公開日:2017/11/10
円満退職の方法について
ご登録者から退職についてのご相談も頂きます。在職企業での社歴、ポジション、上司との関係性などの状況によって様々な退職プロセスがあります。
退職者本人にも本意ではないのですが、結果的にはトラブルや険悪な状況になり、同僚・後輩などの関係性すら疎遠になって退職する方も存在します。
お伝えしている結論は「辞めた会社に立ち寄れて、歓迎される状態」を目指して欲しい。
海外で活躍している日本人のネットワークは業界によっては狭い場合もあり、前職での評判や評価が次の転職先に伝わる場合もあります。
逆に書類選考で一旦NGの方が前職での良い評判を理由に面接や内定を勝ち得ている場合もあります。
例えるならば夫婦の離婚同様にお互いが本当に納得していない状況ではあっても、双方がマイナスのエネルギーを浪費しないための配慮や工夫は必要になります。実はどんな企業側から強い引き留めにあっても、従業員が退職する権利は絶対的な権利になります。雇用拘束は日本の労働法もベトナム労働法も出来ないです。
引き留めがある場合でも強い意志を持って臨むことで、スムーズな円満退職につながる場合が多いです。
以下の5つのポイントのご注意頂きたいです。
1点目:退職を伝えるタイミングについて
現職企業の就業規則などに規定されている場合はございますが、1.5ヶ月前~3ヶ月前に直属の上司に伝えて頂きたいです。(ベトナム労働法では有期契約では30日前迄、期間の定めがない契約では45日前迄と規定されています)
できれば業務の繁忙期は避けて頂きながら、引き継ぎ・後任人選など会社には迷惑をかけたくないため協力する姿勢を伝えて欲しいです。海外法人の場合は本社への報告義務がある場合もあります。
その際に退職日程については合意を得ることが前提ですが、ハッキリといつまでに退職したいとお伝えして欲しいです。
2点目:退職相談の切り出し方
退職意思を上司に切り出すポイントは改まった場を設定する点になります。「ご相談がありお時間を頂戴したい」「落ち着いてお話したい事がある」など、できれば社内とは言え、メールなどでアポイントを取って頂きたいです。
通常のミーティング中に切り出されても上司自身が消化しきれないため、感情的な引き留めなどのリスクが高まります。
最悪のタイミングはお酒の席での会食時や出張から戻ったばかりの朝一番などに急に伝える場合等です。
上司自身の精神状態なども少し想像して、就業時間後や少し落ち着いて話せそうなタイミングを見計らって頂きたいです。
3点目:退職理由について
ポイントはあくまで「個人的かつ前向きな理由」にして頂きたいです。
退職を決意する理由の中にはもちろん、現状に対して何らかの不満があるのは当然のことだが、いくら辞めるからといってこれまでの不平不満をすべて話してしまっては、円満退職への道を自ら閉ざしてしまうような事になります。
最後に今までのため込んでいた不満を伝える事で自己満足は勝ち得るかも知れませんが、逆に待遇改善や部署移動などの引き留めの材料にされる場合や、在籍中の評価を下げるだけでメリットはないです。
例えば「(実家の事情・家族の体調不良により)日本帰国をしなければなりません」とか「すでに自分の希望である○○を行える転職先の企業を見つけており、○月○日付で入社をする約束になっています。会社名だけは、申し訳ないですが入社してからお伝えします」などになります。
※退職を申し出る際には、具体的な転職先の社名は伏せておいたほうが良いと思われます。
4点目:会社からの強い引き留め対策
海外法人の場合は、少ない日本人で複数業務を行っている場合も多く、すぐに後任者へ引き継げない場合があります。別の側面では「会社に自分の管理能力を疑われる」など日本本社側からマイナス評価を恐れたりする上司自身の保身が理由での引き留めもあります。駐在管理者の多くは本社からの評価について気にしてる場合が多いです。
上記理由から強い引きとめを受ける場合にも「お世話になっている事の感謝」を伝えて、「退職の自由は法で守られている権利」である事を念頭に置いて、退職の決意が変わらないことを訴え続けることが大切になります。ひるまない姿勢が重要になります。
場合によっては「同業他社への転職を禁止する誓約書」の提出を求めてくるケースもございます。その際は「職業選択の自由」の妨害にあたります。署名などは拒否して頂ければと思います。
会社と100%円満に退職出来る事は不可能なため、上司から「今後の人生があるためしょうがないな」と受け止めて頂けるような状況を目指して、誠意を持って対応頂きたいです。
5点目:労働許可書や一次滞在許可書(レジデンスカード)について
ベトナム海外法人の現地採用を離職する場合については注意が必要です。「労働許可書」「一次滞在許可書(レジデンスカード)」「海外健康保険」「会社負担の住居」などについては、在籍している方を対象に会社が手配しています。
原則的には退職タイミングと同時に会社に戻す必要があります。
労働許可書は会社が申請している為、会社に帰属しています。退職時にはその許可が無くなります。
次の会社で前職の労働許可書の公証コピーなどを求められる場合もありますので会社には事前にお願いしていた方が安心です。
良くトラブルになりやすいのが「一次滞在許可書(レジデンスカード)」の取り扱いになります。「一次滞在許可書」の役割はベトナムへの滞在・出入国の権利になり、個人の権利とも言えます。とは言え「労働許可書」に紐ずいて申請される為に会社名なども記載されており、会社が管理するとの主張も成り立ちます。
ベトナム日系各社も対応にはバラツキがあります。会社への返還を求める場合もあります。
多くの企業がいずれ期限が無くなるため個人にそのまま渡している現実はあります。
いずれにしても「一次滞在許可書」が無いと「国外への渡航が出来ない」「ベトナムへ滞在する権利が無い」との状態は様々なリスクがあります。
その為に会社側に「一次滞在許可書」の取扱いについては事前に相談・調整する必要があります。
円満退職している場合にはあまり問題にはなりませんが、退職時にトラブルがある場合には丁寧な対応が求められます。「海外健康保険」なども既に保険料を納付している場合が多く、解約などが出来ない場合もあり、企業側に保険料1年分を負担頂いている点も考慮して退職タイミングを考えても良いかも知れません。
以上になります。
大切なのは何らかのご縁があり、在職していた会社への感謝、退職後の会社への迷惑や負荷を最小限にしたいとの気持ちをしっかり伝える事になります。
「因果は巡る」とも言われていますので社会人として誠実に退職して頂きたいです。最後に難しい事ではありますが、「立つ鳥跡を濁さず」を実現できるように努力頂ければと思います。弊社では円満退職方法について具体的なアドバイスも随時行っています。
お気軽にお問い合わせより、ご相談もお待ちしています。