「折れた矢」(1950年)は戦争と平和について考えさせる西部劇です。
物語の舞台は1870年代アリゾナ。
この地では10年もの間白人とアパッチ族が争い殺し合っていました。
北軍を除隊して金鉱を探すトム・ジェフォーズ(ジェームズ・スチュアート)は殺し合いにうんざりしています。
ある日、トムは怪我をしたアパッチ族の少年を助ける。
トムはこれまで白人が先住民に戦いを仕掛け、和平条約を反故にして騙したことに怒りがあるんです。
この事実を白人は「嘘だ」、ひいては「トムがアパッチ族の手先だ」と決めつける。
トムは郵便配達夫を無事に通すようアパッチ族の長コチーズ(ジェフ・チャンドラー)と交渉し、成功させます。
しかし、ツーソンの町の住民は、トムがアパッチ族と通じていると決めつけ殺そうとするのです。
その危機を助けてくれたハワード将軍の依頼で、トムはコチーズと合衆国政府の和平交渉を成功させます。
和平条約の試行期間にコチーズ達と交流を深めるトム。
彼はアパッチ族の女性と愛し合い結婚、幸せな時間を過ごしますが…。
白人にもアパッチ族にも和平を望まず、戦争したい者達が一部いるのです。
彼らは略奪と殺しを望んでいて、言わば平和になられては都合が悪いと感じている。
憎悪に堕ちるのは簡単で、逆に平和を築くことには多大なる努力が必要なんですね。
しかも苦労して手にした平和もある日簡単に崩れる危うさ。
失意と怒りに震えるトムに語ったコチーズの言葉が印象的です。
「…平和は簡単じゃない。そうお前から学んだ。耐えろ。俺は裏切らない」。