DX推進に必要な「環境」と「道具」をそろえ、業務現場での活用を後押し
生成AIへの期待がますます高まっている。文書やコンテンツの自動生成、データの検索や共有、アイデアの創出など様々なビジネス活用が可能だ。しかし、一部の部署や限られた業務のみといった、限定的な利用にとどまっている。その可能性をデジタルトランスフォーメーション(DX)につなげていくためには、利用のすそ野を広げることが大切だ。
笹部 理氏
そんな中、生成AIの“民主化”を進め、DXを加速させている企業がある。創業から100年以上の歴史を誇る化学品メーカーの日本曹達だ。同社はDX戦略を推進し、その一環として生成AIを活用する。「業務をクリエイティブなものに変えていくため、生成AIに着目しました。DXを後押しするために、会社は『環境』と『道具』を揃えることが重要です」。こう話すのは同社取締役 常務執行役員の笹部 理氏だ。
まず研究開発部門の現場から生成AIの利用をスタートし、業務効率化など大きな成果を上げた。注目すべきは、取り組みがこれだけにとどまらない点だ。新たなフェーズに移行し、今はバックオフィス業務も含めた全社活用を推進している。
同社はいかにして生成AIの“民主化”を実現し、その活用文化を育んだのか。次頁以降ではその方法を詳しく紹介したい。