【ゼビウス】ゼビウス軍兵器開発史メモ(1982)
「ゼビウス(四番惑星)」は、バイオ(生体)コンピューター「ガンプ」によって統治されていた。ガンプは超能力を持ち、そのサイキック・エネルギーを凝集して、「イル・ドークト」といわれる、ESPを内在し、それを自在に放出することのできる強固な物体を用いて、全ての物を作っていた。地球侵攻時、ゼビウス軍は「トルメ」「タルケン」「ゾシス・イリ」という3種の飛行物を有していた。
ゼビウス/「ゼビ」は数字の「4」を表す古代語、「ウス」は「星」を表す古代語。
イル・ドークト/「イル」は「凝集させた、凍った、固定した」の意をもつ古代語、「ドークト」は超能力を意味する古代語。
ESP/extrasensory perceptionの略。
トルメ/「回る、ひるがえる」を意味する古代語。
タルケン/「強固な」を意味する古代語。
ゾシス・イリ/「ゾシス」は「死」を表す古代語、「イリ」は「運んでくる、やってくる」の意味を持つ古代語。
トルメはグルゼーグ・シリーズの1号機で、主として移動不可能なガンプの感覚器代わりに用いられている。後期型は、「スパリオ(イル・ドークトのESPをエネルギーとしてとり出したもので、目標に対してのみ、そのエネルギーを破壊力とするエネルギー弾)」を装備し、偵察行のみでなく攻撃も可能となった。飛行パターンは水平に直線的であり、旋回時にはキリもみ回転する。
グルゼーグ/「戦うもの」を示す古代語。
グルゼーグ・シリーズ/揚力を、イル・ドークトから引き出すESPによって得るタイプの航空機。ESPを放出する方向を変化させることによって、様々に飛ぶことができるが、慣性を消去していないため、その挙動は現存の航空機に近い。
スパリオ/「素早いもの」の意味の古代語。英訳すると「Zapper」というところか?
タルケンは、ゼビウス軍初の本格的戦闘用航空機である。これは人間1人をセンサー代わりに使い、ゼビウス本星では、万が一のガンプに対する人間の反乱鎮圧用に作られた対人兵器である。上級機種はスパリオの連射も可能であり、飛行性能もすぐれていたが、パイロットの技術が要求されるため、地球にはスパリオ単射のものが投入された。地球侵攻に用いられたタルケンの飛行パターンは、直線的な飛行と反転である。タルケンの反転は中央部のみが、反転する方式をとっている。
ゾシス・イリは、グルゼーグ・シリーズとは異なった飛行方式を持っている。これは地球侵攻用に作られたもので、地球に敵対勢力が存在した場合のために、「ゾシス・イリ(死を運んでくるもの)」と名付けられたが、慣性を中立化した飛行に対し、パイロットが耐えきれず、無人化された。初期型は、敵への対応が的確ではなかったが後期型は改良され、スパリオ連射機能と相まって、地球での戦いのはじめのうちのゼビウス軍の空の戦力の切り札であった。
ガンプはそのサブ・システムとして、水晶の結晶状の「ソル」を、ゼビウス本星の各所に配置していた。ソルは、地球でのガンプのサブ・システムとして働くために、地球に打ち込まれた。ガンプはそのテレポート能力で、地中にソルを埋め込んだ。埋め込まれたソルは、「ファードラウト(古代人が移住した6つの星が地球を中心に直交する現象)」の時に生じるエネルギーで地上に出現し、本来の機能を発揮する。
ソル/「核となるもの、太陽、中心」などの意味の古代語。
ファードラウト/「ファー」は数字の「6」を表す古代語、「ドラウト」は「交差、交わり」を表す古代語。
地球に地上部隊として送られたのは、「バーラ」「ゾルバク」「ログラム」である。バーラは地球のピラミッドのような形をしたもので、全体がイル・ドークトの塊で、ESPを多量に蓄積して他の物に供給する働きを持っている。この形は、外部から吸収するESPを効率よく蓄積することができる。
バーラ/「箱、四角いもの」を表す古代語。
ゾルバク/「窓、見る所」を表す古代語。
ログラム/「球」を表す古代語。
ゾルバクは、地球での状態を直接ガンプが認識できるように作られた、情報収集システムである。これは実際の戦闘などでは戦術的な情報収集の要となるもので、現在のレーダーのような意味合いを持っている。
ログラムは、地球侵攻の際、橋頭堡とするべく作られたドーム状の砲撃拠点である。全体の形は球形であるが、いずれの方向にもスパリオを発射することが可能であり、地上では半分を地中に埋めた状態で上よりスパリオを発射する。イル・ドークトはESPの固体化であり、その姿形はESPによって容易に変形する。ログラム内部に集中されたスパリオは、そのESPエネルギーでログラム上部を抜いて目標に向かう。
地球人の反撃に会ったガンプは、有人兵器を投入せざるを得なくなる。
