【読書メモ】Twitterの衝撃
作成者: advernya : 11月 15, 2010
【読書メモ】Twitterの衝撃
140文字がビジネスからメディアまで変える
◎リアルタイムな「場の共有」が出来る
世界中のつぶやきがまずtwitter社のサーバーに集まり、そこから配信される仕組みになっている。
そのため、そもそも情報をかき集める手間もない。ひと言つぶやくのには、投稿の敷居が低ぶん新鮮度が高い。
Twitterは情報の伝播力に優れている。他のメディアよりも発信頻度が高く、不特定多数に向けたメディア。
◎twitterはTVと同じような受動メディアとしてもとらえられる
自らがキーワードで検索しなくても、適切なユーザーをフォローしておけばどんどん画面に表示される。
twitterを介して情報が集まってくる。
◎ユーザーと外部開発者がtwitterを育てる
ハッシュタグはユーザーがはじめた。特定のテーマに関するつぶやきが後から検索しやすくなり、ユーザーに広まるとtwitter社はすぐに取り込んだ。リツイートも機能もユーザーが勝手に始めた作法であった。
◎iPhoneとtwitterはどちらもライフスタイルを変えた革命的な存在
世界最大のノキアも撤退し「日本では海外携帯は売れない」という通説をiPhoneがくつがえす。
◎「新しい情報が上」の構造
従来のメディアの順を追った情報ではなく、ブログ・SNS以降は最新情報が上に来る。
twitterは140字に区切る事で、さらに情報の鮮度も上がった。情報が大きい程時間の幅が大きくなる。掲載されたばかりのブログ記事でも、30分掛けて書いたものは30分時間軸が巻き戻る事になる。twitterでは数秒から数分前の情報が頻繁にやりとりされている。これは会話に近いテンポ感だ。
◎teiterはRSSリーダーからニュースリーダーの本命の座を奪った
RSSリーダーは未読の記事がすぐに数百件と貯まってしまい、心理的負担になる。
これに対してtwitterは流れるメディアなので、読まなくても一向に構わない。
よほどの大事件なら、きっとまた誰かがタイムラインで話題にしてくれる。
◎イベント、フォーラム、カンファレンスでのハッシュタグ活用
あらかじめハッシュタグを決めておけば、パネリストが反応を見ながら進行したり、会場からの質問を効率的に拾い上げる事が出来る。twitterは大型会議のやり方まで変えてしまった。最近ではステージ横にツイッターの反応を表示する別スクリーンを用意するイベントも増えている。
summize機能で、ここ数時間のホットな話題の表示も標準で可能にした。
◎Web2.0以降のシリコンバレーのモノ作り
永遠のベータ版、が特徴
◎これからのジャーナリズム
・リンクジャーナリズム
・コラボレーティブジャーナリズム
・オープンソースジャーナリズム
・プロセスジャーナリズム
◎リンクジャーナリズム
リンクにコメントを足して投稿。既存のジャーナリズムにとっては画期的。新聞社は他社の記事を引用しないし、リンクしないというこれまでの常識が崩れた。
◎プロセスジャーナリズム
これまでのジャーナリズムは完成品ジャーナリズム。プロセスジャーナリズムは過程を報道し、間違いは逐一訂正。他者による補足や伝搬によって上書きされていく新たなジャーナリズムの形。
◎ネットで情報の裏取り(確認作業)を依頼するサイト
役所に情報公開を請求すると「紙爆弾」と呼ばれる、嫌がらせ的に大量の資料がやってくる。TPMというサイトは調査協力を読者に求め、ソースをオープンにし、ネットワーク化された人々で協力する。このようなクラウドを利用した調査報道は今後もっと注目されてもよい。
◎速報の死、編成の死
速報の死とは通信社の死と同義語だろうか。これまでAP通信やロイターに頼っていた外報がtwitterならすぐ。メディアが速報主体の座から降りつつある。
編成の死とは、完成品メディアが持つ「枠」の限界。TVなら時間の枠、新聞なら紙面の「枠」との制約の戦い。しかし電子メディアには「枠」がない。
これまでのマスコミの役割のいくつかはプロセス・ジャーナリズムに委譲され、完成品メディアは差別化のために文脈重視にならざるを得ない。雑誌はWEBに飲み込まれ、新聞は雑誌に近付く。
◎書籍は元々完成されたストック型のメディア
元々文脈が全ての、ネットから切り離せるスタンドアローンなメディア。今後電子化されても、内容はストック型で固定される。twitterとの共存は簡単だが、難しいのは自覚のない紙の雑誌や新聞。
◎twitterは記者の手離れがいい
リアルタイムという性質上、シンポジウムなどが終わればその時点でお役御免となる。これが一般的な報道であれば仕事場に戻って記事としてまとめる必要がある。twitterならば、主催者側の懇親会に出席したりなどして、さらに情報交換ができる。
◎teitter中継は文章の巧拙が気にならない
