独自LLMの構築で重要になる3つのポイント

 従来のAIと生成AIの最大の違いは、土台になる学習モデルにあるといえる。従来のAIは「機械学習」をベースとして様々な知識を学習していた。そのため、タスク別に大量のラベル付きデータを準備し、タスクに合わせた学習を1から行う必要があった。

 一方の生成AIは、膨大なラベルなしデータを学習して構築した「基盤モデル」をベースに、プロンプトによって与えられたタスクを処理する。チューニングも、少量のラベル付きデータがあれば実施可能だ。これが、以前のAIに比べて簡単に業務適用できるようになった大きな要因といえるだろう。

 この特性を軸にして、生成AIの活用シーンはどんどん広がっている。また最近は「汎用サービスの利用」から「独自LLM(大規模言語モデル)を構築して利用する」方法へと焦点が移りつつある。そのための環境構築に悩んでいる企業は多いはずだ。

 ポイントは大きく3つある。第1は「信頼性」だ。基盤モデルの精度は、学習するデータの信頼性に依存する。データが偏っている、もしくは不完全な場合は、AIの予測や判断の精度が低下してしまう。第2は「柔軟性」。AIは今この瞬間も進歩しており、法制度や規制も変化し続けている。都度の状況に対応し、常に最適な基盤モデルを柔軟に選択し、利活用できることが重要だ。

 そして第3が「一貫性」である。開発・運用の仕組みやプロセスが確立されていなければ、思うような成果は得られない。システムを拡張する場合にも一貫性を確保することが肝心だ。さらに、基盤モデルは学習を繰り返して成長させていく必要がある。これを支えられる仕組みを、あらかじめ考慮して設計することが肝心なのである。

 これらのポイントを満たす方法について、次ページで詳しく見ていこう。

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