先日の『アニソンのど自慢』で、串田アキラさんと久しぶりにお会いしたのですが
いつも変わらない笑顔で、いつも変わらないあのパワー溢れる歌唱力には
正直驚かされました。
本当に現役バリバリです。
『今年で何年目なんですか?』
と、訊ねたところ
『アニメは30年、歌手としては42年』!!だそうです。
なんせ、ステージ101からのデビューなんですって。
それだけ歌って来られてるのに、全くと言って良いほどパワーに衰えはありません。
これは、本当に最前線の現役のなせる技に他ならない。
芸が荒れていない、とでも言いましょうか、本当に凄い事です。
特に、串田さんの歌っておられるジャンルのアニソン特ソンファンには
昔のイメージを絶対に変えて欲しくないと言う欲求が強くて
何十年前にレコーディングした時の声や、歌い回しを要求されます。
その期待に応えなくてはならないから、日頃の節制が大事、と言う訳なのです。
ただ、節制はOKなんですが、歌い回しまで当時の自分のコピーをするのは
若干苦しい事もあるのではないか?と思ってしまいます。
何万回も歌っていたら、たまには変えて歌ってみたくなりますよね、普通。
でも、彼はそんな事はしない。
アニソン、特ソンを愛してくれているファンの期待は絶対に裏切らない、
と、思っているに違いない。
今年もブラジルに行かれるそうで、
彼の地では、何と2万人を越えるアニソンファンが集結して、空港を降りた時から
大騒ぎだそうです。
彼はブラジルでは正真正銘の『英雄』なのです。
そんな話しをしながら、ふと串田さんが、
『先生、私ね、アニソンに出会っていなかったら、今頃、とうの昔に消えていたに
違いないって』
『そんな事言うなら、私だって!』
『だから、全てに感謝なんですよ』
『そうですね、その通りですね』
彼と同期の歌手仲間は、もはやほとんど消えているそうな。
同じ意味で、私も同じ頃に作曲家を志して、なおかつ一世を風靡したやつらも
ほとんど時の彼方に消えて行ってしまいました。
彼らの隆盛の時期には、少し妬ましかった事もありましたが、
そんな時もほんのわずか。
この世界は本当に恐ろしくて、いくら大作曲家と言われようと、超ヒットが出ようと
その実績だけで喰えるのは、ほんの数年です。
今は、そのサイクルもどんどん早くなって来て、ほとんど使い捨てみたいに
扱われたりもしています。
そして、一番大事なのは、『今』です。
今、現在にどれだけの新しい仕事をやっているか?
なのです。
大ヒットがあろうと、なかろうと、それは全て過去の事。
今、お仕事がない、と言う事は失業者なのです。
(そんな風に、認めたくはないだろうけど)
私も、『アニメ』と言う世界に限定させていただいたお陰で、
幸い今まで生き残る事が出来ました。
もし、『ポップス』や『実写映画の劇伴』や『テレビ』の世界に浮気をしていたら
きっと、もう消えていただろうと、確信しています。
50代も後半になって、人生最大のスケジュールに忙殺されるなんて
望んでも叶えられる事ではありません。
海外からも招待されたりもするし、、、、、
それだけ、世間に私に対しての需要があるなんて、本当に驚きです。
ありがたい事ですね。
本当にアニメをやっていて良かった、と、心から思っています。
若いミュージシャンの皆さん!
自分ならではのジャンルを開拓しましょう。
他人には絶対マネの出来ない個性です。生き方です。
それが一番大事です。
花火のようにパッっと咲いて、パッと散るのは美しいけど、なんか虚しい。
長く音楽生活を続けて行こうではありませんか。