「グロブダー」はゼビウス本星では、イル・ドークトを輸送するために使われていたが、地球では主に兵員輸送用として用いられている。本体左右に螺旋状にフィンの付いたフロートを持ち、左右のフロートを逆回転させることにより直進する。海上ではスピードがやや落ちるが、通常速度程度の走行は可能である。
地上からの攻撃力の向上のために、「ゴルド・レフ」「デフ・ログラム」が開発され、後に火力の充実のため「デオルタ」が作られる。また、「ソル・バルゥ」の出現によって、イル・ドークトが破壊されるに至り、純粋イル・ドークトである、「ナプルーサ・バキラ」が作られる。新兵器の運用には今まで以上のエネルギーが必要になり、「ガルブ・バーラ」が作られた。この技術は兵器にフィードバックされ、「ドフ・デオルタ」によって防御拠点を得ることができた。
ゴルド・レフ/「レフ」は数字の「5」を表す古代語、「ゴルド」は「恐怖の、超常の」の意味を持つ古代語。
デフ・ログラム/「デフ」は「移動する、進む」の意味の古代語。
デオルタ/「希望」の古代語。
ナプルーサ・バキラ/「ナプルーサ」の「ナ」は否定を表す意味を持ち、「プルーサ」は「可能」の意味を持つ古代語。「バキラ」は「破壊、撃破」の古代語。
ガルブ・バーラ/「ガルブ」は「大きい」の意味を持つ古代語。
ドフ・デオルタ/「ドフ」は「乗せる、支える」の古代語。
ゴルド・レフはログラムを4つ集めただけの、その場しのぎのものであった(この時の名前は「ゼビ・オ・ログラム」)。その中心にログラムの改造であるコントロール部を接続して有人化した。初期は効果を上げたが、ソル・バルゥが出現し、戦力は圧倒的なものではなくなった。4つのログラムは独立してスパリオを発射することができるが、コントロール部を破壊されるとゴルド・レフ自体が誘爆してしまうという弱点がある。
ゼビ・オ・ログラム/「ゼビ」は数字の「4」の、「オ」は「~の」の古代語。
デフ・ログラムはログラムのホバーリング機能を持たせたものであり、基本的な戦闘力はログラムと変わらない。グロブダーのようにどこでも行けるわけではなく、整地(主として路上)を移動しつつ砲撃を行なう。
デオルタはログラムとは異なったスパリオ生成法を採用し、連射が可能になった。ログラムでは球内部にスパリオを生成させて装甲の一部を展開して発射していたが、デオルタは「U」の字のような穴の中にスパリオを生成させ、タイムをロスすることなしに発射できる。スパリオの生成効率は前者に劣るが、より大きなエネルギーで駆動することにより解消されている。
ナプルーサ・バキラはソル・バルゥの出現によって破壊されるようになったイル・ドークトをそのESP集中度を上げて、さらに強固にしたものである。ガンプは自身が地球に再生した時の拠点を設営するためにこれを作り地球に投入した。敵対するESP兵器に対しては絶対的な強度を持つ。
ガルブ・バーラは軍の運用に必要なエネルギーがバーラだけで賄いきれなくなったために作られた。土台となる部分はナプルーサ・バキラで作られ、バーラに比べ、その信頼性は飛躍的に向上した。
ドフ・デオルタ、ガルブ・バーラで土台にナプルーサ・バキラを用いたことは、ガンプの予想以上の効果があった。ガンプはこれを兵器にも応用することを進めたが、ナプルーサ・バキラは製作に時間と膨大なESPが必要なため、実戦に配備されたのは、デオルタをパワーアップしたドフ・デオルダだけであった。
一方ソル・バルゥの出現で、地上に固定された兵器はその戦力が事実上減少した状態となった。ガンプはソル・バルゥと同様な航空機の開発を余儀なくさせられることになった。そして、一時しのぎに、イル・ドークトとは違った方法でESPを集中した「ブラグザ」を送り、遠距離より「ブラグゾ・スパリオ」でもってソル・バルゥに攻撃を加えた。
ブラグザ/「強い」の意味であるが、「真打ちの、本当の」の意味合いで使われている古代語。
ブラグゾ/ブラグザと同様の意味。
ブラグゾ・スパリオとはスパリオの遠距離用ののもの。スパリオよりスピードが速いが、その分ドークトの集中が甘く、敵対するエネルギーに対し相殺してしまう。凝集力が小さい分、スパリオより大きくなっている。
ガンプはトルメと同じ原理である高速の「ジアラ」を投入。そして、グルゼーグ・シリーズではなく、新たに全く違った性質のものを開発する。それはテレポート能力を活用した、「シド・ザカート」であった。シド・ザカートの投入と同時にガンプはブラグザによって起動する超大型要塞「アドーア・ギレネス」を地球に送った。
ジアラ/「独立した、単独の」の古代語。
シド・ザカート/「シド」は「空」の意、「ザカート」は「奇跡、魔法」の意。
アドーア/「完全、完璧」の意。
ギレネス/「支配、占領」の意。
ジアラは、本体から伸びる側板により、ESPを放出して高速度を得るタイプの航空機で、高速である以外の性能はトルメと同じ。
