ニンテンドーDSソフトのバーチャルコンソール化への期待
「この期に及んで!?」
「ゲームボーイアドバンスのソフトのバーチャルコンソール展開はどうした?」
「3DSで、じゃねえのかよ」
「携帯機のゲームを据置機でやりたい人なんているのかよ」
とまぁ……最初聞いた時は「わけがわからないよ」と戸惑ったのですが、時間を置いて考えてみると「これはこれで面白い試みかな」と思えてきました。バーチャルコンソールが大好きで「全ての過去ソフトはダウンロード購入できるようにして欲しい」と思っている自分にとっては、いち早くDSソフトがダウンロード購入できるようになるのは嬉しいですし、今日は何故「面白い試み」と思えたのかを書こうかなと思います。
1.何故「3DS」ではなくて「Wii U」なのか
バーチャルコンソールは、据置機のWiiで「ファミコン」「スーファミ」「64」「メガドライブ」「PCエンジン」等の過去の据置機のソフトが発売されていましたし、携帯機の3DSでは「ゲームボーイ」「ゲームギア」等の過去の携帯機のソフトが発売されていました(3DSでは「ファミコン」のソフトも出ているけど)。
なので、「DSソフトのバーチャルコンソール展開」ならば「同じ携帯機の3DS」で出るだろうと思っていた人も多いことでしょう。元々、3DSならば後方互換でDSのソフトが遊べますし……
DS用のパッケージソフトとして開発されながら発売出来なかった『ファミコンウォーズDS 失われた光』や、あまりのプレミア化を受けてDSiウェア版で復刻されるという噂の『コロぱた』等。DS用のパッケージソフトをDSiウェアとしてダウンロード販売することは出来ないワケじゃないですしね。
ただ、ですね。
3DSでDSソフトを遊んだことがある人は分かると思いますが、3DSでDSソフトを起動すると「3DSの機能」は使えなくなるんです。「すれちがい通信」もそうですし、「Miiverse」もそうです。詳しくは分かりませんけど、機械の構成上それが限界なんじゃないかと思います。
Wii UでDSソフトのバーチャルコンソール化をするのには、恐らく「DSソフトもMiiverseに対応させたい」という狙いがあるんじゃないかと思われます。
また『ファミコンウォーズDS 失われた光』の時も話題になりましたが、3DSにDSiウェアをダウンロードする際にSDカードの容量を使うことは出来ません。3DSの内部容量を使うしかないんですね。
今、自分の3DSに保存されているDSiウェアの使用ブロックと空きブロックを計算してみたら……内部容量は全部で1057ブロックでした。ちなみに元々パッケージソフトとして開発されていた『ファミコンウォーズDS 失われた光』の使用ブロックは426ブロック。おかげで自分は『絵心教室』などのDSiウェアを大量に削除しなければならず、それでも現在の空き容量が5ブロックですよ(笑)。
『コロぱた』を買う際には、また何か消さなければならないのか……
なのでまぁ、「DSのバーチャルコンソールを3DSで展開する」というのはあまり現実的ではないんですね。一人辺り買えるのが「2本か3本だけ」じゃ意味ないと思いますしね。
あと、後述しますけど……3DSのユーザー層って、DSのユーザー層をそのまま引き継げているワケじゃないんですね。「DSは買ったけど3DSは買っていない」層に向けてWii Uを展開したいという意図もあるのかもと思っています。
2.深刻なソフト不足のWii Uに、バリエーションを加える
なんか……1年前も言っていたような気もしますが、Wii Uはソフトが少ないです。
今まで発売されたソフトも少ないですが、これから発売が発表されているソフトも少ないです。日本のサードメーカーはほぼ撤退状態で、任天堂一社だけで月に2本も3本もHDソフトを出せるワケもなく(3DSのソフトも出さなきゃいけないですしね)、この状況は今後もあまり変わらないと思います。
そうした中で頼れるのが過去の資産ということで……バーチャルコンソールを活用するというのは、去年も「期間限定30円でバーチャルコンソールを売る」とかやっていたような気がするんですけど(笑)、現状で打てる手としてはこれくらいしかないのかなぁと。
その中でも「Wiiでは出ていなかったソフトをWii Uのバーチャルコンソールで出す」のは重要で、一年前に大々的に『MOTHER2』をプッシュしていたり、今週に『マーヴェラス ~もうひとつの宝島~』が出たりと、「Wiiがあれば十分」と思っている人にWii Uを買わせるためにはこういうソフトを増やすしかないんですね。
ただ、「Wiiで出なかったバーチャルコンソールソフト」というのには当然それなりの理由があるのでしょう。権利の問題、特殊チップの問題などなど……ファミコンやスーファミのソフトはこれ以上「Wiiでは出ていなかったソフトをWii Uのバーチャルコンソールで出す」のは難しい。
