Lenovo Legion Y700 Gen 4レビュー。8 EliteやデュアルUSB-C搭載の8.8インチ小型タブレット

Lenovo Legion Y700 Gen 4

Lenovo Legion Y700 Gen 4を購入しました。

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microSDカードも使える高性能小型タブレット

Lenovo Legion Tab Y700 Gen 4はSnapdragon 8 Eliteや8.8インチディスプレイを搭載した小型ゲーミングタブレットです。

前モデルで廃止されたmicroSDカード対応が復活し、大容量な動画や音楽ファイルなどを保存しておけるようになりました。

デュアルUSB-Cポートやバイパス給電など便利な機能はそのままに、バッテリー容量は7600mAhに増量され重さは約340gに軽量化されています。

ただ、ストレージやメモリは新規格になったにしては前モデルと大きく速度は変わらず、実ゲーム性能も大きな改善は見られませんでした。

他社が有機ELディスプレイ搭載小型タブを出す予定があるなど小型タブはY700シリーズの独壇場とはいかなくなってきていますし、次モデルでは大幅な進化をしてくれることに期待したいと思います。

このレビューは12GB+256GB版・TB322FC_CN_OPEN_USER_Q00041.1_V_ZUXOS_1.1.10.051_ST_250513で行っています。

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  • 高い性能のSnapdragon 8 Elite
  • 高解像度になった8.8インチディスプレイ
  • バイパス給電対応7600mAhバッテリー
  • デュアルUSB-Cポートで一方は映像出力対応
  • microSDカード対応
  • 前モデルからの進化は小さめ
  • ゲーム時の電力効率はあまり良くない
Lenovo Legion Y700 2025・Gen 3 (TB-321FU) Lenovo Legion Y700 Gen 4 (TB-322FC)
OS Android 15 Android 15
RAM 12GB / 16GB LPDDR5X 12GB / 16GB LPDDR5X Ultra
ストレージ 256GB / 512GB UFS 4.0 256GB / 512GB UFS 4.1
SoC Snapdragon 8 Gen 3 Snapdragon 8 Elite
ディスプレイ 8.8インチ
2560 x 1600
アスペクト比 16:10
165Hzリフレッシュレート
LCD
8.8インチ
3040 x 1904
アスペクト比 16:10.02
165Hzリフレッシュレート
LCD
サイズ 208.5 x 129.5 x 7.8mm 207.58 x 128.5 x 6.99 mm
重さ 実測351.3g 実測346.7g
リアカメラ 13MP
+ 2MP (マクロ)
50MP
フロントカメラ 8MP 8MP
バッテリー 6,550mAh 7,600mAh
USB端子 USB Type-C (USB 3.2 Gen 2 + USB 2.0) USB Type-C (USB 3.2 Gen 2 + USB 2.0)

ç®±

説明書、充電ケーブル、68W USB Type-C充電器が付属しています。

保護フィルムは貼られていません。

画面サイズやインカメラの位置が変わっていないため、Lenovo Legion Tab (8.8”, 3)用の保護フィルムを流用できるようです。

付属品

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ディスプレイ:高解像度に進化

Lenovo Legion Y700 Gen 4は8.8インチ3040 x 1904解像度のディスプレイを搭載しています。

Lenovo Legion Y700 2025では2560 x 1600解像度だったため、より高解像度になって鮮明な表示が可能となりました。

アスペクト比は16:10.02で、動画再生時は黒帯が出ます。

ディスプレイ

マンガは見開き表示でき、見やすいです。

マンガ

明るさを最大にして全白画像を表示した状態で輝度をLX-1336Bで計測すると、最大635nitに達しました。

相変わらずあまりコストの掛かっていないLCD搭載なので、そろそろ有機ELやよりハイエンドなLCDパネルに変えて最大輝度や色表現のアップグレードに挑戦してもらいたいところです。

明るさ

nitとは?

明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。

屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。

ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。

600nitを超えるのは「明るさの改善」がオンで直射日光下のときだけで、屋内などでは明るさを最大にしても344nitほどとなります。

明るさ

リフレッシュレートは165Hz対応です。

アプリ個別に設定できるようになっていて、165Hz対応アプリとして認識されたアプリ以外では最高144Hzとなります。

開発者向けオプションに165Hzを強制するオプションがあるため、有効にすればアプリ側が制限していない限りは165Hzにできるようになります。

リフレッシュレート

内部的には90Hzや120Hzにも対応しています。

ディスプレイ

タッチサンプリングレートは208Hzほどでした。

タッチサンプリングレート

WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計35.4msでした。

前モデルY700 2025では47.4msだったため改善はされているようですが、ゲーミングタブレットとしては20ms台を目指して貰いたいところです。

WALT

タッチ遅延とは?

