何がどうして | 山中伊知郎の書評ブログ

何がどうして

何がどうして (角川文庫)/角川書店
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続けてナンシー関を読んでしまった。1997年から1999年くらいに書かれたコラムを集めたもの。


たかが20年前足らず前なのに、相当昔に思えるね。テレビに登場する人たちの人物評とCM評で構成されているわけだが、まず取り上げられているCMはほぼ覚えてない。石田ひかりの「サラスパ」CMも、水野真紀の「ユニマット」のCMも、中井貴恵のヘアカラーのCMも、記憶の片隅にすら、ない。


人物の方も、けっこう、断片の断片くらいにかろうじて残っている名前が出てくる。ビートたけしの娘の「北野井子」なんてのは、まだ登場が衝撃的だったので忘れてはいないにしても、立河宜子、網浜直子までくると、いったいどんな顔してたっけ、と思わずネットで検索してしまう。だからといって、北野井子の顔は、覚えていたわけではないけど。


 しかし、今読んでも、厳しいね。山田邦子について「山田邦子は終わった。やるべきことは、もうない」「私はもう山田邦子を見ない」と言い切ってしまうのだから。


 なまじ、出演なりなんなり、テレビと関係を持ってしまった人間なら、ここまではとても書けない。ある意味、人間としての何ものかを捨ててかかっている迫力を感じる。

 少なくとも、ワイドショーのコメンテーターで呼んで欲しいな、なんて下心のある人間だと、ここまでは突っ走れない。「男前」っちゃ、「男前」だ。