前回のブログ「 優位性さえあれば、予想はしなくていい 」では、トレード手法に優位性さえあれば、上がるか下がるかは、予想しなくていいし、全然分からなくてもいい、とお伝えしました。
ただ、上がるか下がるかは分からなくてもいいのですが、その優位性が「今でもちゃんと通用するかどうか」は、分かっている必要があります。
優位性とは、「続ければ利益になる」と信じられる根拠です。
信じられるのは、しっかりと筋の通った理論的な裏付けがあるから、かもしれませんし、過去の実績で証明されているから、かもしれません。
ですが、必ずしも、将来も利益をもたらしてくれる保証は無いのです。
例えば、ボリンジャーバンドを使って、「2σまで動いたら、反転して戻ってくることの方が多い」という統計学的な優位性は、どうでしょうか。
ボリンジャーバンドの標準偏差や、その範囲に収まる確率は、正規分布に基づいています。
実際の相場は正規分布ではありませんし、真の確率分布を知る術はありませんが、「正規分布で近似してもいいだろう」という仮定で作られたインジケーターです。
ですが、もしも正規分布から極端に乖離した相場になったら、この優位性は通用しなくなってしまいます。
また、過去10年間のデータを使ってバックテストを行い、トータルで利益になることを確認した、という事実を優位性にしている場合は、どうでしょうか。
もしかしたら、過去10年間は上昇トレンドだったのに、これからはずっと下降トレンドになってしまうかもしれません。
もしくは、AIによる自動売買が広まって、相場の動きが大きく変わってしまうかもしれません。
このように、相場の性質が変わってしまったら、おそらく、バックテストの結果は無意味になってしまうでしょう。
何がどうなっても利益になるような、絶対的な優位性は存在しません。
どんな優位性にも、何らか前提としている条件があります。
「確率分布が、正規分布から極端に乖離しなければ・・・」
「過去10年間と、これからの相場が、大きく違わなければ・・・」
これらの前提が変わってしまったら、優位性は通用しなくなり、利益は出なくなります。
トレード手法の優位性を理論的に説明したり、バックテストで実証することは、とても大切ですし、そうすれば、「続ければ利益になる」と信じられることでしょう。
ですが、それ以上に、そのトレード手法の優位性が何を前提としているかを理解すること。
そして、その前提が変わっておらず、まだ優位性が通用しているかを、つねに確認することが大切です。