新入社員のように、教育が不十分である場合は仕方がない。OJT(現場教育)のための時間をスケジュールに織り込んでおけば済む話だ。しかし、そうでない場合も多く、困ったことだ。
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かつて、私のプロジェクトにもそういうプログラマがいた。技術力が低いばかりか、欠勤、遅刻、居眠りの常習犯。おまけにコミュニケーションも苦手だった。
彼(仮にAさんとしよう)は、他社から派遣してもらった、いわゆる外注プログラマだった。全く戦力にならないので、解約してもらえないか、上司に相談した。しかし、彼の派遣元の会社が「1人分の料金で、もう1人サポートを付けます」と言って来たらしい。おそらく、その会社は人材が余って困っていたのだろう(関連記事「プログラマの出向事情 」を参照)。私の上司も、それならということで、彼の残留を決めた。
しかし、サポートのために来たはずのBさんは、素人同然の人材だった。簡単な仕事を頼んでも、彼は「Aさんの助けがなければできない」と、平然と主張するのである。しかも、そのAさんは、ほとんど出社していない状態だった。
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ただでさえ無理のあるスケジュール。即戦力が必要だからこそ外注要員を入れているのに、「マイナス」をいくら加えても逆効果である。一時的に投入しているだけの他社の社員を教育してやるような余裕(工数)もない。
プロジェクトのことを考えると、彼らにはいわゆる「窓際族」になってもらうしかなかった。とはいえ、全く仕事を与えないというのも可愛そうだ(※)。2人には、誰にでもできそうな無難な仕事を見つけてやらなければならなかった。
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システム開発はプロフェッショナルの仕事である。その中で、「誰にでもできる作業」を見つけることは難しい。テストデータの作成や機械的なテストの実施など、そういった作業が全く無いわけではない。しかし、そんなのは開発工程のごく一部だ。結局、バグがあっても致命傷にはならないような機能をどうにか見繕って、プログラミングしてもらうことにした。もちろん、後で作り直す覚悟の上である。
「簡単な仕事を探す」という難題。そんな本質的ではないことに頭を悩ませているプロジェクト管理者は、意外と多いかもしれない。
・・・そう思わせるほど、「マイナスの生産能力」を持つ人材が多いのも困ったものである。
※本当に可愛そうなのは、彼らが働かない分、余分に働かされる他のメンバーなのだが・・・。このプロジェクトは結局「デスマーチ」になってしまった。
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プロジェクトを成功させる 現場リーダーの「技術」
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on 06.07.30
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