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    アタカイカと創斃19【罪を罪で洗った町(物語)】

    2022/ 12/ 16
                     
     んー?
     
    今宵は元気そうで良かった。
     
    へへー。お前が元気じゃない!気になるんだぜ。
     
    何年も分からない事だからね…。
     
    じゃあ今日は『アタさんにお悩み相談室』ってな訳で言ってみ~、お前、創作の事は誰にも相談しないだろ?初めてでも良いから相談してみてよ、何年も外装の色が決めらねえんならさ。
     
    そうか…うーん、言ってみるよ。


     では君は物語をつくる際、どう作る?
     
    物語か。
     
    君の好きな物語で良い。

     
    じゃあ…。

     「毒入りドーナツ食って生き物が死にました。毒入りドーナツと言うお菓子に罪を着せる行為をした悪者はなんと、美味しいドーナツの中に釣り針を混ぜても人は食べるのだろうか、と危ない企みを繰り返す罪の意識が薄い生き物でした。偶然、今日はドーナツに毒を混ぜようと自分で美味しいドーナツを焼き上げ自慢の抽出した毒液を染み込ませたのです、其れを公園と町のあちらこちらに置いて生き物は”食べるかな”と気にして居ました。甘い倖せな味がする毒液にどんな味覚も騙されて其れを食した者は倒れて意識を失い寒空の中悲しまれ乍ら素早く心臓を止めました。
     悲しんだ人の中には、其の人を失った事から怨みに暮れ犯人を捜そうと声を大きく張り上げた、残された遺体とドーナツを証拠に公共機関にも提出し、詳しい証拠にして行きました、愛してた者の為に必死に眠らず犯人を捜し続けました。
     季節が変わり数か月後、繰り返された逃亡劇もいよいよ終わり悪の意識を持たぬ生き物は、殺害の起きた町の大きな大きな、誰もが知る広場に連行されました、生き物が”如何してですか”と訊ねても”力尽くは良くないですよ”と諭しても全て手遅れでした、死ぬ日が生き物にも遣って来てドーナツを食べ乍ら死神は笑いました、”お前の死に方は愉快だな”と。

     広場の中央にある犯人捜しの看板、其処に括り付けられそして釘で体を固定されたらもうおしまいです、彼は罪を償うのも待たず悪を知る事も無く最期の感覚を知る間も無く、銃で好きな様に撃ち放題にされ、穴だらけで千切れた悲惨な死骸へと成り果てました。そうして罪が浄化されたので町民は満足でした。

     ”本日の楽しいニュースは此れで最後です”、と或る町民が夜勤の為に寝ようとして居た昼頃、生中継されて居た処刑の現場には生き物の体液が銃撃により弾け飛び散って其れを浴びた、執行者達の骨と血が散乱して同じ罪を背負って死んで居る光景でした。ノイズの走る画面に其の町民は”見間違いか”と笑い、薬を飲んでベッドに倒れこみました。歴史に残る復讐劇として後年も語り継がれる事になりましたとさ。」

     題名は『罪を罪で洗った町』!

     どーよ?

     
    よく纏めたよね笑
    うん、結局事件に関わった人物全員が死ぬんだとは思ったけれど、不真面目そうでそうでも無い様な語り口調が面白いよ。死神や夜勤者等少し変わった登場人物なのも気を引いてくるね。

     是非訊きたいな、物語を結ぶのに君は如何した?

     
    物語を結ぶのか?うーん、こう最後の夜勤者目線はおまけで、事実上はハッピーエンドに見せたんだけど、実際は殺した所で殺し方が雑だから執行者達も死んじゃったよ、『悪いって事も知らない奴を只殺しても今回は面白い事が無いよ』って言う謎のメッセージ的なのを含めたいって考えてたかな。いざ言われると難しいな…。残虐が呼ぶのは残虐って事を伝えたい路線におまけで入ったからね。
     
    伝えたい、かあ…。
     
    まあ、お前の創る物語ってのは機械の歯車みてーなモンだから、此れみたいに死んでハイ終わりとは行かねえんだろうけど、でも何か籠めたいモンとか、こう有るのが良いとか、結局バッドエンドですとか、具体的に何か思えると良いな。
     
    具体的に思う…、難しいね。
     
    其の為にもやっぱあの、何だっけ登場人物の感情とか、主役の基本の構えや思想とか、もっと詳しいのをたくさん見れば良いんじゃーないの?お前は、どんな物語が好きなんだ?

