下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【20】
http://
mixi日記2018年05月10日から
テーマサイトは下記。
【「味わう」の否定は「あじわわない」でしょうか】
https:/
===========引用開始
「味わう」の否定は「あじわわない」でしょうか.
「あじわわない」は「わ」二つあるのでどう発音するのでしょうか?「わ」を二回発音するのか長引いて発音するのか教えてください
===========引用終了
結論だけを書くなら。
「味わわない」です。「味あわない」は誤用です。話し言葉で「味わーない」にするのは……許容範囲でしょうか。
……で終わるはず。感覚的にはよくわかりますが、原形が「味わう」ですから「味合わない」になる理由がありません。
これを「味あわない」とする誤用をよく見ます。「味あわない」を許容するためには、「味あう」とか「味あい」といった言葉をつくる必要が出てくるはずです。
先行回答を読んで驚いた。
まず、No.4のかたのコメント。
===========引用開始
[日本国語大辞典]
あじ‐あ・う[あぢあふ] 【味】
解説・用例
〔他ワ五(ハ四)〕
「あじわう(味)」に同じ。
*彰考館本寝覚記〔鎌倉末〕下「くちにあぢあふ所をばなむべからず」
*俳諧・口真似草〔1656〕一「あぢあふやひとくひと口鶯菜〈吉連〉」
===========引用終了
うーん。「味あう」もアリなのか。でもこの用例は相当古いよね。現代の用法で「味あう」を許容しているものがあるのだろうか。
もうひとつ驚いたのは、No.3のかたが引用したNHKのサイト。これは相当ヒドい。全文は末尾に保全する。
何がヒドいって「文法的には「味わわせる」が正しいこと〝になります〟」はないでしょうに。
ではなくて、木村カエラの歌にあるって、それがなんなの?
歌詞は、音数の問題もあって相当無理なものがある。「心のやらかい場所」って出てきたのはアレで、「違くて」とか使っている歌詞も多いはず。古い例では「パイプくわえて口笛吹いて」って器用な話が有名だが正確には「煙草ふかして口笛吹いて」らしい。
もちろん作詞者が承知のうえでやっているれいもあるだろうが、ホニャララな例も……。
閑話休題。
とにかく、そういう例を根拠にするのはやめてほしい。
ちなみに、NHKのサイトが「味わわない」ではなく「味わわせる」にした態度はきわめて正しい。
↓に書いたけど、「味わわない」は割に簡単に書きかえができるけど、「味わわせる」はできない。そのため、使用例が多い。必然的に「味あわせる」って誤用も多い。
もうひとつ、「味わわせる」同じことになりそうなのは、「祝わせる」のほかに「賑わわせる」がある。
これも下記のような理由で避けるこよができる。仮に「味わわない」なら「味わいはしない」「味わうことはなかった」などの形に逃げることができる。
ところが「味わわせる」は逃げるのがむずかしい。
近い将来、「味あわせる」が許容されても不思議はない。ただ、そのためには「味あう」を認める必要もありそうだけど。
詳しくは下記をご参照ください。
【「味わう」「味わわせる」と「賑わう」「賑わわせる」「賑わせる」】
http://
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━引用開始
答えだけを書くなら「味わわなければ」が正解。
これを「味あわなければ」とする誤用をよく見る。これはいくら誤用例が増えても「味あわなければ」が許容されることはないだろう。もしそれを認めるなら、「味あう」とか「味あい」といった言葉をつくる必要が出てくる。
■Web辞書(『大辞泉』から)
http://
================================
あじ‐わ・う〔あぢはふ〕【味わう】
[動ワ五(ハ四)]
1 飲食物を口に入れて、そのうまみを十分に感じとる。味を楽しむ。「よくかんで―・って食べる」
2 物事のおもしろみや含意を考えて、感じとる。玩味(がんみ)する。「詩を―・って読む」
3 身にしみて経験する。体験する。「人生の悲哀を―・う」
[可能] あじわえる
================================
「味わう」はワ行の五段動詞なので、「味わわ(ない)」「味わい(ます)」……と活用する。
使用例を考えると、「味わわなければ」の形より使役形の「味わわせる」のほうが多い気がする。「同じ屈辱を味わわせてやる」みたいな言い回しを、某雑誌で散々見た(笑)。
「味わう」と同じような形になる動詞を探してみた。動詞の語幹の最後が「わ」+ワ行五段活用?
