家電メーカー各社とも、2009年新春モデルのハイビジョンビデオカメラでは、従来機種と比較して高画質化を追求した新製品をラインアップしてきている。ソニーが15日に発表した新しいハイビジョンハンディカム「HDR-XR520V」「HDR-XR500V」は、同社が開発した新CMOS撮像素子を利用して、大幅な高画質化を実現している。
XRシリーズの高画質は、特に暗所/暗部の撮影で威力を発揮する。高画質化のポイントは、新たに採用した撮像素子「1/2.88型Exmor R CMOSセンサー」にある。従来のCMOSセンサーは、「レンズ→配線層→フォトダイオード」という順番で光が流れていたが、配線層で光が幾分遮られてしまうので、受光部に届く光の量が減り、特に暗所撮影の際に画質の低下を招いていた。一方で、ソニーが2008年6月に発表した「裏面照射型CMOSイメージセンサー」では、構造を変えてフォトダイオードを配線層の裏面に配置。配線で光が妨げられることをなくした。これによって、感度向上とノイズ低減の両立に成功。高画質化に大きく貢献している。
撮影サンプルを見たが、暗所撮影時の高画質化は驚くほど。ノイズが多く精細感に欠けた従来機種での画面に比べると、特に精細感が大幅に向上している。画素数は従来の上位機であった「HDR-SR12」と比べて、1.2倍の約663万画素(有効画素数は約415万画素)だが、数字以上に高精細に感じる。暗い室内や夜景での撮影には威力を発揮するだろう。
内蔵HDDの大容量化により、録画時間も大きく伸びた。最上位機であるHDR-XR520Vの場合、なんと240GB HDDを内蔵。ハイビジョン画質での最大録画時間は約101時間にも達する(XR500Vは120GBで約50時間)。録画形式やビットレートは従来機種と同様で、AVCHD方式の約16Mbpsが最高となる。静止画撮影機能も強力で、静止画モード時は約1200万画素、動画撮影中の同時撮影では約800万画素での静止画撮影が可能だ。
レンズはカール・ツァイスの「バリオ・ゾナーT*」から、自社の「ソニー Gレンズ」へと変更された。光学ズームは12倍、デジタルズームは150倍までとなっている。さらに、内蔵する光学式手ぶれ補正機能も強化され、「歩きながらの撮影」といった従来では補正しきれなかった大きなブレでも、大幅に軽減して見やすい映像を録れる。
映像処理エンジン「BIONZ」による、顔認識機能や笑顔認識機能「スマイルシャッター」といった特徴も、従来機種から継承している。また、新たにGPS機能を内蔵。撮影映像/画像に位置情報を組み合わせた、新しい楽しみ方を提案している。
記録媒体は内蔵HDDのほか、メモリースティック PROデュオ/PRO-HG デュオに対応。付属バッテリーによる連続撮影時間は、最大約1時間30分となっている。撮影時質量は約590g。
主な仕様は以下のとおり。発売日は2月20日の予定。価格はオープンプライスで、予想実売価格はXR520Vが15万円前後、XR500Vが13万円前後と想定されている。
HDR-XR520V のスペック | |
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撮像素子 | 1/2.88型 Exmor R CMOSセンサー |
有効画素数 | 動画約415万画素(16:9時) |
レンズ | F値:1.8~3.4、焦点距離:f=5.5~66 mm(35mmフィルムカメラ換算時 43~516mm) |
ズーム | 光学12倍、デジタル150倍 |
ディスプレー | 3.2型ワイドタッチパネル 92.1万ドット |
記録メディア | 240GB HDD |
動画記録時間 | FHモード(16Mbps)時:約29時間10分、LPモード(5Mbps)時:約101時間 |
メモリーカード | メモリースティック PROデュオ/PRO-HG デュオ |
インターフェース | HDMIミニ出力、USB、AVリモート端子 |
連続撮影時間 | 約1時間30分 |
本体サイズ | 幅71×奥行き137×高さ75mm |
重さ | 約590g(撮影時質量) |
予想実売価格 | 15万円前後 |
HDR-XR500V の主なスペック | |
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記録メディア | 120GB HDD内蔵 |
重さ | 約580g(撮影時質量) |
予想実売価格 | 10万円前後 |
それ以外の主な仕様はHDR-XR520Vと同等 |