原人からの海外活動報告書 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

 

昨年の10月、約一カ月にわたりアフリカ、ヨーロッパ、インドで活動した原人から報告書が届いたので原文のまま紹介する。


 

親愛なるみなさま

 

10月9日から1111日まで国際シンポジウムおよび会議に出席するため、 ブルキナファソ、フランス、ベルギー、インドに行って参りました。以下、活動報告をさせていただきます。


Burkina Faso:

ブルキナファソ

地元の NPOAFIDRA (Agence de Formation et d’Ingénierie du Développement Rural Autogéré)と共同で、協生農法に関する第一回アフリカフォーラムを開催しました。前回2015年1月にブルキナファソを訪れた際、東部地方のタポア県にあるマハダガという村(Googleマップにも載っていない村です)に協生農法のパイロット農場を作ろうという共同計画が持ち上がり、放置されていた500 ㎡の乾燥地を利用して約150種の在来種の栽培を20153月からスタートさせました。レジームシフト(砂漠化)により、それまでは自然発生的な植生回復は望めなかったのですが、協生農法により健全で豊かな生態系を短期間で一気に立て直すことができました。20156月には初めての収穫を迎え、その高い品質が地元の市場で認められ、通常の農産物の倍の値段で販売することができました。500 ㎡の土地での地元スタッフとの週に20時間ほどの労働で月額1000ユーロの売上げ、年間ベースでブルキナファソのGNI(世界銀行 2015)の20倍、都での絶対的貧困線(INSD 2014)の50倍を上回る収益を上げることができました。このことによって、多くのステークホルダー、研究者、および政府を説得することにも成功し、アフリカにおける協生農法の第一回国際シンポジウムを開催することになったのです。開催にあたってはソニーCSLが出資し、ブルキナファソの農業水利省から国、地域レベルの支援を頂きました。また、ユネスコ大学間等ネットワークのCS-DSプログラムのメンバーは、インターネットによる世界ライブ中継のロジスティックサポートを買って出てくれました。また、筆者も、サーバーと携帯電話ネットワークを使ってICT面でのサポートを図りました。

 


As the fruit of symposium, we established the declaration of Fada N’Gourma 2016 that addresses the basic guideline for collaboration and obtained the support of Burkina Faso government and UniTwin UNESCO CS-DC program. Japanese ministry of Foreign Affairs is also showing interest to support our project as a remarkable success story from private sector. We also started to collaborate with the expert committee for the novel constitution of Burkina Faso in view of incorporating the right of subsistence of ecosystem in its preamble as the fundamental right that precedes basic human rights to life. I believe this movement is creating a new page of history that deepens and expands to entire social-ecological systems the conception of the rights of man. This could be a major renewal of the conception of right to life since French revolution or The Universal Declaration of Human Rights by United nations (1948). Fundamental thought that defines the new paradigm of sustainability is about to hatch from this symposium.

Putting all these efforts together, we have established a new research center on synecoculture in Africa, CARFS (Centre Africain de Recherche et de Formation en Synécoculture). With 60150 fold income we gained from the pilot farm in Tapoa compared to conventional systems, we negotiated the new land of a bit larger than 1 hectare near Fada N’Gourma as a new accessible pilot farm and formation center of sub-Saharan synecoculture movement.

 

CARFSのフェイスブックページ掲載写真:https://www.facebook.com/carfs.org


France:
フランス

 

パリCSL設立20周年記念のオープンハウスでアグロエコロジーのセッションで講演し、協生農法サポートシステムのベータ版のデモも行いました。この記念行事はCSLパリの研究員のみならず、私にとっても画期的なイベントでした。なにしろ、2010年にフランスから帰国した後の6年間のCSLでの研究について、フランス語で講演することができたからです。聴衆の反応も良く、ロワール地方にあるEcole Supérieure d’Agriculture d’Anger(アンジェ農業高等師範学校)からは、協生農法のシンポジウムを2017年にヨーロッパで開催する話や博士候補資格等のアカデミックコースの準備といったコラボレーション企画の話も出ました。


Belgium:
ベルギー

 

リエージュ大学内に新たに開設されたヨーロッパ最大級の農業研究所ガンブルー・アグロバイオテックを訪問しました。教養課程や研究テーマに協生農法個組み込む必要性、そしてエラスムス計画や博士課程プロジェクト、インターンシップを通しての交流を図ることで合意しました。アフリカで設立した協生農法の研究センターCARFSでは、農業学、水分学、土壌科学、生態学の学生をベルギーから受け入れる考えです。また、ICT管理面でのサポートを計るため、最低限のインフラを強化する意味で、農場用の電力発電システム開発の交換インターンシップも提案しました。