ゲームキューブやWiiなどの据置機のソフトをバーチャルコンソール化すると恐らく採算の問題が出てくるのでしょうし、「まるごとバックアップ」に対応出来ないとかの問題もありそうですし。
「ならばゲームボーイアドバンスのバーチャルコンソールだー」と一年前に発表されたのですが、これも技術的な問題があってなかなか実現出来ていないと言われていて。
DSのソフトというのは、そういう意味では「いい落としどころ」だったのかなと。
ゲームキューブのソフトよりかはチェックが楽。
なので販売価格も抑えられる。
大ヒットソフトがたくさんあるのでネームバリューもラインナップも十分。
そして何より、「ゲームパッドのタッチパネル」を活かせる。
経営方針説明会の前には、Wii Uの打開策として「ゲームパッドを同梱しないで1万円値下げするのはどうか」と提案している人をネット上で見かけました。禄にWii Uを知らないアンチとかじゃなくて、ちゃんとWii Uを所持している人であっても。
自分は「ゲームパッドなしだと起動すら出来ないゲームがいっぱいあるんですが、それはどうするの……」と思ったのですが、Wii Uを所持している人にすら「ゲームパッド要らなくね?」と思っている人がいるというのは深刻な問題で。
だから、社長説明であれだけ「Wii Uにゲームパッドは必要なんだ」と語られたのだと思います。「ゲームパッド要らなくね?」と思っていた人が「やっぱ要るわ!」と思えるようなソフトを揃えていく戦略の一つに、「DSソフトのバーチャルコンソール展開」もあるのかなと。
3.“Touch!Generations”層の獲得
経営方針説明会の社長説明のページで、「ニンテンドーDSのバーチャルコンソール」の例として登場しているのは『脳トレ』です。
「え?今更『脳トレ』かよ!」と思った人もいると思います。
3DSが出て、3DS用ソフト『鬼トレ』が出て、『鬼トレ』はそんなに売れませんでしたからね。「ブームは去っただろう」と思っている人もいるでしょうし、ブームが去ったのは確かだと思います。逆に言うと、『脳トレ』のためにDSを買っていたような層を3DSは引き継げていないとも言えるのです。
ちょっと話がズレますが……
Wii Uが発表された2011年のE3の頃、自分はもっと“Touch!Generations”的なソフトというかWiiチャンネル的なソフトが出てくると思ったんですね。例えば『お料理ナビ』。本体はリビングに置いてあっても、ゲームパッドをキッチンに持ってきて起動できるWii Uは、もっともっと生活に溶け込むソフトを提案できると思ったのです。
しかし、Wii U用に『お料理ナビ』の新作を作るってのは現実的ではなかったんでしょうね。そんなに売れるとも思えませんし。それはスマホがどうこうとかの理由じゃなくて、2006年の時点で『お料理ナビ』の後追いソフトはことごとく売れていませんでしたから。
ならば――――開発費も定価も上がってしまう「新作」ではなく、安価で提供できる「バーチャルコンソール」で生活に溶け込むソフトを提案していくというのは悪くないんじゃないかと思います。
『脳トレ』や『お料理ナビ』、『やわらかあたま塾』、『えいご漬け』、『眼力』、『アソビ大全』、『ピクロス』、『家計ダイアリー』、『文学全集』……と、ラインナップは豊富。時事問題の多い『常識力』や、据置機では意味がない『旅の指さし会話帳』、専用ペンが必要だった『美文字』は難しいと思いますし。価格次第だと思うのですが……
“Touch!Generations”のソフトを600円くらいで提案出来れば、「高速起動メニュー」と「いつでも中断」と合わさってなかなか重宝するんじゃないかなと思います。
(関連記事:どうして任天堂は“Touch!Generations”を辞めたのか)
もちろん「ニンテンドーDSのバーチャルコンソール化」は“Touch!Generations”だけじゃなくて、“ゲームらしいゲーム”も出していくと思いますが(懐かしい言葉!)。「ゲームパッドだけで二画面を表示できるのか」と「その場合ボタンはどうするのか」という問題もあるので、これは実際のものを見ないと何とも言えないところ。
「テレビ画面必須です」だったら、わざわざWii U使わないで3DSの後方互換でプレイするって人の方が多そうですしね。
4.スマホ&タブレット端末で何をするのか
一見関係のない話だと思われるのですが、自分はここが繋がると思っているので触れておきます。
「プラットフォームの定義を変える」という話。
