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ASUS×Micronのマザーボード解説イベント開催、次世代メモリ「LPCAMM2」の話や国内発売前ゲーミングチェアの展示も

 ASUSは21日、Intel Z890マザーボードを紹介するイベント「ASUS NEXT GENERATION CUSTOM PC 2024 Winter」を開催した。会場はLIFORK AKIHABARA II(千代田区外神田3-13-2 秋葉原TMOビル 1F)。共同主催はテックウインド。

 ASUS製マザーボードの中でも、Z890チップセットの搭載モデルを中心に展示/解説を行なうイベント。機材協賛としてマイクロンジャパンが参加しており、当日はCrucialの「CUDIMM」および「CSODIMM」搭載製品についても解説した。登壇者はASUSのジョージ(市川彰吾)氏、マイクロンジャパンの宮本貴通氏、声優の村井理沙子氏の3名。

ASUSのジョージ氏
声優の村井理沙子氏
マイクロンジャパンの宮本貴通氏
会場の様子

 最初のセッション「Intel Z890マザーボード・新製品紹介」では、ジョージ氏がZ890チップセット搭載製品を紹介。現行機種の特徴としては、上位モデルの「ROG MAXIMUS Z890 EXTREME」に搭載しているM.2 Gen5スロット向け冷却機構「3D Vapor Chamber」や、カスタマイズ可能な5型イルミネーションパネル「Polymo Lighting II」を挙げた。特に3D Vapor Chamberについては、既存のM.2 SSDの付属品には存在するものの、マザーボード上の直接搭載がASUSとして初の試みであるとした。

「大抵のことはできる」という上位モデルROG MAXIMUS Z890 EXTREME
表示内容を自由にカスタマイズできる5型液晶ディスプレイ搭載
M.2 Gen5向け冷却機構の3D Vapor Chamber

 現行機種を紹介する中では、特徴的なモデルとしてOC特化の「ROG MAXIMUS Z890 APEX」や、Mini-ITXマザー「ROG STRIX Z890-I GAMING WIFI」、クリエイター向けの「ProArt Z890-CREATOR WIFI」について言及。

ROG MAXIMUS Z890 APEX
9,000MT/sのOCメモリと冷却に対応
I/Oパネル裏の大きなヒートシンクが特徴的なmini-ITXマザー「ROG STRIX Z890-I GAMING WIFI」
クリエイター向けブランドProArtのZ890チップセット搭載機
組み立て補助機構Q-Design体験コーナーの展示モデルもProArtだった

 ROG STRIX Z890-I GAMING WIFIはASUSの現行Z890ラインナップで唯一のmini-ITXであり、外観上は様々な部品が敷き詰められた凝縮感も特徴的だ。イベントではI/Oパネルの裏に配置しているVRMのヒートシンクがうず高く積み上がっているように見えることを指して「違法建築」と揶揄されていたが、市川氏は違法建築の例として2012年発売の「P8Z77-I DELUXE」を引き合いに出して「この程度なら合法」と主張していた。P8Z77-I DELUXEはVRMを別基板として垂直に配置することで回路分の面積を稼いだmini-ITXマザーボード。

 ProArt Z890-CREATOR WIFIについては、PCIeスロット周りの大きな放熱板が一気に開く「M.2 Q-Release」によって、現行モデルの中では最も組みやすい製品と紹介している。

各種OC関連機能

 現行機種全般の特徴的な機能としては、NPU向けOC機能「NPU BOOST」、M.2 Gen5 SSD向けに電力を安定供給する「ROG M.2 PowerBoost」、UEFI上でハードウェアの認識確認と設定へのアクセスが簡単に行なえる「Q-Dashboard」などを挙げた。

 ユーティリティではマザーボードに関連する質問を自然言語で質問するとAIが回答する「ASUS AI Advisor」を紹介。入手できるバージョンはまだベータ版かつ英語のみのようだが、日本語版のテストも行なっているという。

