2019年9月　イランでレンタカー旅⑥ゴンバデ・カーヴースとゴレスターン州

現金が無くてホテル代が払えないので、朝8時から開いている Bank Melli Iran へ。田舎すぎて両替する機会があまり無いのか、事務員が集まってちょっとした騒ぎに。時間がかかって、数枚の米ドルがまた大量の札束をになった。

ホテルに戻って朝食。体調不良なので、控えめに。

カスピ海沿いに東へ3時間のドライブ。ゴレスターン州の州都ゴルガーンの郊外にある Botanic Palace Hotel にチェックイン。ネットで見る限りこの州で一番高級なホテル。すでに正午近く。時間が無いので、荷物を置いてすぐに出発。

ゴルガーンからさらに2時間近くかけて、ゴンバデ・カーブースのあるゴンバデ・カーヴースの街へ。ゴンバデ・カーヴースはトルクメン人の町で、明らかにペルシャ人とは違う顔つきをしている人たちがいます。

もう14時過ぎなので、観光前にランチにしました。いつものようにグリルした野菜や肉とライス。
ここの店主はトルクメン人。こちらが日本人だと知ると、シンゾウ・アベはグッドプレジデントだと褒められました。一方で、イランはシリアやイエメン、北朝鮮など貧乏な国ばかりと仲良くしてひどすぎると言っていました。通りすがりの外国人に愚痴を言いたくなるほど経済状況に不満があるようです。

世界遺産369箇所目
ゴンバデ・カーブース

イラン北東部、ゴレスターン州のゴンバデ・カーヴースにある高さ55メートルの塔。1006年にズィヤール朝の君主カーブース・ブン・ワシュムギールの命により建設さた世界で一番高い煉瓦造りの塔です。

塔の中に入って上を見上げると、吸い込まれそうな虚無の空間がありました。

外に出て、改めて見上げてみます。1000年も前にレンガだけで作った塔。

立ち去るのが名残惜しい気がしました。

次の目的地は Khalid Nabi Cemetery 。トルクメニスタン国境に近い山中にある墓地遺跡。ネットの写真を見る限り、変な形の棒がたくさん刺さっていて、不思議な場所。GoogleMap では行き方がよくわからなくて、ガソリンスタンドで街の人に聞いたら、親切にも途中の分岐点まで先導してくれました。

途中、馬が歩いていました。

道はあるけれど、人家は見えない。

途中、道を遮る牛さん。

放牧されているのでしょうか。牛が道路に群れて、徐行を強いられます。

どこかほかの惑星に来たような風景。

すれ違う車はほとんどありません。

今は乾季ですが、雨の季節には一面が緑に覆われるようです。

ゴンバデ・カーヴースから2時間近く。道の終点は山頂の集落でした。
車を停めた駐車場からの風景。

この大地はトルクメニスタンに続いているはず。

少し離れた山に、モスクのシルエット。

時間は18時。日没まで1時間もなくて、街路灯の無い道を数十キロも戻らなければならない不安はあるけれども、あまりの絶景に動けない。

来た道を振り返る。山はかなりの急斜面で道幅も狭くて、帰りのほうがブレーキが利かずに落ちそうで本気で怖い。2日目にかなり車を傷めたので、ここで壊れたら嫌だな。

風雨に削られた地層がずっと続いている。おそらく誰も居ない無人地帯が続いている。

駐車場のある集落から遺跡までは徒歩で尾根道を1kmほど。暗くなりそうだけど、ここまで来たら行くしかない。

道は整備されているけど勾配はきつい。
息を切らしながら15分ほど歩くと、フェンスがあって入り口があった。係員がいて、もう閉める準備をしていたけど、入れてくれた。入場料を払うとパンフレットをくれた。

地面から変な形の石がニョキニョキ生えている。

全部で600以上の石が屹立している。来る前は友人が何かご利益がありそうだと冗談めかしてここに来たがっていたけど、実際に来てみると、冗談を通り越して、ただ凄かった。

地の果てのような風景に、不思議な造形物が忽然と立つ。
ここに来た日本人ているのかな。歩き方には一行も情報は無かった。それどころか、カスピ海沿いの情報自体がほとんど無かった。

夕方、昼でも夜でもない時間。世界の輪郭がぼやけて、人ならざるものに出逢うかもしれない時間。映画で見たそんなセリフがよみがえった。

夜が近づく気配を風に感じながら、尾根道を戻る。

駐車場に戻ると、もうすぐ日が沈もうとしていた。

大地の輪郭が一層くっきりと見える。
これから山を下りて、200km以上の道のりを戻らなければならない。

帰り道でも牛さんに遭遇。

ゴンバデ・カーヴースは経由せず、国道22号線をゴルガーンへ向けて2時間ほど進み、名前もわからない街で休憩。

夕食。肉とトマトののグリルとライス。安くてまあまあ美味しい。
外国人なんて来なさそうなローカルな店。

グリルは店の前で豪快に焼いている。

煙を上げながら豪快に焼き上げる姿があちこちで見られる。
ホテルに戻ったのは22時過ぎ。ものすごく疲れたけど、想像を超える光景に出会えた感動のほうが大きかった。