ノーバート・ウィナー著『サイバネティックス』が岩波文庫の最新刊コーナーに平積みになっています。なんと50年以上経ってのようやくの文庫化です。文庫版第1刷発行2011年6月16日。
「サイバネティックス」をライトなビジネス書の中で、まともに取り上げたのは、おそらく私えんじんの仕事が初だろうと思いますが、まあそんなことはどうでもいい。
ウィーナーは1956年の第1版「日本語版のまえがき」で、こう書いています。
われわれの状況に関する二つの変量
があるものとして、
その一方はわれわれに制御できないもの、
他の一方は制御できるものとしましょう。
そのとき制御できないものの変量の過去から現在にいたるまでの値にもとづいて、
調節できる変量の値を適当(エキバレント)に定め、
われわれに最も都合のよい状況をもたらせたいという望みがもたれます。
それを達成する方法がCyberneticsにほかならないのです。―( )内補足は引用者
昨日の記事「大天使ミカエルの運動する中庸」 を少し科学的に記述しようとすると、サイバネティックスに近くなるのかもしれません。
ここからは少し強引ですが、2つの変量の一つを、現代政治に代表されるたかだか百数十年の歴史しかない「文化」として、もう一つを「文明」とすれば、時代をまたいでtransitしていくための「中庸」がより運動として掴みやすくなるかもしれないと思います。
「振幅」なしにはありえない中庸を、日常の営為に組みこんでいくための、ささやかなヒントとして。
ウィーナー サイバネティックス――動物と機械における制御と通信 (岩波文庫)
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ノーバート・ウィーナー
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