     
    好きな物語は…苦痛の有る物語かな、でも苦痛に塗れて可笑しくなっても、数奇な運命で最悪な結果だけを回避出来たら良いな。好きな物語と言われても分からない…。
     
    あはは、まーな。俺も知らんぺ。
     
    でも分からないよ、僕はあの物語の結びをどう致せば良いのか。
    開始だけハッキリしてる分厄介でね。
     
    ふーん…。
     
    そう、開始はもう決まってるんだ、でも、其処から広がった結果どう終わらせるかが分からなくなってね…。終わりなんて無い物語だし。
     
    じゃあendには『終わりは有りません!』で良いんじゃない?
     
    う、うーん?
     
    終わりがねえんだから、じゃあ無い儘書けよって、其れじゃあ駄目なんかな。
     
    確かに…まあそうだねえ。其の物語が終わってもね、世界は動き続ける。息を吹いた世界が死ぬ事は無い。でも、或る程度の別れが有る。
     
    んじゃあ切りの良いとこでかっちょよくでも切なくでも切って、俺みたいにおまけで『終わってないぜ』って書けばイージャン?きっと丁度良い所は何個か有るだろうしお前なら流れを見て切れるだろ。
     
    多分…。


     
    物語を書く、そんなのありのままで良いんだ!執筆者はお前だろう?書きまくって隠すなり省いて見せなくするなりちょい小技入れて其れでもう物語だし充分だと思うよ…。終わりがどうとかじゃなくて此の物語終わんねー楽しいでお前にはちょーど良いんじゃないの。
     そうだねえ…何かを筒に丸めて入れるのも、最初から全く綺麗に入れようとすると凄く大変だものね。入れるだけなら簡単になる。
     
    そうそう!終わりがねえんなら終わりなんか作んない!此れでいーと俺は思うよ。
     
    終わりが無いのに終わりを作ろうとするのは確かに難しかったな、作るべきは区切りだった。少し判然としたよ、有難うアタ君。
     
    お前…。

     まあ創斃は絵を描いてる時自由だ、そんな気楽な表情をしてる、集中してる時もお前は自由だな。だから、きっと前みたいに物語を書いてる時も楽しくて、集中して自由を感じられると思う、そしたら、何もかも創作とか趣味とかもっと活き活きして出来るよ。
     描きたい儘、創りたい儘、其の儘、望む儘にしてるお前が一番良いパフォーマンスをする。此の姿勢をもっと気弱乍らに貫いてみたらどうよ。
     
    そうしてみるよ、もう少し自分の好みに任せてみる。自分其の物かな…。
     
    そうだぜ!お前は創作者、俺達家族の柱なんだから控えめにするこたぁ無い!寧ろ堂々としてくれても良いのよ、何時も何か謙り気味じゃん?
     
    其処は性格だと思うので許して…。


     
    うん、まあ良いや!お前の物語に結び目は存在しませんので区切りを見つけるだけにして、書けるだけ書くのが良いと思うぜって言う俺からの助言でした。何か少しでも力になれたら良いんだがな。
     
    有難う…。

     
    皆、家族が気長に待ってるでさ、頑張ってな。俺は相談に乗って生活をして器を死なせない事しか出来ないけど、いっつも傍に入るんだしもっと頼れよな。
     
    其の皆に申し訳無くて痛々しくて物語が書けないのも有ったけれど、少し頑張ってみるよ。痛みが無いと進まない性質なのも事実だ。
     
    おう!



     ほあほあんじゃー眠いんでまた!
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