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『けいおん!』は百合アニメだったけど、『けいおん!!』は百合アニメじゃないよね

※ この記事はアニメ版1期『けいおん!』全14話及び、2期『けいおん!!』の14話「夏期講習!」までのネタバレと、原作コミックス3巻までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。


 今日の記事は、2期14話「夏期講習!」までのネタバレと……
 原作漫画版との比較を語るので原作コミックス3巻のネタバレを含みます。



 毎週毎週『けいおん!!』の話題ばかり書いていて、興味がない人には申し訳ないです。
 ですが、放送中は大プッシュしていきたいし、何より1年前に書いた↓の記事の“その後”を書かなくてはならないというケジメの意味もこめて今日はこの話です。

(関連記事:『けいおん!』こそ、自分が求めていた百合アニメなのかも


 上の記事は1期5話が終わった直後のエントリです。
 1期5話というのは(正確には、原作のこの辺りというのは)、『けいおん!』の方向性が定まった頃だと思うのです。この作品では「ここまではOKで」「ここからはダメなんだ」と、視聴者(読者)が把握出来た頃だと思うのです。



・ムギちゃんの「百合好き」カミングアウト
・さわちゃんの本性発覚→ 後にセクハラキャラに



 「女のコが女のコを好き」という、言ってしまえば“珍しい”現象に対して―――
 頬を染めてウットリ眺めてしまうムギ、戸惑う澪、「オイオイ、いいのか?」とツッコミを入れる律、何も考えずに誰とでもイチャイチャ出来る唯、可愛いコに可愛い服を着せるために努力を厭わないさわちゃん。

 この五者五様とも言える、みんながみんな思っていることが違うという描き方が自分は好きだったのです。
 そりゃ各キャラがそれぞれ必死に生きているんだから、「百合」の受け止め方もそれぞれ違って当然だし。それが個性だと思うんです。その後に放送された『青い花』も、同様の理由で大好きでした。

(関連記事:『青い花』は「女のコを好きになる女のコ」をあくまで“異質”と描く



 だがしかし、

 2期になって「ムギちゃんの百合好き」も「さわちゃんのセクハラキャラ」も、すっかり陰を潜めてしまいましたよね。さわちゃんの方はそもそも原作にそういうシーンがないというのが大きいと思うのですが、ムギちゃんに関しては原作にあった台詞が意図的にカットされているんです。


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○ 傍観者からプレイヤーへ、「ムギちゃんの物語」
 気付いていた人はとっくに気付いていたんでしょうけど……
 自分は2期が始まってからしばらくは気付きませんでした。


 最初に違和感があったのは、6話の「梅雨!」の回。
 唯が梓に「あずにゃん、ヤキモチ~?」と絡む場面で、律っちゃんも澪も「三角関係か!」と乗っかっていたのですが……ムギちゃんは台詞なしで、後ろでニコニコ眺めているだけだったんです。頬は染めておらず、どっちかというと「仲の良さ」を微笑ましく見ている風でした。

 まー、頬を染めるというのは記号的表現だから、それを避けたのかなとその時は思っていました。



 で、8話「進路!」。
 みんながどこの大学に行くかを話しているシーン、ここは原作だと……


ムギ「私はN女子大に…」
澪「すげー名門だ」
律「でも、なんで女子大?」
ムギ(頬を染めながら)「父親のすすめで…」
澪&律。o(理由はそれだけじゃないな…)



 こんなカンジ。明らかに「百合好き」という前提でのツッコミが入っています。
 ここがアニメだと……


ムギ「私は前話した女子大に…」
澪「凄い。名門だな!」


 と、もののみごとに「百合好き」の部分がカットされていました。
 もちろんカットしたかったのは「父親のすすめ」の部分の可能性もありますけどね。

 ちなみに、この後の「昔の話を聞きたがる」シーンも、原作のうっとりした表情から普通の表情に変わっています。何というか、普通に友達の昔話を聞きたがっている風に直されたという印象でした。



 この他でも、ムギちゃんの「百合好き」が描けるチャンスをスルーしている場面はチラホラ。
 「女同士の恋愛」で言うと、10話の尾行シーンに「(先生の)相手が女の人ということは」と発言して律っちゃんにツッコまれるシーンがあるんですが。その一つだけ。それもうっとりするというより推理しているようなカンジでしたし。1期の頃の執拗な「百合好き」ネタから考えると、やっぱり狙ってそうしているように思えるのです。



 その意図を推察するなら…「2期は路線変更をした」というシンプルなものが、まず思いつきます。

 元々、この「女のコが女のコを好き」という描き方は原作漫画版とアニメ版では結構違うんですよね。
 原作は「男性が妄想する百合」で、アニメは「女性が理想とする仲良し」、という印象を受けます。これはアニメ版のメインスタッフ(監督、シリーズ構成、キャラクターデザイン)が女性というのも大きいと思いますし、監督もちょいちょい「女性が楽しめるアニメを作りたかった」と仰っていますものね。

 そうは言っても、アニメ1期の頃は男性受けしそうな要素は意図的に入れられていたとは思います。
 「萌え萌えキューン!」とか「あったかあったかー」とか。


 ですが、1期のヒットを受けて、2期はもうちょっと原作から離れた位置を取ろうとしていて。
 結果的に「ムギちゃんの百合好き属性」が描かれなくなったのかなぁと思うのです。



