筋ジス治療に道 異常遺伝子修復のiPS細胞作成…香月・鳥取大助教ら | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

筋ジス治療に道 異常遺伝子修復のiPS細胞作成…香月・鳥取大助教ら

全身の筋肉が徐々に弱くなるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者の細胞から、異常な遺伝子を修復したiPS細胞(新型万能細胞)を作ることに、鳥取大の香月康宏助教らが成功した。正常な筋肉細胞を移植する治療につながる成果で、8日付米国遺伝子治療学会誌電子版に発表した。

この病気は、筋肉の構造を保つジストロフィンというたんぱく質を作る遺伝子が欠損し、10歳ごろから歩行が困難になる。ジストロフィンは、計18種類ものたんぱく質を作り分ける大きな遺伝子で、修復が難しかった。

香月助教は、人の染色体から作製した人工染色体を利用。ジストロフィンを組み込んだ人工染色体を患者の皮膚細胞に入れ、ジストロフィンが正常に機能することに成功。この細胞から作ったiPS細胞で、正常なジストロフィンを持つ筋肉細胞ができることを確認した。
(読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/university/research/20091209-OYO8T01096.htm


筋ジストロフィー:治療に光 iPS細胞で骨格筋--鳥取大
鳥取大大学院医学系研究科の押村光雄教授=染色体工学=らのグループは8日、さまざまな細胞に分化できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術を使って、難病デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に欠けているジストロフィン遺伝子を復元することに世界で初めて成功したと発表した。ジストロフィン遺伝子は筋肉を作る機能があり、有効な治療法がない同疾患の遺伝子治療につながるとして注目されている。

押村教授によると、患者から取った細胞にジストロフィン遺伝子を入れてiPS細胞を作ったところ、iPS細胞から完全なジストロフィン遺伝子を備えた骨格筋ができた。押村教授らは大きな遺伝子を運搬できる「ヒト人工染色体ベクター」開発に成功したという。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20091209dde041040039000c.html


筋ジスの遺伝子機能修復に成功 鳥取大など、治療法に道
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者の細胞で、働かなくなった遺伝子の機能を修復した上で、それを基に新型万能細胞(iPS細胞)を作製することに成功したと、鳥取大と京都大の研究チームが8日付の米学会誌電子版に発表した。

この病気の原因は、X染色体にあるジストロフィン遺伝子の機能不全だが、この遺伝子はサイズが大きく、既存のウイルスを“運び屋”に使う方法では遺伝子治療は難しかった。押村光雄鳥取大教授らは人工的に作った染色体を遺伝子の運び屋に使った。筋ジストロフィーの治療法開発につながるとしている。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは男児の約3500人に1人の割合で発症する進行性の筋萎縮症。

押村教授らは、人工染色体にジストロフィン遺伝子を搭載し、筋ジストロフィー患者の線維芽細胞に入れたところ、導入したジストロフィン遺伝子が機能した。この細胞からiPS細胞を作ることにも成功。マウスの精巣に移植する実験で、筋肉細胞に分化することを確認した。

こうして作ったiPS細胞を培養皿などで筋肉細胞に分化させて、治療に利用できるようにしたいとしている。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120801000707.html


筋ジス遺伝子治療に道=iPS細胞で修復成功-鳥取大
難病デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の細胞から、遺伝子の異常を修復し、万能細胞である人工多能性幹(iPS)細胞をつくり出すことに、鳥取大の押村光雄教授らの研究グループが成功した。正常化したiPS細胞を筋肉細胞に分化させて体内に戻す新たな治療法につながることが期待される。
8日付の米遺伝子治療学会誌オンライン版に発表した。
この疾患は、筋肉細胞の骨格を保つたんぱく質「ジストロフィン」をつくる遺伝子の異常により、筋力低下が進み、呼吸不全や心不全で死に至る。この遺伝子はサイズが巨大で、通常のベクター(遺伝子の運び屋)を用いた遺伝子治療は困難だった。
研究グループは、大きな遺伝子でも運搬できる「ヒト人工染色体ベクター」を独自に開発。これを用いて患者の培養細胞に正常なジストロフィン遺伝子を導入し、異常を修復することに成功した。
さらに、この細胞からiPS細胞を作成。マウスに移植し、さまざまな細胞に分化する中で、筋肉細胞ではジストロフィンがつくられていることを確認した。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009120900077


筋ジス原因遺伝子修復 鳥大グループが成功
鳥取大学大学院医学系研究科の押村光雄教授と香月康宏助教のグループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の細胞を基に新型万能細胞(iPS細胞)を作製し、原因遺伝子の完全な修復に成功、9日未明に公開された米国遺伝子治療学会誌電子版「Molecular Therapy」に発表した。治療法が確立されていない筋ジストロフィーに遺伝子治療の道を開いた。

京都大学の山中伸弥教授との共同研究。筋ジストロフィーは、細胞内にあるジストロフィン遺伝子が機能しないか欠けているため発症する病気で、正常なジストロフィン遺伝子を補うことで治療できると考えられてきた。

しかし、ウイルスを使うなど細胞内に遺伝子を補うための従来の手法は、ジストロフィン遺伝子が大きすぎるため使えず、また、細胞内に元からある遺伝子に傷をつける恐れがあった。

同グループは、大きな遺伝子を細胞内に運べる「ヒト人工染色体(HAC)ベクター」を開発。HACを使ってジストロフィン遺伝子を元からあった遺伝子とは独立した状態で細胞内に運ぶことに成功した。

これまでの研究で、筋ジストロフィーの患者のほか、筋ジストロフィーを発症したモデルマウスの細胞内にジストロフィン遺伝子を入れ、遺伝子の修復に成功。さらに遺伝子を修復した細胞をiPS細胞にしてマウスの体内に移植すると筋肉に分化できる可能性が見いだせたという。

今後は、人間の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をマウスの体内で筋肉細胞にしたり筋ジストロフィーのマウスにES細胞から分化させた筋肉細胞を移植して治療効果を上げることに成功したほかの研究者と共同で研究し、筋ジストロフィーの遺伝子治療の確立を目指す。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー 男児の約3500人に1人の割合で発症する進行性の筋萎縮(いしゅく)症。染色体にあるジストロフィン遺伝子の機能不全が原因とされる。ジストロフィン遺伝子はサイズが大きく、従来の手法では全体を細胞内に運ぶことが困難だった。染色体から遺伝子情報を削除して作った人工染色体(HAC)を運び屋とすることで、サイズの問題を解決した。
(日本海新聞)
http://www.nnn.co.jp/news/091209/20091209044.html





ファンコニー貧血患者由来iPS細胞からの遺伝子治療した造血前駆細胞

将来の再生医療-遺伝子治療との融合-

の筋ジスバージョンと言えそうですね。素晴らしいお仕事です。


ところで、HACベクターを用いてのiPS細胞樹立はどうなっているんでしょうか。。