任天堂は「ソフトを売る」企業です。しかし、その「ソフト」は「専用のハード」を持っていないと買ってもらえないワケですから……今までは「3DSユーザー」「Wii Uユーザー」が任天堂のお客さんだったワケです。しかし、今回任天堂は「これからは3DSもWii Uも持っていない人もお客さんだと考えていく」と宣言しているのです。
<以下、引用>
誤解のないように強調しておきますが、これは、「任天堂のこれまでつくってきたソフトを、単純にスマートデバイスにも供給する」という意味ではありません。
「任天堂ハードをお持ちでない方々も含めて、世の中の多くのお客様に対して、スマートデバイスを通じてお客様とのつながりをつくり、それを通じて任天堂プラットフォームの娯楽の魅力をお伝えし、任天堂プラットフォームに参加していただくきっかけをつくる」という目的で、スマートデバイスを積極的に活用していきたいと考えている、という意味です。後ほど、さらにお話しします。
このように、お客様とのつながりは、今後NNIDで一元管理していくことで、このNNIDを通じたお客様とのつながりを、今後の任天堂プラットフォームと再定義していきます。別の表現をすれば、「プラットフォームがハードに縛られずバーチャライゼーション、仮想化される」ということになります。
</ここまで>
※ 改行・強調は引用者が行いました
スマホ&タブレット端末でどんなアプリを出すのかはまだ分かりませんが、その目的は「NNID(ニンテンドーネットワークID)の拡大」であることが分かりますね。
NNIDを取得出来る人は最初は「Wii Uをインターネットに繋いでいる人」だけでしたが、昨年末に「3DSをインターネットに繋いでいる人」に広がり、今度は「スマホ&タブレット端末を持っている人」に広げようということです。
なので、そのアプリには「NNIDの登録」が必要で、それを活用したものになるとしたら「Miiverseを活かしたアプリ」になるんじゃないかと思います。課金なしの無料アプリでNNID登録者を増やし、Miiverse利用者も増やす――――これが「任天堂がスマホ&タブレット端末でしたいこと」だと予想しておきます。
そう考えると「何故Wii UでDSソフトのバーチャルコンソールを出すのか」と繋がっているんじゃないかと思えてきますよね。
3DSやWii Uを持っていない、でもスマホやタブレット端末でゲームをしている―――という層には、DSで展開していた“Touch! Generations”のソフトもラインナップにあるということをMiiverseを通じて見せることに意味があるんじゃないかと。
もちろん、今更「DSソフトが遊べるからWii Uを買おう!」という直接の動機になることはないと思いますが、「○○と××を遊びたいけどWii U本体を買うのはなー」という人の背中を押すのには、こういう積み重ねが活きてくると思いますんで。
【三行まとめ】
・任天堂としては「NNID取得者」と「Miiverse対応ソフト」を増やしたい
・3DSでDSソフトを配信してもMiiverseに対応できない
・Wii Uならば出来るし、これで少ないソフトのラインナップを補填したい
こんなところですかね。
もちろん「価格」と「どうやってDSの二画面を表示するのか」次第ではありますし、そう言えばローカル・インターネットともに「通信プレイをどうするのか」という問題もありますが。
現状で打てる手としては面白いところを取ってきたなと思います。「そんなことより新作ソフトを充実させろよ」と言う人もいるでしょうが、だってほら皆さん……「新作ソフトを充実させろよ」と言いつつ、『トライン2』が出ても誰もその話をしていないじゃないですか。
哀しいけれど……『トライン2』や『レゴシティ』をローカライズするよりも、DSの大ヒットソフト群をバーチャルコンソール化した方が話題になりそうですしね。
個人的にも、DSはソフトが多すぎてスルーしたものも多いので、安価でダウンロードして遊べるのなら嬉しいです。「安価で」というのがどのくらいかは難しいところですが。600~800円くらいですかねぇ。1000円いっちゃうと購入のハードルは高くなりそうですが、64ソフトが1000~1200円だったのだからその可能性もあるかぁ。
権利的・技術的に出来るかは置いといて、パッと自分が「アレはスルーしていたからバーチャルコンソール化したら遊びたいな」と思いついたのは……『立体ピクロス』『ウィッシュルーム』『どき魔女ぷらす』『すばらしきこのせかい』『ラジアントヒストリア』『くまたんち』『メテオス』辺りですかね。どれもあまり出そうにない!!
| ゲーム雑記 | 17:50 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑
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