間違いもあるかもですが、私なりの理解を記録に留めておきます。
1.CD-ROM と CD-DA
はじめに言葉の整理をしておきます。
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CD-ROM = 家計簿や思い出のデジカメ写真が記録されたデータCD
CD-DA = 音楽CD
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CD-DAは、
読み出しで回復できないエラーがあっても「補間」して
前後をテキトーに繋いで音を出します。
停止しません。
データCDは、
1ビットの違いも許されないので「補間」しません。
読み出しで回復できないエラーがあれば読み取り不能です。
読み取り不能により動作を停止します。
2.規格
CD-DAはレッドブックで定義されている。 *5
CD-DAの読み出しに関するコマンドはSCSIコマンドがベース。 *6
図:WindowsXPより
CD-DAの読み出しはATAPI規格にも反映され標準化されているのでWindowsからも
リッピングは可能。ただし、上の図のように「デジタル」を選択する必要があった。
ちなみに「アナログ」で取り込むと、CDドライブがD/A変換したアナログ音を
録音することになる。
2.1 エラー訂正
通常は実データ以外にデータが欠損しても回復できるように保険として
データ以外の情報が一緒に記録され、欠損を回復できるような仕組みがある。
CDはCIRC(Cross-Interleaved Reed-Solomon Code)にも基づいて誤り訂正を行っている。
誤り訂正できたデータは元データと完全に一致する。
CD-ROMでは、
1ビットの違いも許されないのでCIRCだけではなく、より強力な
EDC(Error Detection Code) と ECC(Error Correction Code)によるエラー訂正がある。
訂正できない場合は読み出し不能である。
CD-DAでは、
CD-ROMにあるEDC/ECCは無い。訂正できないエラー(C2エラー)が発生した場合は
前後のデータからてきとうに「補間」を行う。※音質は保証されない
この「補間」はCD-ROMドライブ側、つまりハードが行うので、ソフト側はノータッチ。
つまり、リッピングでは補間されたかもしれないデータを受け取る事になる。
この点がCD-ROMのデータ読み出しと決定的に異なるところ。
2.2 アドレス情報
ここから引用--------------------------- *5からの引用
なおCD-ROMとは異なり、CD-DAではセクタに対するアドレス情報が存在しない。
ある瞬間ピックアップの下を通過しているセクタが物理的にどこに存在しているかを判断する方法は一つしかなく、トラックから何個目のセクタか数えることだけである。
これは通常のオーディオ用プレーヤーでは問題にならない。
トラック位置で指定された場所から、連続してセクタを再生していけばよいのでセクタへは物理的な位置を記す必要がないからである。
しかし、リッピングではこのアドレス情報が存在しないことが問題を起こすことがある。
例えば52倍速のドライブで連続して読み込もうとしたが、コンピューター側が読み込みに追従できず、一旦データ取り込みを中断してシークコマンドを発行しても、その場合に読み取れるセクタが正確な位置である保証がないためである(もっとも近いトラックから読み直すか、ドライブ自身が読み込みを中断してもセクタ位置を追従し続ける機能が必要である)。このような状態になるとセクタが不足したり重複したりする(なお、セクタが1〜2個おかしくなっても聴感上0.1秒前後の現象であるため、その不具合に気づかない場合がある)。
この現象の対策として、CD-DA読み出し時には回転数を落とす措置がとられることがある。また海賊版防止の観点から、民生機のCD-DA変換機能には同じCDを実時間を超えて繰り返しリッピングできないように保護された製品が多いが、パソコン向けの機器にはこれらの保護はなされていない。
また、アドレス情報が存在しないことにより、オーディオの読み込みを開始する絶対位置がドライブによって異なってしまう現象が発生する(オフセット問題)。つまり、この問題を考慮しない一般的なソフトウェアでリッピングを行うと、ディスクの先頭または末端で欠損が発生し、オリジナルよりも早く、または遅く音声が開始されるデータが生成される。ただし、これは最大でも数百サンプル(≒数十ミリ秒)程度という一般に誤差として許容できる範囲であり、先頭または末端以外の大部分には何の影響も及ぼさない。なお、この問題を解決して読み取りを行うソフトウェアの一つにExact Audio Copyがある。