シド・ザカートは、テレポートによって忽然と出現し、空中を移動後スパリオを発射して再びテレポートして消えてしまう。近距離へテレポートで接近する戦術は効果をあげ、シド・ザカートはシリーズ化される。
アドーア・ギレネスはガンプ本体とも言うべきブラグザを核に持った要塞で、全てナプルーサ・バキラで造られ、その4門の砲台は「アルゴ」と呼ばれている。しかしこの要塞は核であるブラグザの装甲が弱いため「完全な支配」には役立たなかった。
アルゴ/「発射する」の意。
ガンプにとって急務はソル・バルゥの進攻を防ぐことであった、グルゼーグ・シリーズはスパリオの連射できるタイプが作られた。「カペ」「テリアス」がそれである。シド・ザカートシリーズは「レミニ・シド・ザカート」そして「ブラグゾ・シド・ザカート」と発展した。
カペ/「反転、一回り、一年」の意。
テリアス/「最終、究極」の意。
レミニ/「無限、極限」の意。
カペはタルケンが反転中に被弾しやすかったことを改良して、機体全体で滑らかに反転するタイプである。スパリオは連射可能で、グルゼーグ・シリーズの完成への目途となる。パイロットはタルケンのパイロットがそのまま流用されている。プロトタイプはナプルーサ・バキラで作られた。しかし材質よりスピードを重視したガンプは、ナプルーサ・バキラの使用をやめテリアスを開発した。
テリアスはデザイン・性能ともにグルゼーグ・シリーズの最高峰になる。スピードはソル・バルゥをはるかにしのぎ、反転のスピード、旋回性能ともにカペを上回った。また、コクピットをカペより前方にもってきたために視認性が良くなり、回避運動が容易となった。そのため、被弾率が下がり、スパリオの連射の早さと相まってソル・バルゥの強敵となった。
シド・ザカートの改良点は多弾化という点であった。レミニ・シド・ザカートは、敵に追従する能力を持つ「レミニ・スパリオ」を4発と、高速スパリオ16発を一瞬に発射する兵器である。しかし、多弾化による重量と体積の増加のため、テレポートによって移動することが不可能となり、その直線的な飛行パターンゆえに本来の能力を出し切る前に撃破されてしまうことが多かった。
ブラグゾ・シド・ザカートは、多段化とテレポートを両立したシド・ザカート・シリーズの最強力機種である。後期型のものはソル・バルゥから発せられるESPを感知し、ソル・バルゥの近くでのみ5発の高速スパリオを発射する。見た目でシド・ザカートと大きく異なるのは、ESPの高密度化に伴う中央部の赤い発光である。
ソル・バルゥは古代人「ムー・クラトー」とその女性アンドロイド「イブ」の持ってきた技術によって作られた戦闘機である。火器は対空用のザッパー2門と対地用ブラスター1門を持つ。この2つの武器は基本的にゼビウス軍のスパリオと同じものである。
「シオ・ナイト」は、古代人ムーたちが、ゼビウスより地球まで来るのに用いたテレポートタイプの宇宙船で、地球ではゼビウス人の非適合者たちが使用している。彼らは彼らを除外したガンプに反対してムーたちと行動を共にしたが、さりとて母星の軍と戦うこともできず、中立の立場で戦闘を見守っている。
シオ/「2」
ナイト/「おく、合わせる」
--------------------------------------------------
このメモはゼビウスのストーリーをまとめるにあたり、ゲームに登場する順番に兵器が開発されたものとした開発史になります。そのため、一部名称が製品版と異なっています。
トルメ ⇒ トーロイド
ゾシス・イリ ⇒ ゾシー
デフ・ログラム ⇒ ドモグラム
デオルタ ⇒ デロータ
ナプルーサ・バキラ ⇒ バキュラ
ガルブ・バーラ ⇒ ガルバーラ
ドフ・デオルタ ⇒ ガルデロータ
ブラグゾ・スパリオ ⇒ ギドスパリオ
シド・ザカート ⇒ ザカート
アドーア・ギレネス ⇒ アンドアジェネシス
カペ ⇒ カピ
テリアス ⇒ テラジ
レミニ・シド・ザカート ⇒ ガルザカート
ブラグゾ・シド・ザカート ⇒ ブラグザカート
ゲームの設定のためにストーリーが書かれたと言われるゼビウスですが、実際には並行作業でストーリーが作られていました。このメモはその時系列を示す資料になります。書き込まれたカットを見ると、既に発売されているデザインと同様のものであることがわかりますが、名称などは発売のものとは異なっています。
「グロブダー」に関して相当する古代語(ゼビ語)が記述されていないのは、単にこの名称が「濁点を付ければ何でも強そうに聞こえる」という理由で「ゼビウス」という名称になったこととリンクしています。「黒豚」に濁点を付けて「グロブダー」というわけですね。若気の至りではありますが、その後グロブダーという名前は結構気に入っていて、フィーチャーしたスピンオフ的作品も作ります。