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2007年9月29日 (土)

ジョルジュ・ブラッサンス

伊予の今治では連日真夏日が続いていましたが、雨模様の今日、急に秋めいて来ました。 と言うことでシャンソンに行ってみましょうかw

まずシャンソンの巨星、ジョルジュ・ブラッサンス(1921-1981)。
ムスタキの先輩格の人で、フレンチ・ポップスの大スター、フランソワーズ・アルディも彼の早過ぎた死をことさら悼み、「家族の一人を亡くしたようだ」と述懐したのは有名な話。
中世以来のフランス詩のトゥルバドゥール(吟遊詩人)の伝統を受け継ぐ、現代の吟遊詩人ブラッサンスの名曲をどうぞお楽しみ下さい。

Je me suis fait tout petit

Georges Brassens - Je me suis fait tout petit
 

2本目はホーム・ライヴ・ヴァージョン。これは彼の自宅か?

オーマガトキ盤での邦題は「絶対従順主義」でした。
暴君のように振舞う女性に面と向かってなかなか文句も言えず、さりとてその女性無しではいられない男心を歌った歌。アズナヴール風な恋愛感情の見本のような歌で、それをアズナヴールのような優男ではなく、ブラッサンスのような偉丈夫が無骨に歌うところが良いんです。それに、この素晴らしいメロディ! 初めて聞いてから20年近く経ちますが、折に触れて頭の中でなり続ける歌です。
この曲は、ライスから出ている「シャンソン歴史物語」にも収録されています。当店の西欧コーナー内のシャンソン・コーナーに出ております。

Je me suis fait tout prtit (僕はすっかりいい子)   1955

   どんな奴にも決して
   帽子を脱がなかった僕が
   今じゃ彼女が呼び鈴をならすと
   へいこらしてチンチンまでする
   手ごわい犬だった僕に
   彼女は手掴みで餌をくれる  
   狼の牙だった僕の歯が
   あどけないみそっ歯に変わっちまった

   ルフラン 僕はすっかりいい子をしてる
         寝かすと目をつむるお人形の前で
         僕はすっかりいい子をしてる
         触ると「ママン」というお人形の前で

   煮ても焼いても食えない僕を
   抜け目なく彼女は改心させた
   僕はのぼせ上がって燃え焦がれて
   彼女の口許へ舞い落ちた
   微笑んだり歌ったりするときは
   可愛いい歯をしてるくせに
   怒ったり意地悪したりする時は
   狼の牙をむき出すその口許へ

   ルフラン

   彼女のご機嫌しだいで
   僕はおとなしく尻に敷かれる
   たとえ彼女が人並み外れた焼餅焼きでも
   同じぐらい根性曲がりでも厭いはしない
   可愛いいペリウインクルの花を
   彼女より綺麗だと思ってたと言ったばかりに
   彼女は日傘で突き崩して
   ある日それを枯らしてしまった

   ルフラン

   女千里眼や星占い師を気取って
   正直に僕に言ってくれる連中がいる
   彼女に呪われて
   僕は極刑を受けるだろうと
   むごい憂き目か最高の悦楽か
   そうともどっち道
   それが運命なら
   ここで野たれ死のうがよそで野たれ死のうが

   ルフラン

   共訳:奥地 睦二・佐藤 哲生・小川 和洋

(注)・「ペリウインクル」 青紫の花の咲く蔓性のハーブ。花言葉は「思い出と献身」。古来魔よけのハーブとして用いられた。

『僕はすっかりいい子』にはアズナヴールの好ましい反映みたいなものがある。我等の小柄な市民ケーンの160センチをあてこする訳ではないが・・・。<寝 かすと目をつむるお人形>を前にしたこの従順さは、アズナヴール風な恋情のさまざまな道具立てに、無理なくはまり込むだろう。恋の情熱に目が眩んでゴリラ の手はビロードみたいにふにゃふにゃになり、熊は蜜が欲しさにチンチンするのも厭わない。ブラッサンスは屋根裏でニャーオと鳴くアズナヴールに声を合わせ る。さて爪も立てずに今回は、女の女らしさにオマージュが捧げられる。爪も立てずにか。フーン、早合点かな。<ここで野たれ死のうがよそで野たれ死のう が> と来るんだから。 解説:ルネ・ファレ

訳詩とルネ・ファレ氏の解説はジョルジュ・ブラッサンス全集より
http://www7a.biglobe.ne.jp/~k_ogawa/

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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