突然、値段が急上昇したのに、すぐに元に戻ってしまうことって、ありますよね。
そんなチャートを後から振り返って、
「もったいない!うまくトレードすれば、短時間で利益にできたのに!」
と思ったことはありませんか?
ですが、果たして、本当にうまくトレードできるものでしょうか?
例えば、次のようなチャートを見ると、
「310円で買って、330円で売れば、仮に10万株なら200万円の利益だった!」
と思うかもしれません。
これは、2月21日(木)のお昼前の【4594 ブライトパス・バイオ】のチャートです。
株であれば、いつ、いくらで、どれくらいの株数の取引がされたのか、すべて分かります。
果たして、10万株の株を、310円で買って、330円で売って、200万円の利益にできたのか、検証してみましょう。
■大きな資金は動かせない
まず、履歴を見ると、ほとんどの注文は、数百株から数千株、せいぜい1万株ちょっとの株数でしかなかったことが分かります。
2.5万株を超える大口の注文は、次の通り、数えるほどしかありませんでした。
11:05:28 326→327円 62000株 買い
11:05:35 329→330円 33000株 買い
11:08:31 333→330円 37500株 売り
11:10:48 327→322円 50000株 売り
11:14:56 322→320円 25000株 売り
11:21:14 318→314円 61000株 売り
最大の注文でも、6万株ほどしかありません。
金額に直すと、およそ2000万円ほどです。
つまり、この急上昇に参加したトレーダーは、それほど大きな資金を動かしていた訳ではありません。
個人トレーダーが集まって、急上昇したような印象です。
また、この【4594 ブライトパス・バイオ】は、板が薄く、大きな資金で売買することは、そもそも無理でした。
例えば、11:10:48には、5万株の売り注文で、一度に327円から322円まで値段が動いてしまっています。
数千株の買い板しかないところに、数万株の売り注文を出したら、こうなってしまいます。
ましてや、10万株もの注文は、現実的には実行できなかったでしょう。
■売り抜けるのは難しい
また、急上昇して値段が上がったところで、うまく売り抜けて利益にするのは、かなり難しいです。
大口の注文を見ると、上昇中の買い注文では、たとえ6万株の大口注文でも、値段は1円しか動いていません。
しかし、下落中の売り注文では、5万株の大口注文によって、値段が5円も下がってしまっています。
11:05:28 326→327円 62000株 買い
11:10:48 327→322円 50000株 売り
つまり、急上昇が止まって下がり始めてから売り抜けようとした場合は、自分の売り注文によって値段がかなり下がってしまうので、高値で売り抜けるのは難しいことが分かります。
天井を確認してから売るのであれば、ある程度の値幅は捨てる覚悟が必要になります。
もしくは、下がり始める前に、急上昇している途中で厚い売り板を指値で入れるのであれば、高値で売り抜けることはできるかもしれません。
但し、その場合は、いくらで売り抜けるかを決めるのは、かなり難しいです。
もし、320円に指値を入れてしまったら、その後、334円まで急上昇したのに、その分の値幅は獲り損ねてしまいます。
逆に、340円に指値を入れてしまったら、売れないまま、値段が元に戻ってしまい、利益を獲り損ねてしまいます。
後からチャートだけを見れば、うまくトレードすれば利益にできたかもしれない、と思いがちです。
ですが、実際にその時の売買を見ると、そううまくはいかないことが分かります。
特に、ある程度まで資金が大きくなると、難しくなります。
今回の例では、もし資金が100万円ほどで、3000株ほど買うのであれば、下がり始めてからでも、天井の近くで売り抜けることはできたかもしれません。
ですが、その場合の利益は、おおよそ数万円くらいです。
結局、チャートの値動きは派手でも、実際に獲り得る利益の額を考えると、それほど大きなチャンスでは無かった、ということもある訳です。