避難先の介護施設から、一本の電話がきた。
「お母さんの意識がありません、救急搬送します。」
とるものもとりあえず、新幹線に飛び乗った。
病院で目にしたのは機械につながれた母の姿。
呼吸も血圧も心音も弱くなっているのか、おでこも冷たい
ただ、生かされてる母の姿。
あぁ。こういうの、嫌って言ってたよな?
機械につながれたら、死なせてくれって言われてた。
でもね・・・あたしは母に生きててほしい。1分1秒でも長く。
だから、はずしてって言えなかったんだ。
でもね、言う必要なんてなかった。
母は、あたしが来るのを待ってたように微笑んで心臓を止めたから。
ずっと一人にさせて、ごめんね。
幸せにしてあげられなくて、ごめんね。
後悔ばっかり。
ありがとう、生んでくれて育ててくれて。
こんなわがままな娘につきあってくれてありがとう。
通夜が終わって告別式が終わって、あたしは一人きり。
一人っ子って、こんなもんね。
親戚が少ないうえに縁を切られてる人もいるから、仕方ないね。
ということで、天涯孤独みたい。
かかった葬儀費用、約400万。
戻ってきたお金50万。
葬儀貧乏なお一人様のできあがりです。