(国債増発か)国債大量増発よりも20兆円の無駄削減を
09年度予算で当初46兆円を見込んでいた税収が、企業業績の悪化で、40兆円割れもあり得るとの見方も出ている。そうなれば、歳入は6兆円減となる。
立党以来、マクロ経済政策を無視し続けてきた民主党も、マイナス成長になると税収が落ちて予算が組めなくなるという、経済・財政一体の視点の重要性をようやく理解できたのではないかと思う。
国債大量増発―公約違反となるかどうかが問われている。特別会計を入れた200兆円の総予算のうちの1割の20兆円は無駄がある、という主張にそって、愚直に財源を出していただかなければならない。補正予算の見直しの中で、新政権の各閣僚は、どれも政策には重要性がある、これ以上の削減はできない、ということを言い始めたようだ。民主党は20兆円は無駄があるといって国民の信任を得たのだから、是非、200兆円の総予算のうち20兆円の無駄を掘り起こしていただきたい。
鳩山首相は赤字国債発行せず、という強い姿勢を選挙戦中にくり返し主張されていたはずである。この言葉を簡単に翻してはいけない。また、民主党は小泉政権で累積債務残高が増えたことを批判し続けてきた。これは国債発行を減らすだけではダメで、国債発行をゼロにすべきとの思想に基づくものであろう。その民主党が国債発行を増額することなど許されるはずがない。民主党には、ぜひ、20兆円の無駄の削減で、経済を底支えする財源をねん出する努力を放棄しないでいただきたい。
「失われた10年」の二の舞を避けるために、である。(10月7日記)
(参照記事)日経新聞「来年度予算要求」「厚労省、5兆円上積み」「麻生政権の概算要求比、公約実現に充当」「国債増発回避難しく」
「政府の2010年度予算編成作業が大きな壁にぶつかっている。歳出はマニフェスト(政権公約)で約束した子ども手当の創設など、増加要因が目白押しだ。15日に締め切る省庁ごとの概算要求では、厚生労働省が09年度当初予算に比べ6兆円程度の増額と、麻生政権時の8月末に提出した要求額から5兆円上積みする方向。一方、歳入は景気低迷で税収の落ち込みが避けられない。優先順位の高い事業に絞り、公共事業などを抑制できなければ、国債の増発が避けられない情勢だ。
厚労省は概算要求が31兆円前後となる見通し。マニフェストで来年度から導入するとした子ども手当などを盛り込むためだ。雇用関係では雇用保険の国庫負担割合を現行の原則13・75%から同25%に戻すため2400億円程度を要求する方針。マニフェストには明記がない協会けんぽへの国費投入の増額も求める。
天下り職員のいる独立行政法人への支出減などで数千億円規模の歳出を削る考え。しかし公約実現のための必要額は現時点で33兆円超に積み上がっており、これを絞り込んでも09年度当初予算(25兆1568億円)を6兆円程度、率にして2割余り上回る見通し。増額幅は異例の大きさだ。
原口一博総務相も6日、政務3役会議で『地域に向かうカネをどう下支えし、増大させるか検討してほしい』と指示。地方交付税の増額を要求する姿勢を示した。概算要求を巡っては9月29日に閣議決定した予算編成方針で、各閣僚に『できる限り積極的な減額』をするよう要請。09年度当初予算の一般歳出総額51兆7300億円を下回る水準を目標に据えたが、要求時点での達成は厳しくなっている。
一方で予算の大幅削減が期待される省庁でも、削減幅は限られそうだ。国土交通省は09年度当初予算比10~20%減の5兆~6兆円程度と、1兆円規模の大幅な減額となる可能性がある。ただガソリンにかかる揮発油税などの暫定税率廃止に伴う税収減2兆5000億円を埋め合わせる水準には届きそうにない。
農林水産省は、農産物などの販売価格が生産費を下回った場合に差額を補てんする戸別所得補償制度がマニフェストに掲げられており、そのモデル事業に『1千億円を超える予算が必要』(幹部)。当初予算より要求額が増えるとの声が多い。
一方、歳入面では09年度予算で当初46兆円を見込んでいた税収が、企業業績の悪化で落ち込む見通しだ。8月末までの税収の累計は前年同月比73%。企業の9月中間期決算が振るわなければ『40兆円割れもあり得る』(財務省幹部)。10年度予算案では、この修正額が発射台となる。政府の来年度経済見通しでマイナス成長が続けば、税収見積もりはさらに下振れする」
