ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコンたち
PC-88シリーズの最後を飾ったラストエンペラー「PC-8801MC」
2021年1月5日 00:10
想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回は、PC-88シリーズのトリを飾った、CD-ROMドライブも搭載できる「PC-8801MC」を取り上げました。発売は1989年。
1985年に発売されたPC-8801mkIISRをきっかけに不動の人気を得ることとなったハチハチですが、その後もモデルチェンジを繰り返してシリーズを重ねていきます。
PC-8801mkIIMRでは2HDを採用、PC-8801FH/MHではCPUの速度が8MHzに、そしてPC-8801FA/MAで音源のパワーアップ、PC-8801FEでは家庭用テレビへの接続といった強化手段をとってきましたが、1980年代も終わりへと近づいた89年11月にデビューしたのは、CD-ROMドライブが搭載できるPC-8801MCという機種でした。用意されたモデルは2種類で、CD-ROMドライブ別売りのmodel 1が169,000円、CD-ROMドライブ標準搭載のmodel 2は199,000円という値付けとなっています。
PC-8801MCのキャッチコピーは「ボクらにデビュー 音と光の大魔術。」で、「こんどの88は、CD-ROMがメチャ楽しい。」と広告では謳われていました。さらに「すばらしいステレオサウンドや新しいパソコンの世界が楽しめる先進のCD-ROMドライブを搭載」と特徴が紹介されていたほか、“インテリジェントCDプレーヤ機能を内蔵”していること、“すっきりスマートな縦置き型のデザイン”を採用していたことなども前面に押し出されています。
PC-8801MCではPC-8801FE2と同じく、各種設定は起動時にPCキーを押すことで呼び出せるセットアップモードから行うようになっていました。そのため、ディップスイッチの類は省略され、スイッチ類は電源スイッチとリセットスイッチだけとなっています。
CD-ROMドライブはPC-8801-30として30,300円で別売されたほか、広告では「PCEngine用CD-ROM 2 のCD-ROMドライブ(CDR-30)を接続することも可能です。<PCEngine用のソフトを88で使用することはできません。>」とも記されていました。PC-8801mkIISRやPC-8801FH、PC-8801MAなどのハードにCD-ROMインタフェースセット・PC-8801-31を使用すれば、それらの機種にもCD-ROMが接続可能です。
縦置きということで底面には足がつけられていたほか、正面下段の各種インタフェースの説明も縦置きで正しく読めるようになっていました。ただし、ヘッドホンとリセット、音量と書かれた説明だけは横向きに記されています。その3つが正しく読めるように横置きしてしまうと、ドライブ1が下段、ドライブ2が上段という配置に。なお、背面のインタフェース説明書きはすべて、縦置きした時に正しく読めるよう書かれています。
従来から搭載していたFDDに加えて、容量が大幅に増加するCD-ROMドライブを採用したPC-8801MCですが、この時期には各ソフトハウスともターゲットをPC-98シリーズやX68000などにシフトさせていたため、CDという大容量を活かしたソフトは残念ながらわずかしかリリースされませんでした。一部ソフトハウスは、ゲーム中のBGMを演奏させる手段としてCD-ROMドライブを活用していましたが……。
PC-8801に始まりPC-8801mkII、PC-8801mkIISR、PC-8801mkIITR、PC-8801mkIIFR/MR、PC-8801FH/MH、PC-8801FA/MA、PC-8801FE/FE2、PC-8801MA2、そしてPC-8801MCと続いたPC-8801シリーズは(後にPC-98DO+が発売されますが)、ここでその長きにわたる歴史に幕を下ろします。PC-98DOシリーズやPC-88VAシリーズに関しては、また別の機会に取り上げたいと思います。