最近のオーディオを語るうえで外すことのできないハイレゾ。2013年の秋には、ソニーがハードとソフトの足並みを揃えて本格参入したこともあり(関連記事)、一般ユーザーへのハイレゾ認知度も大幅に上昇した。
ソニーだけでなく、国内オーディオメーカーも本格的にハイレゾ対応オーディオ機器を投入してきたほか、レコード会社からのハイレゾ楽曲の配信も着実に増えるなど、ハイレゾの普及が加速してきている。
そして、今秋もソニーがハイレゾ関連の新製品を一気に投入した。第1回目の今回は、ハイレゾ対応製品を中心に、ソニーの新モデルの概要を紹介していこう。
ハイレゾ商品は売り上げ構成比20%超えを達成
ハイレゾ音源も600タイトルから3000タイトルに増加!!
まずは、9月25日に行なわれたソニーの発表会の概要を紹介しよう。新製品の発表に先立って、マーケティング戦略などの報告が行なわれた。
昨年の本格参入後、ハイレゾ関連製品はオーディオ製品の売り上げ構成比の20%超えを達成(金額ベース)。しかも、プレーヤーやヘッドホンに関しては、1.5万円以上となる中高級機の商品が携帯プレーヤーでは22%、ヘッドホンでは28%と大きく伸張している。
これはつまり、ハイレゾ対応をはじめとした高音質ニーズの高まりと、単価の高いモデルの市場が拡大してきていることを示している。
特に、携帯プレーヤーである「ウォークマン」は、従来の製品と比べて高価なハイエンドモデルである「NW-ZX1」(実売価格7万5000円前後)が世界中で品薄になるほどの人気を見せたほか、その後も各社からハイレゾ対応の高級モデルが次々に投入されるなど、ハイレゾ音源の実力を存分に楽しめる高性能モデルへの人気が高まった。
ウォークマン公式ミュージックストアである「mora」でのハイレゾ音源の配信も、当初の600タイトルから今では3000タイトルにまで増加。売り上げも全体の20%に迫る勢いで増えてきているという。
興味深いのは、購入されたハイレゾ音源での人気曲。アルバム単位での購入、単曲購入のどちらでも全体の半数かそれ以上をアニメ、ゲーム関連の楽曲やアニメ作品の楽曲で知られるアーティストの作品が占めている。
配信されるタイトル数が圧倒的に多い洋楽などに比べると、まだまだハイレゾ音源は決して多くはないが、好調なダウンロード数を記録しているようで、注目度は高い。今後はますますハイレゾでの発売が加速していくことを期待したいところだ。
この傾向は邦楽なども同様のようで、身近な曲がハイレゾ音源で発売されていることで、ハイレゾ音源はますます盛り上がっていくものと思われる。moraとしても、名盤のハイレゾ化を含めてさらに楽曲の充実を目指していくようで、ハイレゾ音源の新譜を含め、来春までの5000タイトルに増加させることを宣言した。
記事掲載当初、「NW-ZX1」の型名が異なっておりました。お詫びして、訂正いたします(2014年9月29日)
ハイレゾ対応製品はウォークマンをはじめ
ヘッドホン6機種など多彩な顔ぶれ
こうしたハード/ソフト業界の動向をふまえて、今秋にソニーが投入する新製品は、ウォークマン1機種、ヘッドホンが6機種、ポータブルヘッドホンアンプ1機種となる。
ウォークマンは、これまでも主力モデルとしてラインナップされていたAシリーズ後継機をハイレゾに対応。昨年登場し、現在も好調な人気を維持している高級機のNW-ZX1、Androidウォークマン「NW-F」シリーズに加え、約3年ぶりに登場した「NW-A」シリーズもハイレゾ対応とすることで、より多くのユーザーにとってハイレゾ音源を身近なものにしよという意図がある。
ハイエンドからややミドルレンジ寄りへと広がったウォークマンに対し、ヘッドホンでは、オーバーヘッド型の「MDR-Z7」、インナーイヤー型の「XBA-Z5」という最上位モデルを投入。
さらに、オーバーヘッド型の主力モデルと言える「MDR-1R」シリーズの後継機となる「MDR-1A」シリーズを2モデル、インナーイヤー型も「XBA-A3/A2/A1」の3モデルを投入とラインナップを充実。
そして、ポータブルヘッドホンアンプも同社としては初めてバランス出力に対応した最上位モデルの「PHA-3」を発表、交換用ヘッドホンケーブルも用意している。
すでに市場が広がっているヘッドホンでは、ラインナップの充実に加えて、ユーザーのニーズの広がりに対応し、バランス出力といったマニアックな楽しみにまで踏み込んだ意欲的なものとなっている。では、それらの新モデルの内容をより詳しく紹介していこう。
次ページへ続く、「実売2.7万円~のウォークマンAシリーズ」
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