立党以来、マクロ経済政策を無視し続けてきた民主党も、マイナス成長になると税収が落ちて予算が組めなくなるという、経済・財政一体の視点の重要性をようやく理解できたのではないかと思う。
国債大量増発―公約違反となるかどうかが問われている。特別会計を入れた200兆円の総予算のうちの1割の20兆円は無駄がある、という主張にそって、愚直に財源を出していただかなければならない。補正予算の見直しの中で、新政権の各閣僚は、どれも政策には重要性がある、これ以上の削減はできない、ということを言い始めたようだ。民主党は20兆円は無駄があるといって国民の信任を得たのだから、是非、200兆円の総予算のうち20兆円の無駄を掘り起こしていただきたい。
鳩山首相は赤字国債発行せず、という強い姿勢を選挙戦中にくり返し主張されていたはずである。この言葉を簡単に翻してはいけない。また、民主党は小泉政権で累積債務残高が増えたことを批判し続けてきた。これは国債発行を減らすだけではダメで、国債発行をゼロにすべきとの思想に基づくものであろう。その民主党が国債発行を増額することなど許されるはずがない。民主党には、ぜひ、20兆円の無駄の削減で、経済を底支えする財源をねん出する努力を放棄しないでいただきたい。
「失われた10年」の二の舞を避けるために、である。(10月7日記)
(参照記事)日経新聞「来年度予算要求」「厚労省、5兆円上積み」「麻生政権の概算要求比、公約実現に充当」「国債増発回避難しく」
「政府の2010年度予算編成作業が大きな壁にぶつかっている。歳出はマニフェスト(政権公約)で約束した子ども手当の創設など、増加要因が目白押しだ。15日に締め切る省庁ごとの概算要求では、厚生労働省が09年度当初予算に比べ6兆円程度の増額と、麻生政権時の8月末に提出した要求額から5兆円上積みする方向。一方、歳入は景気低迷で税収の落ち込みが避けられない。優先順位の高い事業に絞り、公共事業などを抑制できなければ、国債の増発が避けられない情勢だ。
厚労省は概算要求が31兆円前後となる見通し。マニフェストで来年度から導入するとした子ども手当などを盛り込むためだ。雇用関係では雇用保険の国庫負担割合を現行の原則13・75%から同25%に戻すため2400億円程度を要求する方針。マニフェストには明記がない協会けんぽへの国費投入の増額も求める。
天下り職員のいる独立行政法人への支出減などで数千億円規模の歳出を削る考え。しかし公約実現のための必要額は現時点で33兆円超に積み上がっており、これを絞り込んでも09年度当初予算(25兆1568億円)を6兆円程度、率にして2割余り上回る見通し。増額幅は異例の大きさだ。
原口一博総務相も6日、政務3役会議で『地域に向かうカネをどう下支えし、増大させるか検討してほしい』と指示。地方交付税の増額を要求する姿勢を示した。概算要求を巡っては9月29日に閣議決定した予算編成方針で、各閣僚に『できる限り積極的な減額』をするよう要請。09年度当初予算の一般歳出総額51兆7300億円を下回る水準を目標に据えたが、要求時点での達成は厳しくなっている。
一方で予算の大幅削減が期待される省庁でも、削減幅は限られそうだ。国土交通省は09年度当初予算比10~20%減の5兆~6兆円程度と、1兆円規模の大幅な減額となる可能性がある。ただガソリンにかかる揮発油税などの暫定税率廃止に伴う税収減2兆5000億円を埋め合わせる水準には届きそうにない。
農林水産省は、農産物などの販売価格が生産費を下回った場合に差額を補てんする戸別所得補償制度がマニフェストに掲げられており、そのモデル事業に『1千億円を超える予算が必要』(幹部)。当初予算より要求額が増えるとの声が多い。
一方、歳入面では09年度予算で当初46兆円を見込んでいた税収が、企業業績の悪化で落ち込む見通しだ。8月末までの税収の累計は前年同月比73%。企業の9月中間期決算が振るわなければ『40兆円割れもあり得る』(財務省幹部)。10年度予算案では、この修正額が発射台となる。政府の来年度経済見通しでマイナス成長が続けば、税収見積もりはさらに下振れする」