 

ベルギーでは休みを数日頂き、ブリュッセルの近くで、政治亡命者のベルギー社会への融合を支援するボランティア活動に参加しました。イラクから亡命した男性(そして偶然知り合った家庭内暴力の被害者ら)に料理をふるまうことになりました。この男性は殆どフランス語が話せませんでしたが、刺身とベルギー風肉じゃがをみんなでおいしく頂きました。 

 

 

India:
インド

 

ニューデリーでは、第一回国際農業生物多様性会議に参加し、口頭発表を行いました。これはインド政府主導による大規模な会議で、40カ国、850名の参加がありました。現場(農場)および現場以外の遺伝子バンクや植物遺伝資源の保全での国際協力をトップダウンで行い、インド全土において生物多様性を推進することで、栄養不良および生物多様性喪失の課題に立ち向かう、という明確な目標が設定されていました。緑の革命により飢餓撲滅に成功したインドでは、単一栽培による環境破壊および栄養レベルの低下を補うために農業における変革を押し進め、ポートフォリオベースのシステマティックなアプローチで農業生物多様性を目指そうとしていることがわかりました。

 

オープニングセレモニーでは、インドの首相がインドおよび世界における農業生物多様性の重要性について長いスピーチを行いました。インド政府が真摯にこの分野に取り込もうとしているのが伝わってきました。

 

複数の同時セッションの中で、何百もの発表が行われましたが、幸いにも私は開会式直後に大ホールで真っ先に発表を行うことができたうえ、抄録集の最初のページに載せて頂いたため、参加者の方々に広く認知して頂くことができました。4日間の会議開催中にひっきりなしに質問を頂き、著名な国際的な機関を代表する多くの研究者やステークホルダーらと交流することができました。殆どの発表は限られた品種の遺伝的変異性に関するものでしたので、私の発表は良い意味で意外性があり、栽培による現場での保全の可能性を十分に示したものとして受け取られたようです。会議を通して、ICTサポートの分野がまだ十分でないことも分かりましたので、早急に規準を設立する必要性を感じました。

 

滞在中、デリーは焼畑農業によるスモッグとヒンドゥー教の光の祭り、ディワリの爆竹と花火の煙、そして産業排出物により濃いスモッグに覆われていました。史上最悪の大気汚染が発生ということで、50メートル先は全く見えない状況でした。汚染は肺が痛くなるほどのもので、生態系の機能がひどく損なわれてしまっていることを実感しました。そしてもうひとつ、パキスタンからの大量の偽札の流入を防ぐためにインドの首相がとった措置で痛手を被ることになりました。118日の午前零時をもって500ルピー、1000ルピー紙幣の使用が突如禁止されたため、私は手持ちの現金が殆ど使えなくなり、帰国するまで大量のバナナを食べてしのぐことになりました。


ユネスコ大学間等ネットワークのCS-DSプログラムおよび研究者らとの個人的なつながりで、今回の出張中に他の二つの国際会議にも招かれました。ひとつはブラジルの国際会議EIFE 2016 (I Encontro Internacional de Filosofia Ecológica) で、もうひとつは生物多様性の保全と持続可能な利用に関する世界最大の政策決定機関、COP13、生物多様性条約第13回締約国際会議の生物多様性のための科学フォーラム(the Science for Biodiversity Forum)です。地球との共生の実現に向けた、愛知ターゲットに続くステップとして、生物多様性に重きを置いた農業およびその他の第一次産業のための統合報告書を出すことになっていますが、私もそれに載せる論文をまとめているところです。


Barka, merci & dhanyavaad

ありがとうございました。

Masa FUNABASHI

舩橋真俊

 

 

アフリカの自立宣言 ブルキナファソ

http://ameblo.jp/muu8/entry-12230854153.html

ファダングルマ宣言2016   5分間

https://www.youtube.com/watch?v=i_n3jRur6_Q

 

アフリカブルキナファソの開墾

http://ameblo.jp/muu8/entry-12215879879.html

 

イベント講習会 原人談話 案内

http://ameblo.jp/muu8/entry-12235925636.html

 


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