祝う/賑わう/化粧(けわ)う
「化粧う」は滅多に使わないだろうな(笑)。
以前からマークしていたのが「賑わう」。「祝う」も仲間か。気がつかなかった。
「祝わなければ」は間違いではないけど、めったに見ない。フツーは「お祝いしなければ」とか言うだろう。
「祝わせてやる」もめったに見ない。「オマエにも祝わせてやるよ」「遠慮しときます」(笑)。「お祝いさせてやる」もギャグとしてしか使わないだろうな。
「賑わわなければ」も間違いではないけど、めったに見ない。もしどうしても必要があるなら「賑わせなければ」と言うんじゃないかな。これは「賑わう」のほかに「賑わす」という動詞があるから。
「賑わわせる」の場合も「賑わせる」でほぼ同じ意味になる。
「味わう」の話に戻ろう。
「お祝いしなければ」「お祝いさせてやる」と同様に変形するなら「お味わいしなければ」「お味わいさせてやる」……言わないorz。
「賑わせなければ」「賑わせる」と同様に変形するなら「味わせなければ」「味わせる」……これも言わないorz。
こういう事情があるもんで、「味わう」だけは「味わわなければ」「味わわせる」という美しくない形になってしまう。
【追記】
あえて言いかえ案を探すなら……。
「味わわなければ」→「味わってみなければ」「食べなければ」などいくらでもある。
問題は「あじわわせる」。
「味わわせる」→「味わってもらう」くらいかな。
「味あわせる」のほかには、「味わわさせる」という誤用もあるらしい。
これも「サ入れ言葉」の一種なんだろうな。
http://
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━引用終了
https:/
===========引用開始
Q「味あわせる」「味わわせる」のどちらが正しいのでしょうか。
A文法的には「味わわせる」が正しいことになります。
<解説>
現代語の「味わう」は、ワ行五段活用の動詞です。
味わワ(ない)、味わイ(ます)、味わウ、味わエ(ば)、味わオ(う)
このように、「語幹」が「味わ」で、「活用語尾」が「ワ、イ、ウ、エ、オ」となります。「語幹」というのは、「変化しない部分」です。「~せる」が下に連なるときにも、語幹を保存して「味わわせる」となります。
ただし、「味あわせる」という形も、実際にはよく使われています。ウェブ上でおこなったアンケートでは、年代差や男女差はあるものの、全体としては「味わわせる」よりも「味あわせる」のほうを支持する意見のほうが、やや多くなっていました。また次のように、歌詞にも使われています。
〈カシスより赤く染まって酔いしれる ブレンドされた時はぜいたくに
ゆっくり味あわせてね〉
【「Hungry like the CHICKEN」歌・作詞:木村カエラ】
さらには、「合う」という漢字を当てて「味合わせる」と書いた例も、少なからず見られます。
この「味あわせる」は、本来変化しない部分である語幹の「味わ」の「わ」を「あ」に変えてしまっているという理由で、文法的には正しくないとされています。「味あわせる」という形が出てくる背景には、一つには伝統形「味わわせる」に含まれている「~わわ~」という「同音の連続」を避けたいという意識があります。その証拠に、「味あわせる」「味あわない」という形では比較的多く用いられていますが、それに比べると「味あいます」「味あう」「味あえば」「味あおう」といったものは、それほど使われていないようです。語幹部分を保存した伝統形「味わいます」「味わう」「味わえば」「味わおう」のままでも、「~わわ~」という同音の連続は生じていないからです(田野村忠温(2011)「大規模コーパスとしてのインターネット」)。
同じように「~わわ~」という「同音の連続」が生じているものとして、「祝わない」「祝わせる」などもありますが、これについては「いあわない」「いあわせる」という「同音連続回避形」は、あまり見られないようです。そういえば、自分の誕生日を積極的に祝わなくなってから(そして、祝われなくなってから)、もうずいぶんたちました。負けるな、俺。
(NHK放送文化研究所ウェブアンケート、2016年2月~3月実施、744人回答)
メディア研究部・放送用語 塩田雄大
===========引用終了
#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語 #参考書