ドコモに続く規模のKDDIブース。まず端末では発表されたばかりのiidaブランド「LIGHTPOOL」をメインに推した展示になっていた。
KDDIブースではR&D関連に興味深い展示が数多かった。まずはAR関連。同社の「実空間透視ケータイ」と「セカイカメラ」の統合が行なわれるなど(関連記事)、以前から力を入れているが、ゲーム「アイドルマスター」のキャラを展示に用いるなど多くの人を集めていた。
同社のAR技術については単純な位置情報を認識する技術以外に2つのポイントがある。それが「高速背景領域抽出機能」と「実空間上に存在する矩形オブジェクトを高速認識」するというのも。前者はカメラに表示されたリアルな建物などと、エアタグによって表示されたキャラクターを同時に表示する場合、建物と背景の間にキャラクターを表示することで、遠近感のある画像に見せるというもの。
後者については街中の看板や絵柄などを認識して、その看板に紐付けされたエアタグやキャラクターなどを表示する。オブジェクトの認識は一瞬で、しかもそのエアタグからウェブサイトへのリンクなども貼ることができるので、新しい形の広告やPRへの可能性が考えられる。
次世代の技術については、LTEに関しては全体的な取り組みを示すのみとやや物足りなかったが、auにとっての課題となるWiFi端末の充実、フェムトセルによる通信環境改善など、同社として抑えるべきところをいつ展開するかというロードマップはわかりやすく展示されていた。
すでに提供がスタートしているauフェムトセルの実機が展示されていた。auではユーザーからの電波状況に関する相談があった場合、48時間以内に何らかの連絡を行なうというサービスを行なっている。その際の調査でフェムトセルへの適合があった家庭に実際の基地局を提供する。またauの場合、フェムトセル専用の周波数帯を利用する。2009年夏以降の既存モデルについても対応が可能。
一方でマルチメディア放送技術の「MediaFLO」については、すでにアメリカで商用サービスがスタートしていることもあり、実際のデモ機なども展示されていた。受信機内蔵携帯電話などのほか、無線LAN経由でコンテンツをiPadに転送するデモもあった。
一方、今後のサービスとは直接関係しないものの、KDDI総研で研究中のR&D技術については、興味深いものも多数あった。
災害などで基地局の機能が停止したときにキャリアを問わず携帯電話を利用するキャリアフリー通信技術。ワンセグデータ放送を用いて災害情報を放送するとともに、まだ稼働する通信会社の携帯電話を中継することで基地局が停止した通信会社のユーザーも電子メール送受信可能とするといったアイデアが展示されていた。実現のためにはキャリア間の連携や新たな端末なども必要など先は長そうだが、災害時の通信手段確保として実現してほしい技術だ。
携帯電話としてのサービスではないが、無線LANを搭載した機器が増加している現在だからこそ注目されるのが「無線LAN混雑度モニター技術」。回線が逼迫している3G通信から、無線LANへとトラフィックを逃がそうというアイデアはしばしば聞かれるが、実際には無線LANも混雑が激しくなっている。そんな無線LANの混雑度をリアルタムにグラフ化する。実際の製品への組み込みなどはまったく未定だが、端末やアクセスポイントが空いたチャネルを探して自動設定するといった状況が考えられている。