北朝鮮国連大使 会見で米に貨物船返還要求=制裁の不当性も強調
北朝鮮
2019.05.22 09:31
【ワシントン聯合ニュース】北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は21日午前、国連本部で記者会見を開き、米国が差し押さえた北朝鮮貨物船「ワイズ・オネスト」を北朝鮮に直ちに返すよう求めながら、「米国のあらゆる行動を注視する」と述べた。
北朝鮮が国連で会見を開くのは異例。金氏としても昨年9月の赴任後、初の会見だった。その内容は14日(日本時間)の北朝鮮外務省の報道官談話などと同じで、目新しい内容はなかった。
金氏は米国によるワイズ・オネスト差し押さえは違法で、非道な行為と非難し、北朝鮮に対する制裁も「一方的な制裁」と繰り返した。
会見は15分程度だった。金氏は準備した発言を終えると質問を受け付けた。米朝対話や、北朝鮮で拘束され帰国後間もなくして死亡した米国人大学生の問題など、矢継ぎ早に質問が飛ぶと、「きょうはワイズ・オネストに関する(北朝鮮の)立場を明確にするための会見」として回答を避けた。
続いて、「国連安保理の(対北朝鮮)制裁決議を認めることも受け入れることもしない」としながら、米国による差し押さえは昨年6月にシンガポールで開かれた米朝首脳会談の精神に背くと再び非難。さらに「すべては米国次第」「われわれは米国の反応を鋭く見守る」と強調した。
北朝鮮はワイズ・オネスト差し押さえを機に、北朝鮮制裁全般の不当性を主張する考えとみられる。米政府が北朝鮮への制裁をさらに強化する可能性があると判断し、米国の出方を警戒する一方、国際社会に北朝鮮制裁が不当と訴え緩和を求める狙いがありそうだ。
北朝鮮は2月末、米国との2回目の首脳会談が物別れに終わっている。この貨物船差し押さえを巡っては、外務省の報道官談話を通じて米国を非難したほか、国連のグテレス事務総長に書簡を送って緊急措置も求めた。