そもそも「会話」のニュアンスとして受け入れられる上に、文が短いので長文のような起承転結は気にならない。なのでアマチュアと本職記者の差はあまり出ない。
◎140の文字数制限は携帯のショートメール由来
日本語は漢字があるので、英語のアルファベットより多くを伝える事が可能。
◎形式的な挨拶が不要
140字の文字制限から、形式張った挨拶などのコミュニケーションの無駄を省ける。用件だけでカジュアルに使える。
◎2006年頃すでに「若い子はメールなんか使わない」
実際、米国の若い子はもう電子メールなんか使っていない。ラジオのDJでさえ「twitterをフォローしてくれよな」という時代。
◎企業/個人向けの区別はもはや意味がない
大手メーカー米P&GのCEOが2008年に話していた。社内の画像共有には「Flickr」を、コミュニケーションには「facebook」を使っている。「これら以上の物は社内では作れない。有効性と意味でこれらを上回る物は世界に存在しない。情報漏洩はモラルの問題」と言い切る。いまの時代、社内でシステムを作るのは馬鹿げてる。水道会社があるのに社内で井戸を掘るようなものだ。
◎英語でも気ままに掛ける
文字数制限があるので、三人称の「s」とか冠詞とか気にせずどんどん使って行くべき。自分の意見を英語で言う練習の場によいだろう。
日本語は抽象度の高い高度な思考に適しているが、論理性を追求するには英語のほうが合っている。思考は日本語で、情報共有は英語で、というように使い分けて行くとよい。
◎twitterが面白くなるしきい値
面白くなるのは、純粋に知っているユーザが増えるから。ネットワーク効果の様な物で、あるしきい値を越えると、とたんに人がつながり出す。
◎iPhoneアプリの開発にはtwitterが欠かせない
開発者の情報交換に駆使できる。「iphone_dev_jp」というメーリングリスト的アカウントがある。
プログラミング部分でも役に立つが、特にApple非公開の「審査基準」情報が他の開発者の実体験情報として貴重。
プログラマーは新しい技術に抵抗がないので、twitterとの親和性が高い。特にフリーのプログラマーは自由に発言出来る。企業内のプログラマーは守秘義務があるので自由に発言できない。
◎twitterは元々は日本発のRubyで開発
まつもとひろゆき氏が開発した「Ruby」をベースとするフレームワーク、Ruby on Railsで開発。スピーディーで生産性が高い言語。しかしユーザーが増えるに従ってパフォーマンスに難点が。
その後一部「Scala」への書き換えに踏み切る。ScalaはJava仮想マシンを実行環境とするプログラム言語で、並列処理に向く。
◎twitterを構成する主なソフトウェア、サービス
・有料サービス/AmazoneS3、AmazoneCloudFront
・無料サービス/GoogleAnalytics
・オープンソース・ソフトウェア/Ruby on Rails、MySQL、Memcached、Kestrel、cache-money、libmemcached、Apache、mongrek、Valgraid、Nagios
◎twitterの将来を見通す重要な視点
1. ソーシャルハブ
2. ライフログ
3. リアルタイムウェブ
4. マーケティング
5. 情報管理
6. ソーシャルソフトウェア
◎「ミクシイ」疲れのような更新の滞りがない
肩ひじ張らずに気軽に自分の目線で使い続けられる
◎マーケティングでの活用
「Cotweet」つぶやきを監視し、社内のオペレーターに振り分けられる。1人で対応しなくても、組織として公式アカウントに対応出来るメリットが。組織的な対応には企業向けのtwitterクライアントが必須。米ジェットブルー航空のCotweetを使った素早い対応が有名。
◎リアルタイムでのマーケティング効果測定
2009年1月のスーパーボウルで、試合中のCMに対するつぶやき件数の推移をグラフ化し、CM効果を可視化する分析を複数の広告代理店が行った。
◎マーケティングプラットホーム
twitter、Youtube、Facebook、ブログなどの複数のソーシャルメディア全体で人々の口コミを分析する「マーケティングプラットホーム」が進みつつある。twitter単体での分析ではなく、他のメディアとどのように連動しているか、という観点で総合的に分析され始めている。
◎企業向けの「twitterクローン」に拡大波及
企業内だけで利用出来るtwitter類似サービスのグループウェア的なマイクロブログ。
企業内サーバー設置型/オープンソース「しゃべる」、サーバー製品「IBM Loutus connections」
SaaSモデル/「Social Text」、「Yammer」、「WizeHive」、「SAMART4B」
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