Webサイト制作における要件定義書は、クライアントの要望をもとに制作するWebサイトの仕様をまとめたものです。具体的には、各画面遷移や管理画面イメージ、サーバー情報、プログラム開発内容、データベース、セキュリティなどのシステムに関する内容が含まれています。通常、企画提案書で方向性が固まった段階で、要件定義書の作成に取り掛かります。より正確な見積書を作成するためにも必要なものです。
ただし、プログラムやデータベースなどのシステム要素が複雑でない簡単なWebサイトの場合は、企画提案書をブラッシュアップさせて要件定義書の代わりにすることも多いのが実情です。
要件定義書の具体的な作成方法
ヒアリングした内容と企画提案書に盛り込んだ内容をさらに具体的なものにするために整理していきます。企画提案書の段階では制作者側の案も含まれているので、要件定義書にはクライアントが実施したいという確認が取れた部分だけを盛り込むようにします。
Webサイトの場合、一般的なシステム開発とは異なり、画面遷移がほぼすべてを表すことになります。そこで、クライアントが分かりやすいように簡単なレイアウトでの画面遷移を盛り込みながら、必要な画面、機能をまとめていくことが作成のポイントです。
たとえば一般的なWebサイトの場合は、注文、予約、資料請求・問い合わせフォーム、最新情報などのクライアント側で更新するためのWebシステムや、ショッピングカートシステム、メルマガ、会員限定サイトなどを具体的に実現する方法を記入していきます。
要件定義書作成のポイント・注意点
クライアント側では簡単に実現できると思っている機能でも、共有レンタルサーバーでは利用したいプログラムやデータベースが動かない、といったことはよくあります。1つの新機能を追加するためにサーバーの移行が必要な場合もあるので、要件定義書を作成する前にクライアントが利用中のサーバー環境を確認しておくことが大切です。
システムが絡んでくる部分は、より正確な見積書を作成する際のランニング費用やソフトウェアなどのライセンス費用にも関係してきます。プログラムを新規開発するのか、それとも既存のWebサービスで実現可能なものなのか、システムを担当するスタッフへ確認を取りながら慎重に書類を作成してください。
きちんとした要件定義書が作成できれば、正確な見積書を作成でき、実際に受注したときには制作スタッフへの説明にも役立ちます。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。