ヒアリングシートとは、クライアント企業の希望に沿ったWebサイトを制作するために、要望を正確に聞き出す目的で作成する質問リストのことです。ヒアリング時の質問内容を事前に用意しておくことで聞き洩らしを防ぐとともに、プロジェクトに対する意気込みをクライアントに伝えられます。
ヒアリングシートは、ミーティング時に全員に配布するアジェンダとは異なり、基本的には制作サイドでクライアントに確認しながらその場で記入します。作成後は、聞き出した要望を制作スタッフと共有するための内部資料として使用します。
ヒアリングシートの具体的な使い方
ヒアリング当日は、クライアントが理解しやすい言葉を使って、事前に用意しておいた質問を1つずつ聞いていきます。制作会社では当たり前に使っている用語が、クライアントの担当者にとっては難しい言葉であることはよくあります。また、会話の中で互いに使っている用語が違う意味を指している場合もあります。ITに明るいと思われるクライアントであってもWebやIT全般に詳しいとは限らないので、齟齬がないように十分確認しましょう。
Webサイトの場合、リニューアルか新規制作かによってヒアリング内容が若干違ってきますが、以下のような点を中心に確認していきます。
・Webサイトの目的
・Webサイトのメインターゲット
・サーバー環境
・スケジュール
・予算感(教えてもらえる場合)
リニューアルの場合はさらに、
・現行のWebサイトで困っていること
・今回のリニューアルで解決したい課題
も合わせて確認します。
ヒアリングシート利用時のポイント・注意点
参加者ごとに異なる意見が出る場合も多々あります。ヒアリングシートには、ミーティング参加者の誰が発言した要望なのかも記入しておくことが重要です。次回の提案時には要望の発言者に反映した内容を伝え、要望を反映しない場合はしない理由を発言者に説明する必要があります。
また、互いの人間関係が構築される前にヒアリングシートに沿って機械的に質問ばかりすると、警戒心を感じさせてしまう場合もあるので注意します。特に、リニューアルのときには、現状の問題点や課題をありのまま話してもらうためにも、「医者と患者の関係」と同じような信頼感を作っていくことを心がけましょう。
著者:水野良昭
JWDA(一般社団法人日本ウェブデザイナーズ協会)理事。1968年東京都生まれ。商社7年勤務後、シリコンバレーに渡米。帰国後、自治体WEBサイトを構築。その後ISPにてグループウェアASP商品化。第13回 KSPベンチャー・ビジネススクール 準優秀賞受賞。同ビジネスプランにて、オンラインデスクトップ株式会社を設立。