以前の記事で
コンペの弊害
のついて書きました。
反響も大きく、賛否両論でなかなか中身のある論争となりました。
私も問題提起をしたものの、その後の解決策が考え出せないでいましたが
少し思いつく事がありましたので、ここに書いておきたいと思います。
そもそもコンペのどこが問題なのか?
#選ぶ側の問題
#たくさんの量の曲を集め過ぎ
#そこには全く報酬が発生しない、つまり完全にただ働き
#合議制だけあって、結局キャッチーなアレンジに誤摩化され、本当の曲の良さでは
選ばれる事が少ない
あと、その後考えてみたのですが
#そもそも凄い名曲が候補に上るのだろうか?
と言う、疑問が湧いてきます。
つまり、自分に置き換えてみると、
~コンペである~自分の曲が採用されるとは限らない~採用されない場合、それは捨て曲になる~
~だから捨てられても良い曲を必然提出する事になる(もったいないから)~
~もし採用されたらラッキーくらいの気持ちだから凄い曲は書けない~
こんなメンタリティーです。
つまり、誰でも良い、あなたでなくても良い、と言われている仕事に200%の曲は
提出出来ないと言う事です。
私なんか、以前の『OOえもん』の主題歌のコンペの時にも、そんなにチカラの入っていない曲を
出しました。
なぜなら、自分の渾身の一曲は自分の子供みたいなものだから、
絶対に祖末に扱われる事に我慢出来ないからです。
だから、コンペなんかに魂の込めた曲を提出するなんて出来ないのです。
コンペに弱いのはそのせい。
リテイクもそうです。
気軽にリテイク出されたら、やはり戸惑います。
こちらは自分の人生全てを賭けて曲を書いているのに、あちら側の好みや都合で簡単に
リテイクされたら、私は徹底的に話をします。
それで、あちら側の熱い思いが伝わったなら、直しをする事を厭いませんが。
この頃の若い作家さん、気軽にリテイクを引き受け過ぎのような気がします。
一度提出した曲にはプライドと自分のキャリアを賭けるべきです。
完成形になるまで提出しない方が良い。
しかし、『どうせリテイクが入るから、この程度で提出しておこう』
なんて考えでは、合理的かもしれませんが本物のアーティストにはなれませんよ。
話が脱線しました。
では、コンペの良い所は?
#無名の若手にチャンスが生まれる
この一点です。
正直コンペが無くなると、優秀な若手が音楽界に入って来にくくなる。
(でも、本当の本物はどんな手段でも出て来るものは出て来るんだけど)
で、前記の欠点と長所を解決する一案を思いつきました。
それは『楽曲のコンペをするのではなく、作家のコンペをする』
と言うもの。
やり方はこうです。
#今回の仕事の趣旨の(歌手、曲調など)説明を受け
#それに沿った以前にやった仕事の(若手で経験がない場合はデモでも)音源を提出
#その音源を匿名で聴きつつ、その中から今回の仕事に合った作家を選ぶ
#その決定した作家は絶対に動かさず、魂の籠った作品を書いてもらう。
このやり方なら、作家は負担も大きくなく、ただ働きで薄い曲を提出する事も無く
安心して渾身の一曲を生み出す事が出来る。
匿名で選ぶので、ベテラン作家や有名どころに偏る事もなく、若手のチャンスは温存される。
どうですか?
良い事ばかりでしょ。
私は『コンペ』と言う悪しきシステムがキャッチーでインパクト勝負の曲ばかりを
世間に送り出し、
その結果、音楽業界が衰退の一途を辿っている事に、心から憂いております。
この方法を関係者さんが検討していただいて、なんとか業界自体のパワーを
復活して欲しい、と思う次第であります。