起訴便宜主義の下では、中国漁船の船長釈放は十分あり得た話 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

皆さんからご批判を受けると思うが、あえて、この記事を書いておく。


ここは、頭を冷やしておいた方がいい。


公務執行妨害罪の容疑で逮捕された中国漁船の船長の処分保留での釈放について議論が沸騰しているが、起訴するか否かの判断が検察官に委ねられている以上、今回の中国漁船の船長の釈放は司法判断としては十分あり得た話である。

検察官が外交的、政治的な問題を考慮したのはゆゆしき問題だ、という議論がネットを通じて広まりつつあるが、私は、やはりここは十分頭を冷やしておいた方がいいと考えている。

起訴便宜主義とは、もともとそういうものである。


(注記:今回の釈放が、起訴便宜主義によるものだというのは、法律的には誤り。もともと釈放指揮は、検察官の処分権の範囲内の問題である。起訴、不起訴、処分保留での釈放の判断が検察官限りで出来ることになっている、ということを指摘したもの、とご理解いただきたい。いとうひでき氏からご注意があったので、注記させていただく。)


検察官が不起訴処分にしたら、その時点で検察審査会に対し審査請求をすればいい。

ここで国会議員がことさらに大騒ぎをしたのでは、結果的に司法に政治が介入することになる。

悪しき先例を残さないことが肝心だ。


皆さんが大きな声を出すことで処分が変わったり、中国政府の態度が変わるのなら、どんなに騒いでもいいが、今の政治状況では何も変わらない。

仙谷官房長官が、検察当局が司法当局の判断として処分保留で釈放したものと受け止めている、と述べているのだから、ここは、そうだろうぐらいにサラッと受け流しておくのがいい。


皆さんは、日本政府が中国政府の圧力に屈して中国人船長を釈放した、などということは決して認めたくないはずだ。

勿論、私も認めたくない。


検察官は、今回の釈放処分を決めるには相当の勇気が要ったはずである。

日本の国益と尊厳を懸けてこの結論を下したはずだ。

その心意気に免じて、ここはぐっと我慢してあげることである。


多分、私も同じ立場にあれば、同じ決断をしたと思う。