皆さん、こんにちは。大津です。
少し前、新聞各紙の1面に下のような広告が並びました。
また近藤さんですが、「病院の安易な緩和ケアに頼るな。殺されます!」とさえ書いてあります。
つくづく、医者なのに、殺されるとか、過激な言葉が大好きなのです(この言葉は本の帯にも書いてありますが、著者が反対すれば帯の文言は採用されません。つまり近藤さんがこの言葉で良いとしているのです)。
どうやら今回は、緩和ケアに関することが書いてあるようなので、しっかり読んで反応すべきだろうと思い、一読しました。
驚いたのは、近藤誠さんが出ているのは、巻頭&巻末インタビューのみです。
地の文は編集部が調べて書いているので、概してまともな内容が多く、だったらそれだけで出せば良いのに……と残念さを禁じえませんでした。
言わずもがなですが、近藤さんは緩和ケアの専門家ではありません。
また最新の緩和ケアのことも知りません。
はたして、巻頭の緩和ケアのことに関しては、合っている部分もありますが、間違っているところも多く、一部はひどいなあと頭を抱えるものでした。
一般の方が緩和ケアに関して持っている誤解と同様な誤解もあったので、紹介し、説明しておきたいと思います。
いつもの作風と同じく、真実と間違いを混在させて、とりわけ後者であおり、自身の信じる「医療不信」に誘導するという構成になっています。作家の個性と言えます。
以下、「終末医療45のウソ」より引用です。
◎ モルヒネは正しく使えば、中毒になったり死期を早めたりすることはありません。ただ、投与方法を誤れば死に直結することもあります。(p12)
私のコメント(以下同様);前の文は正しいのですが、後半がおかしいです。通常に経口投与、持続静注や持続皮下注射を使えば、死に「直結」などすることはありません。
◎ 呼吸困難が起きている人に持続皮下注射などでモルヒネ投与すると、呼吸状態が悪化してしまうことがあります。(p12)
コメント;持続皮下注射では量を増減できます。呼吸状態を悪化させないように、適切な量で使用するのが重要です。「呼吸状態が悪化してしまうことがあります」というのは、言うのがはばかられることですが、近藤さんがモルヒネの量をしっかり調節できていないからです。
◎ 一度に大量のモルヒネを投与することで脳がなまけてしまい(略)(p13)
コメント;「一度に大量のモルヒネを投与する」ことこそモルヒネの使用法の誤りの最たるもの。いつの時代の話でしょうか。近藤さんはそのような使い方をするのでしょうか?
ここからもわかるように近藤さんの緩和ケアの時間は、既に何十年も前で止まってしまっています。不信が強いため、医師の言うことが信じられないため、最新の知識を得ることができず、このようになってしまうのです。2015年に出す書籍の内容としてにわかに信じがたいレベルの話です。
◎ 痛みを取るために入った緩和ケア病棟ですぐに死ぬというのは、悲劇としか言いようがありません。(p13)
コメント;緩和ケアの進歩で、あるいは在宅医療の進歩で、患者さんは長く在宅生活を送れるようになってきています。それの裏返しが、状態が悪化した際の、見た目の経過の早さでもあります。それを緩和ケアのせいにするという誘導です。
◎(緩和ケア病棟は定額制なので)高い経口薬などを使わず、点滴や持続皮下注射で使える安いモルヒネを使用するわけです。(p14)
コメント;その方に適した投与経路を選択しているのが実際で、お金のために経口薬にせず点滴投与にするなどというのは幻想レベルの思考です。全国のホスピス・緩和ケア病棟で働く医療者が怒ります。これも自身の思い込みで、読者を誘導しています。
◎モルヒネは注射で直接身体に入れると蓄積してしまう性質があり、続けることで死期を早める可能性があります。
コメント;腎不全の患者さんには「代謝産物」が蓄積しますが、普通の患者さんに正当な量を投与して、蓄積したり、死期を早めることはありません。これもまた、少なくとも20年以上は前だろうという理解から生じる話。
以前ヨミドクターの連載でも記したように、近藤さんの医療や医療者に対する負の感情が強すぎて、ある事象に対してとても悪意に捉えてしまうということになってしまっています。
インタビューでも、緩和ケア医が抗がん剤治療を推進しているという幻想に囚われてしまっているようです。
おかげで、編集部が調べて書いているまっとうな地の文と、近藤さんのインタビューの内容が、矛盾し、喧嘩をしてしまっています。
近藤さんのインタビュー。
末期になるまで緩和ケアに頼らずに済む方法を選択することのほうが、トータルで考えたときにずっと苦痛が少なく寿命が延びる。その大前提を忘れないでいただきたいと思います。(p16)
同じ本の編集部執筆の文章では…
11項のタイトルはこれ。
「終末期からの緩和ケアでは遅すぎる」
2章のまとめはこちら。
「早くから緩和ケアのサポートを受けたほうがよりよく長く生きられる」
・・・。
どちらを読者は信じれば良いですか?