引用ここまで--------------------------
3.リッパー
リッピングを行うソフトをリッパーと呼ぶ。
基本、リッパーはCDドライブからデータを受け取るだけなので
それが「補間された怪しいデータ」である可能性があることは先に述べた通り。
読み取ったデータが正しいのかどうかはCD-DAの場合には分からない。
そのため「複数回読み取り」をおこなって、結果が同じか確認するなど
原始的なやり方を実施することになるが、それでもビットパーフェクトとは限らない。
データが補間されたかどうかはリッパーには分からないが、
C2エラーが発生したかどうかはCDドライブが教えてくれる場合がある。
なので、C2エラーが発生した場合には読み取りを再試行するなどの
工夫をするリッパーもあり。
こういった工夫をするかしないかが、リッパーによって音質が違う要因といえる。
CDドライブがC2エラーを使い手側に通知しなければならないルールは無いので、
C2エラーの発生をリッパーに知らせずに補間するCDドライブもあり。
こういったCDドライブでは、低速でリッピングして、エラーを発生し難くするほかない。
というか、そんなドライブは使ってはいけない。
ちみに、
物理的にC2エラーが発生しない状況下であれば、CDドライブによる
音質の優劣は発生しないといえる。
4.PureRead
パイオニアの光学ドライブで殊更リッピングに拘るための独自機能。
補間が行われたかどうかはリッパーには分からないので、ドライブ側でそれを
検知しようというものです。補間をしなければならない状況になった場合は
CD-ROMと同様に読み取りを停止します。
補間された怪しげなデータを残さないために非常に有用な機能です。 *7
悩みたくない人はパイオニアのPureRead4+という機能が付いた光学ドライブを
購入して、これのパーフェクトモードを使用してリッパーにはEAC(Exact AudioCopy)
を選択するとよいでしょう。※EACには適切な設定をすること!!
最後に、
リッピングでCDに記録されたデータをそのまま吸い出せばよいのか
というと、必ずしもそうでない場合もあります。プリエンファシスです。
レコードのRIAAのように記録状態では高音を強調し、再生時に
イコライザーでフラットに戻す。そんなCDです。
リッピングするとプリエンファシスの情報は失われるので注意が必要です。
※iTunesはイコライザーを通してリッピングするので注意は不要です(当然データは変化しますが)。
ですので、ビットパーフェクトに安心しきってキンキンした
変な音を知らずに再生している人もいるかもしれません。
リッピングしてもCD元板は手放してはいけませんね(^ー^
そんな不安を無くすには、音声データ以外、すなわち
エラー訂正情報もプリエンファシス情報も全部丸ごとリッピングします。
RAWモードでの吸い出し、イメージ化です。
イメージ化しておけばCD1枚につき1ファイルになるので管理が楽で、
曲名やアルバム情報は再生時にCDDBからゲットできます。
基礎知識から外れてきましたのでここまでにします。
参照:
*1
通信用語の基礎知識 「CIRC」
*2
通信用語の基礎知識 「C2エラー」
*3
音楽CDの「エラー訂正」を再確認する
*4
リッパーの「エラー訂正」とは何か(iTunesがエラー訂正しているのか)
*5
CD-DA(Compact Disc Digigtal Audio)
*6
SCSIコマンド
*7
PIONEER 光ディスク開発ストーリー ~CDを正しくリッピング~
▽==========藤本健のDigital Audio Labolatory==========▽
・第1回:迷信だらけのデジタルオーディオ 【CDにまつわる噂を徹底的に解体!】
~ 第1回 そもそもオーディオCDって何だ? ~
・第2回:迷信だらけのデジタルオーディオ
~ 音楽CDリッピングが100%正確でない理由 ~
・第4回:迷信だらけのデジタルオーディオ
~ CDプレーヤーの読み込みの仕組み ~
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