編集者なら、手紙は「縦書き」で書きなさい?!
2006年 12月 23日
作家の読書道:第62回 夏石 鈴子(WEB本の雑誌)
夏石 : 私自身、編集部のすみにいましたので、なんとなく相性が分かるんです。例えば編集者からの手紙が、花柄の横書きの便せんで、ボールペンで書かれてあると、それは困るんです。編集者なら、縦書きで書くべきなんです。日本語を横書きで書いてくる人に、ゲラの段階で「ここの文章のつながりが…」と言われても、私は言うことを聞く気になりません。私の問題ではあるけれど、どこまで信じられる人なのか、ということで仕事を決めます。締め切りを言われたって、校了日がこうならばこの締め切りはサバを読みすぎておかしい、と思う。あの、嫌な書き手です。すみません。「日本語を横書きで書く」ことが、日本語の本をつくる編集者にとって致命的な欠点であるかどうか、というのは正直僕には断言できません。
しかし、文藝春秋の社員時代、司馬遼太郎さんの原稿の清書係だった(とどこかで読んだ覚えがあるのですが、間違っているかも……)彼女なら、日本語の文章にたいしてそういう態度で接しているというのは想像がつきそうなもの。
編集者たるもの、一緒に仕事をしたい作家の人となりをおさえ、手紙の書き方一つとっても気を抜くな、という教訓ぐらいに思うのがいいのかなと。
もっとも、最近は小説でさえ横書きのものも出ていますし、「私は縦書きの手紙を送ってくる編集者とは仕事しない!」なんて作家も出てくるかもしれませんね……