 というのが一つ目の説で。
 二つ目は、ムギちゃんの「百合好き」話は「未成長」の証だったのかな説。

 ムギちゃんって、単純なスペックで言えば軽音部の4人の中で最強だと思うんですよ。
 容姿端麗、成績優秀、力持ちで、4歳の頃からピアノをやっていることもあって放課後ティータイムの曲は全てムギちゃんが作曲、家がお金持ち、なのにお茶入れ・掃除・アイロンがけも嫌がらずにニコニコこなし、性格は温和で物怖じしない、太りやすい体型にコンプレックスがあるものの男からすればそれくらいが可愛いし!(笑)


 でも、というか……だから、というか。
 ムギちゃんは軽音部の仲間から一歩引いて“見ている”立場でした。

 元々軽音部に入った理由も、「変な人達の仲間になりたかった」でしたしね(笑)。

(関連記事:『けいおん!』アニメで琴吹紬が担っていた役割を想う


 でも、傍観しているだけではダメな場面が来ます。

 1期11話、澪と律っちゃんがケンカしてしまう回―――
 険悪になっていく二人を見て、梓や唯はそれを止めようとするんだけど……ムギちゃんは何も出来ないんですよね。一番最初に律っちゃんの異変に気付いていたのに。出てきた言葉は「お…お茶にしましょう」だけ。

 律っちゃんの来ない部室で、誰も何の決断も出来ないまま。
 さわちゃんの「代わりのドラムを探したら?」という提案に、「律っちゃんの代わりはいません!」と反対することしか出来なかった―――あの回、メインはまちがいなく律っちゃんでしたけど、実は「ムギちゃんの物語」にとっても重要な場面だったと思うんです。



 傍観しているだけではダメなんだ。
 自分から動かなきゃ―――その成長が形になるのが、12話の「もう1回!」だし、13話のバイトのエピソードなんでしょう。



 そう考えていくと、「百合を眺めてうっとりしている」ムギちゃんが過去のものというのも分かる気がしません?
 そこで2期14話の話題ですよ!
 「私も叩かれたい!」発言ですよ!!


 澪律や唯梓に比べて、「私だけそういうスキンシップがない気がするの!スキンシップ大好きなのに!」発言ですよ!これはもう、「百合を見ているだけじゃ満足できない!私も百合りたい!」と言っているのと一緒ですよね!


 あれ……
 なんか……記事の主張からは外れてきた気もするな…


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○ 薄まる百合色、終わりゆく青春
 唯憂姉妹の描き方の違いなんかも含めて、
 百合色の単純な比較はこんなカンジ?

 原作漫画版>アニメ1期>アニメ2期

 しかし、そうすると「百合の定義って何?」って話になっちゃうんですよね。
 ムギちゃんがスキンシップ取りたい宣言をした際、律っちゃんは「えー、結構引っ付いてないか?」とツッコんでいましたけど。2期は特に唯紬が引っ付いていると思いますもの。2話は後ろから覆いかぶさっていたし、11話は水着で抱きついていたし。

 そういうイチャイチャも「百合」と定義するなら、アニメ2期が一番引っ付いている気もします……
 しかし、精神性を重視するならやっぱり原作版が一番ガチか……


 憂→唯もそうだけど、梓→澪も原作だとガチっぽく描かれているんですよね。バレンタインの回とか。アニメ版だと特にそういう描写もなく(尊敬はしているみたいだけど)、百合色が薄まっていると見ることが出来ますし。逆に梓→唯がガチっぽくなっている気もします(笑)。




 さて、すっかり話題を戻すのを忘れていました。さわちゃんの話。
 1期の頃はかき回すだけかき回しまくるセクハラキャラだったのに、2期はミニスカメイド服を作ってきた後は真人間になってしまいましたよね。これは10話「先生!」で殻を破って豹変するための“タメ”でもあったんでしょうけど……

 2期のさわちゃんは、“視聴者の目線”的な役割を担わされているのかなと思うのです。
 1期の頃にムギちゃんが担っていた役。

 というのも、ムギちゃん含めた軽音部のみんながキャッキャッしているのを、一歩引いたところからさわちゃんが眺めているカットが印象的に用意されているんですよね。さわちゃんが出ている回はほぼ毎回と言ってイイほどに。


 それはきっと「高校生活最後の1年間」を楽しむ彼女達を、かつてその場所にいた身から眺めているということで……2期はセクハラしてる場合じゃないや!ってことなのかなと。1期の頃のように服を脱がしたり、おっぱいを揉んだり、おっぱいで人を判別したりしている場合じゃないや!と。


 ……単純に、自重しているだけという気もしますが(笑)。




 そういうこともあって、1期と2期は随分と印象が変わったなーと思っています。
 もちろんそれが悪いワケではなくて、2期の方が「非ヲタクの人にも薦めやすい」作品になったかなと思うんですけど―――1期から観ている人と、2期から観始めた人では、作品やキャラの印象って随分違うんだろうなーって思ったのです。


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