ちはやふる(17)
末次 由紀
「これ」と決めた道で
知らないほうがいいことなんて
1つもないわよ
既巻紹介 11巻80点 12巻80点 13巻80点 14巻80点 15巻85点 16巻85点
安定して熱く面白い、百人一首スポ根最新刊。
高クオリティながらBD/DVDの売上が振るわず、一部で危ぶまれていたアニメ二期も無事制作決定!
良かったです!
最近、Twitterで交流している英国人の方も、「『ちはやふる』を見て「百人一首とその歌の背景、日本文化にとても興味を持った」と言っておりました。
二期制作決定のニュースを教えてあげたら、とても喜んでくれました。
この作品の凄い所は、年代も地域も越えて普遍的に楽しめる人間ドラマが詰まっている所ですね。
それだけに、本当は深夜ではなく子供が観られる日曜朝などに放映して欲しいと思います。
再放送でも良いのでやりませんか、日テレさん?
「ちはやふる」のお陰で、百人一首部が新設される小中学校もあると聞きます。
文化的貢献度の高い作品ですね。
作品自体の面白さに加えて、個人的に百人一首が大好きな事もあり、もっともっと広まって欲しいです。
さて、そんな最新刊は個人戦の決勝戦クライマックス。
A級決勝は綿谷新VS若宮詩暢。
B級決勝は真島太一VS山城理音。
そんな最高に熱い場面です!
どちらの戦いも非常に熱い!
流石のクイーンも、汗を拭くためにスノーふかふか丸タオルを取り出す……!
この丸いタオル可愛いですね。
グッズ化されませんかね。
千早すら苦しめた「感じ」の良さを持つ理音に対峙し、その速さに圧倒される太一。
しかし、努力の人である太一はこれまでに千早と積み重ねてきた練習を礎に、凡人として出来得る最大限を尽くそうとする。
前巻から最高の面白さを引き継いで、最高の戦いを見せてくれます。
小細工無しの全力勝負。
読んでいて手に汗握ります。
今巻では桜沢先生のセリフが良いですね。
冒頭で引用したセリフの他にも、
矛盾とつきあいなさい
自分にとっていちばん最適な
矛盾の交点を探しなさい
どんなに苦しい試合でも焦らないために
いま苦しみなさい
追い込まれた経験がない者は
決して強くはならないわ
などの言葉は普遍的。
これが、普通の運動系部活でなく百人一首から出るのがいとおかしですね。
他方で、課題の短歌二十首創作に千早が書いた
ひさかたの
光激しき夏の日に
しづこころなく
アイスを食べる
には声を出して笑ってしまいました。
その後の歌には、久々にこの漫画が本来BeLoveに載っている少女漫画である事をはっきり認識させて貰いましたが。
かくとだに~、の歌が心に沁みる展開です。
競技も恋も。
少年漫画の熱さも少女漫画の熱さも持った素晴らしい作品です。
まだ読んでない方はある意味とても幸せですね。
これからこんな素晴らしい作品を17巻分も纏めて読めるのですから!
年齢性別問わずお薦めです。
80点。