Arrow LakeのNPUワークロードを効率化して性能を最大24%向上させる「NPU BOOST」
ROG M.2 PowerBoost
UEFI上でデバイスの認識状態を視覚的に確認/設定できる「Q-Dashboard」
Z890チップセット搭載マザーボードのWi-Fi 7対応状況
一部機種についてはThunderbolt 5への対応もアピール
自然言語でAIと対話して問題を解決できるベータ機能「ASUS AI ADVISOR」

 この日はマザーボードだけでなく、ROGブランドのゲーミングチェアやPCケースも会場に展示していた。

 ゲーミングチェアは「ROG CHARIOT X GAMING CHAIR」「ROG CHARIOT X CORE GAMING CHAIR」「ROG DESTRIER ERGO GAMING CHAIR」の3脚を紹介。いずれもランバーサポートやヘッドレストを装備。海外では販売が開始されているが、国内向けには発売日未定とされており、国内発売前の新型チェアを先行して試すことができる機会となった。

ROG CHARIOT X GAMING CHAIR
ROG CHARIOT X CORE GAMING CHAIR
ROG DESTRIER ERGO GAMING CHAIR
「ROG RYUJIN III 360 ARGB EXTREME WHITE」の先行展示も行われていた

 PCケースでは、12月上旬に発売したばかりのピラーレスATXケース「TUF GAMING GT502 HORIZON」をアピール。ピラーレス構造だが、30kgの耐荷重を確保。別売の追加ライトモジュール「TLK-01」を組み込んだ動態展示も行なっていた。

ピラーレスATXケース「TUF GAMING GT502 HORIZON」
ピラーレスケースながら30kgまでの耐荷重を達成
オプションのLEDイルミネーションパーツ「TLK-01」も用意
オプションパーツはブラックのほかにホワイトも用意されている
パーツを組み込んだ実機展示も実施
ASUSのTUFシリーズとCrucialのパーツで統一された構成になっていた

 ProArtブランドのPCケース「PA602」は、フロントパネルに木材を使用したモデル、他メーカーで採用されているウォルナット材よりも硬いアッシュ材を使用している点がアピールされていた

ProArtのATXケース「PA602」
競合とのフロントパネル木材強度比較

 マイクロンジャパンのセッションでは、宮本氏がCrucialブランドのメモリやSSDの現行製品や採用技術について解説した。

Crucialのコンシューマ向けDRAMのラインナップ、次世代規格の一つLPCAMM2も紹介された
アイダホ州ボイシにあるCrucial本部の外観。本邦初公開らしい
CUDIMM/CSODIMMの特徴まとめ

 CUDIMM/CSODIMMメモリは、クロックドライバの統合によってメモリモジュール上でクロック信号を生成する。規格上6,400MT/s以上のレイテンシをサポートし、対応CPUはArrow Lake以降。非対応のシステムではバイパスモードで駆動する。

 日本では秋頃から搭載製品の販売が始まっており、Crucialブランドでは容量16GBの製品をラインナップしているが、日本での販売は未定となっている。宮本氏によれば、国内販売に向けて市場調査中とのことだ。

 「次世代プラットフォーム用」として紹介された新メモリモジュール「LPCAMM2」については、特にノートPCやそれより小型のフォームファクタに向けた製品として位置付けを説明。ここではSODIMMと比べて低い消費電力や設置面積の少なさ、着脱の容易さをメリットとして紹介していた。現状は製造コストの面からLPCAMM2を採用している製品は少ない。Crucialとしては2025年以降に何らかの発表を行なう旨を示唆する発言があった。

現行機種のCUDIMMとCSODIMM。国内未発売
新旧メモリ規格の比較
2025年以降に何らかの発表があるかも、とのこと
会場に展示していた現行のCrucial製品