信用ならない内容の本も多いですから、皆さんもどうかお気をつけください。
少し前、新聞各紙の1面に下のような広告が並びました。
また近藤さんですが、「病院の安易な緩和ケアに頼るな。殺されます!」とさえ書いてあります。
つくづく、医者なのに、殺されるとか、過激な言葉が大好きなのです(この言葉は本の帯にも書いてありますが、著者が反対すれば帯の文言は採用されません。つまり近藤さんがこの言葉で良いとしているのです)。
どうやら今回は、緩和ケアに関することが書いてあるようなので、しっかり読んで反応すべきだろうと思い、一読しました。
驚いたのは、近藤誠さんが出ているのは、巻頭&巻末インタビューのみです。
地の文は編集部が調べて書いているので、概してまともな内容が多く、だったらそれだけで出せば良いのに……と残念さを禁じえませんでした。
言わずもがなですが、近藤さんは緩和ケアの専門家ではありません。
また最新の緩和ケアのことも知りません。
はたして、巻頭の緩和ケアのことに関しては、合っている部分もありますが、間違っているところも多く、一部はひどいなあと頭を抱えるものでした。
一般の方が緩和ケアに関して持っている誤解と同様な誤解もあったので、紹介し、説明しておきたいと思います。
いつもの作風と同じく、真実と間違いを混在させて、とりわけ後者であおり、自身の信じる「医療不信」に誘導するという構成になっています。作家の個性と言えます。
以下、「終末医療45のウソ」より引用です。
◎ モルヒネは正しく使えば、中毒になったり死期を早めたりすることはありません。ただ、投与方法を誤れば死に直結することもあります。(p12)
私のコメント(以下同様);前の文は正しいのですが、後半がおかしいです。通常に経口投与、持続静注や持続皮下注射を使えば、死に「直結」などすることはありません。
◎ 呼吸困難が起きている人に持続皮下注射などでモルヒネ投与すると、呼吸状態が悪化してしまうことがあります。(p12)
コメント;持続皮下注射では量を増減できます。呼吸状態を悪化させないように、適切な量で使用するのが重要です。「呼吸状態が悪化してしまうことがあります」というのは、言うのがはばかられることですが、近藤さんがモルヒネの量をしっかり調節できていないからです。
◎ 一度に大量のモルヒネを投与することで脳がなまけてしまい(略)(p13)
コメント;「一度に大量のモルヒネを投与する」ことこそモルヒネの使用法の誤りの最たるもの。いつの時代の話でしょうか。近藤さんはそのような使い方をするのでしょうか?
ここからもわかるように近藤さんの緩和ケアの時間は、既に何十年も前で止まってしまっています。不信が強いため、医師の言うことが信じられないため、最新の知識を得ることができず、このようになってしまうのです。2015年に出す書籍の内容としてにわかに信じがたいレベルの話です。
◎ 痛みを取るために入った緩和ケア病棟ですぐに死ぬというのは、悲劇としか言いようがありません。(p13)
コメント;緩和ケアの進歩で、あるいは在宅医療の進歩で、患者さんは長く在宅生活を送れるようになってきています。それの裏返しが、状態が悪化した際の、見た目の経過の早さでもあります。それを緩和ケアのせいにするという誘導です。
◎(緩和ケア病棟は定額制なので)高い経口薬などを使わず、点滴や持続皮下注射で使える安いモルヒネを使用するわけです。(p14)
コメント;その方に適した投与経路を選択しているのが実際で、お金のために経口薬にせず点滴投与にするなどというのは幻想レベルの思考です。全国のホスピス・緩和ケア病棟で働く医療者が怒ります。これも自身の思い込みで、読者を誘導しています。
◎モルヒネは注射で直接身体に入れると蓄積してしまう性質があり、続けることで死期を早める可能性があります。
コメント;腎不全の患者さんには「代謝産物」が蓄積しますが、普通の患者さんに正当な量を投与して、蓄積したり、死期を早めることはありません。これもまた、少なくとも20年以上は前だろうという理解から生じる話。
以前ヨミドクターの連載でも記したように、近藤さんの医療や医療者に対する負の感情が強すぎて、ある事象に対してとても悪意に捉えてしまうということになってしまっています。
インタビューでも、緩和ケア医が抗がん剤治療を推進しているという幻想に囚われてしまっているようです。
おかげで、編集部が調べて書いているまっとうな地の文と、近藤さんのインタビューの内容が、矛盾し、喧嘩をしてしまっています。
近藤さんのインタビュー。
末期になるまで緩和ケアに頼らずに済む方法を選択することのほうが、トータルで考えたときにずっと苦痛が少なく寿命が延びる。その大前提を忘れないでいただきたいと思います。(p16)
同じ本の編集部執筆の文章では…
11項のタイトルはこれ。
「終末期からの緩和ケアでは遅すぎる」
2章のまとめはこちら。
「早くから緩和ケアのサポートを受けたほうがよりよく長く生きられる」
・・・。
どちらを読者は信じれば良いですか?
信用ならない内容の本も多いですから、皆さんもどうかお気をつけください。