2019年11月27日(水)20:30
秋はホビーイベントのハイシーズン「TAMASHII NATION 2019」「AK-GARDEN」レポート
ホビーイベントといえば世界最大規模で最も有名なのが2月と7月の「ワンダーフェスティバル」ですが、実は秋がホビーイベントのハイシーズン。毎週のように何かホビー系の情報を含むイベントが開催されています。本コラムでも9月の「全日本模型ショー」や10月の「『ねんどろいど』シリーズ1000番記念展示会」などのレポートをしましたが、それ以降に開催されたイベントからいくつか気になったネタをピックアップしてみます。
TAMASHII NATION 2019
10月24日から秋葉原で開催されたBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部のイベント。会場は2つあり、秋葉原UDXではロボ中心の展示、ベルサーレ秋葉原ではフィギュア中心の展示が行われていました。
ロボ系はガンダムが中心ですが、70年代~90年代のメカものあれこれも目立ちました。
巨大な「大空魔竜ガイキング」(写真左)や、マトリョーシカのような分身合体&可動を両立した「闘士ゴーディアン」(写真中)、艦首衝角の格納ギミックや内部コンピュータも再現した「宇宙海賊ハーロック」アルカディア号(写真右)などなど。メカものプラモデルジャンルでも同様の傾向があるのですが、最近この時代のものが続々と商品化されているのです。これは企画者側も購買者側もそこに反応する同世代が中心になってきているということでもあるのです。
やはり気になるのは、エヴァンゲリオン関係。いよいよ来年6月に全4部作の4作目となる「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開となりますが、いち早く公開されたメカ関係が立体化&展示されていました。エヴァ関係は上映開始時まで事前情報がほとんど出ず商品化が遅くなったこともありましたが、今回は特報などでいろいろなシーンが出ており、そこからの立体化となります。かなりの大ボリュームだったり複雑な形状だったりするので、これが実際にどこまで商品として出るかは分からないですが……。フィギュア系のFiguarts miniではチルドレンの展示もありました。
フィギュア系では、今回特に人気が高く一般日には見るための長い行列もできていたのが「仮面ライダー」シリーズ。「仮面ライダージオウ」や「仮面ライダーゼロワン」など最新作が並ぶ一方で、イベント直前に発表されていた「仮面ライダーオーズ」アンクのフィギュアが話題になっていました。
アンクもそうですが、デジタル塗装を使った実在の人物再現はさらに精度を増し、本当にそっくりなものが登場するようになっています。これまでのラインナップに加えて、「ボヘミアン・ラプソディー」で人気再燃したクイーンのフレディ・マーキュリーのライブ・エイド仕様の展示も。デジタルスキャンしてそれをそのまま小さくすれば良いというものではなく、サイズに合わせた造形&塗装両面におけるデフォルメが必要になるのですが、そのノウハウが貯まっていることを感じさせてくれる展示でした。
Figuarts miniも力が入っているラインアップと展示。目の輝きを再現するためにこういうパーツ分割をしてますという展示が行われていました。ラインナップも「Fate/Grand Order 絶対魔獣戦線バビロニア」や「鬼滅の刃」など最新の人気作もラインナップ、かなり幅広いものになっています。現在国内のデフォルメフィギュアではねんどろいどが一強状態ですが、世界に目を移すとFUNKOのPOP!というシリーズが桁外れの市場を作っています。このあたりへの対抗策という意味でも気になるシリーズなのです。
今後の展開が楽しみなものとしては、写真NGで展示されていた可動フィギュアも。「ドラゴンボール」孫悟空などがありましたが、腕などの関節部分にジョイントは見えず内蔵する仕組みで、筋肉部分は軟質素材を使っているようでした。このあたりの正式発表と実際の商品を早く見たいところです。こういった新たな最先端の技術や素材によってどうフィギュアジャンルが変わっていくか、注目です。
AKーGARDEN
一方、11月17日に東京流通センターで開催されたのが、小さな模型好き、小さな人形好きのためのお祭りであるAK-GARDEN。以前紹介したこともありますが、可動キット、ガレージキット、ミニドール、ミニチュア等を中心とした立体製作物の展示即売会で、現在もっとも上り調子のホビーイベントと言えるでしょう。
その多くはアマチュアディーラーですが、最近はメーカーも多く参加するようになりました。その中からいくつか気になったものを。
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ある意味会場でいちばん笑えたのが、ダイキ工業のおやじ着物ver.。これまで1/12スケールのおやじやオーク&ゴブリンを出していましたが、今度は時代劇なのです。他メーカーの可動フィギュアと絡めて遊べる悪役フィギュアとして秀逸! 他にも会場にはこういった遊び心にあふれたものが数多く並んでおり、このジャンルの勢いを感じさせる一面となっています。
素材、方向性として注目なのがマックスファクトリーのfigmaを巡るあれこれ。半透明のエラストマー系の特殊な成型品を使って伸縮性を持った水濡れTシャツ風にしたり、布を使った衣装を発表したり。ビキニアーマーボディや、自転車乗り(自転車はプラモデルとのこと)など、替えボディも増えています。以前からプラ系以外の異素材をfigmaで使う試みはされていました(不織布で「空の境界」式の着物を作ったことも。未発売ですが)が、いよいよ本格化してきているようです。figmaはキャラクターを再現した可動フィギュアという部分だけではなく、こういったオリジナルキャラクター展開にも力を入れるようになっています。これもこれからのフィギュアのあり方として要注目です。
他にも11月にはゲームセンターにあるプライズの展示会の「プライズフェア」や、問屋の展示会の「宮沢模型 秋の商談会」などがありました。それぞれ業者向けで一般公開はされていない展示会ですが、プライズや一般商品の現状が分かるイベントでした。そのレポートは「ホビーマニアックス」()でまとめているので、そちらもご覧ください。
今週末、11月30日には秋葉原UDXで「メガホビEXPO」、アキバCOギャラリーで「ワンホビギャラリー」が開催されます。それぞれメガハウスとグッドスマイルカンパニー&マックスファクトリーが主催するもので、無料でフィギュアの最新作が一挙に並びます。
また、12月1日には東京ビッグサイトで「キャラフェス」が開催されます。こちらは「トレフェス」の流れをくんだ当日版権のイベント。
フィギュアジャンルのさまざまな側面を続けて楽しむことができる機会なので、どれも見逃せないイベント。秋のホビー系イベントラッシュの最後を締めくくるものとなります。ぜひフィギュアジャンルの最先端に触れてみてください。
ホビー&フィギュア トレンド
[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ) フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。
作品情報
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