もありますので、今のうちに確認をしておきましょう。
割戻し計算と積上げ計算の2通り
売上税額および仕入税額の計算は、次の①又は②を選択することができます。
- ① インボイスに記載のある消費税額等を積み上げて計算する「積上げ計算」
- ② 適用税率ごとの取引総額を割り戻して計算する「割戻し計算」
売上税額と仕入税額の計算方法の組み合わせは以下の通りとなっています。
売上税額の計算方法で積上げ計算を選択した場合は、仕入税額の計算方法は積上げ計算しか選択ができませんので、注意が必要です。
※仕入税額の積上げ計算の方法として、帳簿積上げ計算も認められています。
積上げ計算を選択する場合のシステム選定
売上税額を算定する際に、各インボイスの消費税の端数処理において切り捨て処理をしている場合には、割戻し計算と比較して、税額が少なくなり納税者に有利になる可能性はあります。
ただ、ここで売上税額を積上げ計算で行う場合に検討をしておかなければならないことがあります。
まず、販売システムと会計システムとのシステム間の連携が図れているかという点です。
システム間連携が仮に図れないとすると、一つ一つのインボイスに対して本体価格と消費税をそれぞれ分けて、手動で2行の仕訳を入力する必要が生じます。そうしなければ正しく積上げ計算ができないからです。
本体価格と消費税を別々で入力するとなると、税込み合計額を1行で入力するのと比較して、事務作業が膨大に増えることになります。結果として仕訳入力等にかかる事務コストの方が、割戻し計算と比較して、消費税の税額が減った分よりも高くついてしまう可能性もあります。
次に、上記のシステム間連携ができたとして、会計システムが積上げ計算に対応しているのかどうかという点です。
インボイス制度導入後に新たに選択が可能となった方式のため、会計システムで対応がされていない場合は、実質的に採用することは難しいでしょう。
それに自社開発システムの場合は、消費税計算に関して積上げ計算に対応させる必要があり、この点は改修コストをかけるかどうかを費用対効果の観点から検討する必要があるといえるでしょう。
会計システムで消費税申告書が完成するのが望ましい
割戻し計算を採用するにしても、消費税額の計算については、会計システムでどこまで対応しているのかを、インボイス制度がスタートしたこの時期に改めて確認することも重要と考えます。
なぜなら、会計システムによっては次に記載のように、会計システムで申告書作成まで対応していないために、決算時に追加の作業の実施をすることになってしまうからです。
こんな会計システムではないでしょうか?
- ・消費税申告書まで作成してくれない
- ・電子申告に対応していない、あるいは申告書システムと連携が図れないので、会計システムで作成された消費税申告書を転記する必要がある
- ・そもそも消費税申告書が作成されない
- ・申告書に転記するための資料が見にくくて、別途エクセル等で集計作業を行っている
- ・免税事業者から仕入れた場合の経過措置に関する集計は別途エクセル等で行う必要がある
- ・積上げ計算には対応していない
消費税申告もスムーズにできれば生産性も向上する
せっかく日々入力してきた会計仕訳があるにも関わらず、最後の消費税額の計算の段階で、スムーズに日々計上してきた結果が反映されずに追加の作業が生じてしまうというのでは、無駄が多いといえるでしょう。
特に消費税申告書を作成する段階は、決算作業の真っただ中で繁忙期にあたります。
繁忙期をいかに効率的に乗り切れるかが生産性向上のカギともいえます。
今一度現在ご利用の会計システムを検証し、消費税申告書がスムーズに作成されるようになっているのかを確認のうえ、決算を迎えるようにしましょう。
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