画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。

この数値が小さいほど、素早く反応するということです。

ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。

Widevine L1で、Amazonプライムビデオなどで高画質なストリーミング再生ができます。

DRM

背面:指紋汚れは目立ちにくい

背面はマット加工されており、指紋汚れなどが目立ちにくいです。

カメラは50MPにアップグレードされており、出っ張ったままです。

背面

重さは346.7gです。

Lenovo Legion Y700 2025よりも少し軽量になっています。

スリムになってバッテリー容量も増えたのに軽くなっているというのは素晴らしいです。

重さ

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スピーカー:大きな進化はなし

Lenovo Legion Y700 Gen 4はステレオスピーカー搭載です。

横持ちしたときに左右対称になるようになっています。

音量は十分なものの、5段階ぐらいで背面が少し振動し始めます。

スピーカー

Dolby Atmos対応で、「ダイナミック」のままだとボーカルがやけに強調され低音や高音が目立ちにくくなっていました。

「音楽」にしたほうがバランスが良い気がしますが、それでも低音のベースなどは控えめな印象です。

Dolby Atmos

Bluetooth Codec Changerで対応コーデックを確認するとAAC / aptX / aptX HD / aptX Adaptive / LDACに対応していました。

Bluetooth

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ポート:デュアルUSB-Cで映像出力も

バッテリー容量は7600mAhで、68W急速充電が可能です。

やたらと偏っているのが少し気持ち悪いですが、実用面ではあまり大きな影響はないでしょう。

挟み込んで使うタイプのコントローラーで余裕のない設計がされている場合は問題が起きる可能性があります。

USB Type-C

ゲーム中はバイパス給電ができるようになっており、ダイレクト給電によりバッテリーへの負荷や発熱を抑えつつ長時間のゲームプレイができるようになります。

バイパス給電

80%までで充電を止めたり、長時間の充電時に40~60%の間で維持したりするバッテリー保護機能があります。

「充電保護」は過充電への保護にはなりますが40~60%未満になれば充電が再開してしまいますし、80%になると充電が止まる「最大充電量制限」のみで十分な気がします。

バッテリー保護

2つのUSB Type-Cポートを搭載しており、長辺側のポートはUSB 3.2 Gen 2で高速なデータ転送ができます。

USB Type-C

DisplayPort Alt Modeでの映像・音声出力にも対応しています。

映像出力

映像出力時には画面をミラーリングするか、拡張するか選べるようになっています。

PCモードでマルチウィンドウ操作もできるので、まるでノートPCのように使うこともできます。

出力

上部側面にはmicroSDカードスロットがあります。

2TBまでのカードに対応しています。

動画や音楽ファイルなどを大量に保存しておけるので、クラウドサービスではなくローカルですぐ使えるようにしておきたい方にはかなり便利になりました。

microSDカードWi-Fi 7に対応していますが、中国では6GHzがWi-Fi用として使えないため6GHzは無効化されています。

Wi-Fi

近接センサーやジャイロスコープなどを搭載しています。

センサー

性能:高いFPSを維持、ただし消費電力は大きい

Lenovo Legion Y700 Gen 4はSnapdragon 8 Eliteを搭載しており、重たいゲームでも高いフレームレートを維持しやすいです。

ただ熱制御が控えめなことで消費電力は抑えられておらず、電力効率でいうと8 Gen 3搭載のY700 2025からあまり改善されていません。

 

Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア2994・マルチコア9476、通常版でシングルコア2994・マルチコア9450でした。

大きな差がないため、パッケージ名判定での性能制御は行っていないようです。

ゲームアプリとして登録しなくても、すべてのアプリでフル性能を発揮します。

CPU

パッケージ名偽装の必要性

AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。

通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。

メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。

そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。

こちらの記事で詳しく解説しています。

Geekbenchのスコアとは?

背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。

シングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。

ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。

パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア6682→4289でした。

高い性能を維持できるのは良いものの、スマホより放熱しやすいはずであることを考えるともっと安定度は高くなくてはいけないように思います。

3DMark

3DMarkのスコアとは?

Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。

スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。

あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかないため、人気ゲームがほぼVulkan APIを使っていないことを考えるとスコアはあまり役に立たず、GPU使用時の発熱具合の確認が主となります。

Vulkanで性能が出るならOpenGLでも高い性能だろう、発熱しやすいなら実ゲームではFPS維持が難しいだろうといった推測しかできません。

ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) では何故か途中で計測が止まってしまい、計測できませんでした。

 

UFS 4.1ストレージ、LPDDR5X Ultraメモリを搭載しています。

CPDT Benchmarkで計測した結果では、リード・ライト共にトップクラスの速度でした。

シーケンシャルリードは他社のハイエンドスマホに比べると少し遅めですが十分でしょう。

CPDT

ストレージ性能とは?

シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。

ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。

CPUの使用率が高い原神をパフォーマンスモード・最高画質・60FPS設定・ナタ (ムアラニでスキルを使って道なりに移動) で30分プレイしてScene 8で計測すると、平均59.9FPSで1FPSあたり146.08mWの消費電力でした。

バッテリー温度は最大43.1℃程度まで上昇しました。

Snapdragon 8 Gen 3搭載であるLenovo Legion Y700 2025とあまり変わらない平均FPS・電力効率です。

5% Lowでは56.9FPS→58.6FPSへと改善されていることが分かるものの、小さな違いなので体感はしにくいです。

原神

電力効率と平均FPSとは?

1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。

電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。

ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。

 

平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。

(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)

GPUの使用率が高い崩壊:スターレイルをパフォーマンスモード・最高画質・ピノコニー「黄金の刻」で黄泉の秘技を連打して30分プレイすると平均53.6FPSでした。

10分過ぎぐらいで45FPSに制限され始めました。

やはりこちらも電力効率は改善されておらず、平均10W消費するままです。

8 Eliteで電力効率が改善され長時間のゲームプレイができるようになることを期待していましたが、現状ではY700 2025のマイナーアップデート版でしかない印象です。

HSR

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OS:ADBで日本語化可能

初期設定では日本語を選べないものの、Tablet InfoのSoftware versionを7回連打してDeveloper optionsを出してUSB debuggingを有効にした上でCtsPreconditions.apkをインストールし、PCでadb shell settings put system system_locales ja-JPを実行して再起動することで日本語設定にできます。

設定や他のアプリを含め、ほぼすべてがちゃんとした日本語になります。クイック設定など一部は英語のままです。

日本語フォントの変更方法など詳細はこちらの記事に書いています。

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また、APKMirrorなどでPlayストアのAPKをダウンロードしてインストールしたあと、設定→アプリでGoogle Basic Servicesを有効化するとPlayストアを使えます。

Y700

Android 15搭載でタスクバーも利用でき、アプリの切り替えがしやすく便利です。

タスクバー

様々なジェスチャー操作に対応し、ダブルタップでの画面オンオフはもちろんタスク切り替えや画面分割も簡単にできます。

3本指でのジェスチャー操作はマルチタッチ対応ゲームでの誤動作につながる可能性があるため、ゲームモード時はジェスチャー操作を無効化できるオプションも用意されています。

ジェスチャー

まとめ

  • 高い性能のSnapdragon 8 Elite
  • 高解像度になった8.8インチディスプレイ
  • バイパス給電対応7600mAhバッテリー
  • デュアルUSB-Cポートで一方は映像出力対応
  • microSDカード対応
  • 前モデルからの進化は小さめ
  • ゲーム時の電力効率はあまり良くない

Lenovo Legion Y700 2025からmicroSDカード対応復活、高解像度なディスプレイ、バッテリー容量増量&軽量化といった改善がある一方、一番大事なゲーム性能では大きな改善がなくタッチ遅延は一般スマホ並で電力効率も悪いままです。

今のところ8インチタブレットの中では最高レベルの性能であることに間違いはないですが、他社が小型タブレットを続々と投入しようとしている中でこの進化の小ささではすぐ追い越されてしまうのでは、と思ってしまいます。

Lenovo Legion Y700 2025でmicroSDカード対応がなくなったのがネックで買い換えられなかった、という方にはLenovo Legion Y700 Gen 4は良いと思います。

 

Lenovo Legion Y700 Gen 4は中国では3299元 (税込 約6.9万円)~で購入できます。

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