 このほか、宮本氏からはメモリとSSDの選び方が用途別に紹介された。ゲームPC向けのメモリ容量は遊びたいタイトルの推奨値から1.5倍以上が目安。速度はクロックが速くCLも詰まっているほど良いとした。配信向けや動画/写真編集向けPCについてはメモリ容量が大きければ大きいほどよく、安定性の観点からOCメモリは避ける方が無難だという。

メモリ容量は多ければ大きいほど良い
ゲームPC以外は安定性重視が無難

 SSDについてはM.2 Gen5の使用を勧めているほか、書き込み主体の動画/写真編集用途を除けば、QLCでも十分だと説明していた。

 「SSDを長持ちさせるには、ケース内のエアフローを確保することも重要です。ヒートシンクは内部の熱を外に出すパーツなので、周囲の空気が流れてさえいれば一定の効果があります。メモリやSSDは温度が一定に保たれていれば常に一定の性能を発揮できるので、結果的に長持ちしますね」(宮本氏)とのこと。

Crucialの現行M.2 Gen5 SSD「T705」
T705の特徴
避けられがちなQLCだが、現行機種は技術の進歩によって出始めの頃とは別物に近いという
外付けSSD。市場シェアは3%で売らないとヤバいらしい

 最後のセッションとなる「座談会」では、ここまでの登壇者3人にASUS JAPAN OPビジネスグループ パートナーマネジメント部アカウントマネージャーの海野洋一氏を交えて、ASUSとマイクロンの2024年を振り返った。

最後のセッションでは海野氏を交えて2024年を振り返った
ASUSの海野洋一氏

 今年はAMD製CPUの人気が高く、発売即完売した「Ryzen 7 9800X3D」の品薄も記憶に新しい。

 海野氏によればマザーボードもかなりの数が出ており、業界がおおいに盛り上がったと話す。一方でAMDの製品は「良品安価」な面もあると指摘し、「しんどいのでもう少しバランスを考えてほしい」と本音もこぼれた。推しの製品としてはProArtシリーズを挙げている。「シンプルでシックなデザインがかっこいい。光るのはもういい」とのことだ。

 宮本氏は今年前半のSSD市場について「売るものがなくて苦しかった」と振り返る。今年初頭までのフラッシュメモリ市場は2022年から不調が続いており、春頃までは生産を縮小していた。夏頃からは売上も戻ったという。

 またCrucial製品に関しては、SATA SSDの「MX500」が販売を終了したことにも言及。約7年の長期間にわたって売れ続ける製品は珍しいと話し、今後はBXシリーズがMXシリーズのポジションを埋めると話した。ほしいASUS製品は14型ノートPCの「ROG Zephyrus G14 GA403」だという。

 ジョージ氏は一言「忙しかった」とこぼす。年始から新製品発表やイベント出演などをこなし、合間にミーティングやニュースリリースの作成などを行なう激務が常態化したという。また自社製品の性質上、他社の発表も無視できないので、大きな発表が続くと連鎖的に多忙を極める。ここではTGS(東京ゲームショウ)のバックヤードで発表間近のニュースリリースを書いていた話を披露した。

 なお、年明けにも早々から新製品発表が控えており、それとは別に1月から2月にもイベントを予定しているため、年末もあまり気が抜けない。年間通して忙しいため、「開き直って毎日飲みに出かけるようにした」と話した。

 イベントでは最後に、恒例のじゃんけん大会を実施。今回はジョージ氏のデスクの周りに「なぜか生えてきた」というPCケースが賞品として用意され場を沸かせていた。

じゃんけん大会も実施
会場のLIFORK AKIHABARA II
会場に展示されていた製品
ATXケース「ROG Hyperion BTF Edition」を用いたデモPC
ROG STRIX Z890-F GAMING WIFI
ROG STRIX Z890-A GAMING WIFI
ROG MAXIMUS Z890 HERO
Z890-AYW GAMING WIFI W
PRIME Z890M-PLUS WIFI CSM
PRIME Z890-P WIFI-CSM
TUF GAMING Z890-PLUS WIFI