東京ラストチカ(2) (アヴァルスコミックス)
みよしふるまち
マッグガーデン (2011-03-15)

「東京ラストチカ」2巻が発売されました。
これにて完結。明治の身分差浪漫。1巻ラストで悲恋の匂いを醸し出していましたが。身分が悲恋となるわけでなく花が結核にかかってしまい…というもの。万年筆によって繋がれた2人の恋愛が良かったです。

6
万年筆を借りて

「必ずお返しします」とくれると言った万年筆を返すと言った花。明治から大正に時代が変わる時、やつれた手で最後に万年筆を握ったのは返す為か。エピローグで光亨の机にある手紙から、手紙でのやり取りを伺わせ胸熱。悲恋としては良く出来ていたけど、もっと「身分違い」をクローズアップして欲しかったかも。身分違いのラブがコメる上でのそれぞれの葛藤などをもっと見たかった感はあります。

さて、「よいこの黙示録」1巻が発売されました。
これは1巻にして先が楽しみすぎる超期待大の作品と断言できるほど、マーベラスというもの。

よいこの黙示録(1) (イブニングKC)
青山 景
講談社 (2011-03-23)

帯には「舞台は小学校。30人のコドモと1人のオトナが巻き起こす、悪夢のようにカラフルな新宗教絵巻」と書かれている通り、小学校に宗教を起こすというもの。

新人教師である湯島朝子が担任の産休で受け持つ事になった4年2組。慣れ合い型のクラスですが、リーダー的な人物がぶつかり合ったりし、いじめが発生する傾向もあり。

全てのきっかけは、朝の会での読書発表会。女子のリーダー的存在(?)である篠崎桃華が「ホタルの行方」という本の感想として、この町の川にも昔は蛍は沢山いたけど今では全くいなくなってしまったという感想に一人の生徒が一言。

「多伽羅川って今、蛍いねーの?」
「おっかしーなー、アレはやっぱ作り話だったのかー?」

アレととはクラスでは下級戦士(低く見られてる)中島喬の「夏休みの思い出」。その作文には、多伽羅川で蛍を見た、その蛍は森ユリカが呼びだした…という内容。蛍はいるのか、いないのか…クラスで騒動が起き、先ほどの生徒が「森がもう一回、蛍を呼んで見せりゃーいいんじゃね?」と。この生徒は伊勢崎大介。まさに早熟の天才という感じで、悪魔的な野望を持っていました。

7
軌跡を起こし

森ユリカを教祖にして、このクラスに宗教を興す

さり気にクラスを扇動した伊勢崎の目的は宗教を作る事。この巧みな計画にまんまと乗せられる羽目になった新任担任の湯島朝子。電球をつかってインチキをして蛍を呼ぶという奇跡を起こす事に。

8

森が奇蹟を起こして初期設定完了
奇蹟の演出である。これが実に理に叶ったものでありました。以前に紹介したエロゲ「素晴らしき日々」でも救世主様が最初に取った行動は「奇蹟の目撃」でした。救世主様も見事な自作自演で奇蹟を起こしてみせましたが、「よいこの黙示録」も演出による奇蹟を起こしました。目撃者は数人で良いというのが理に叶っています。

9
目撃者は数人で良い

「篠崎の取り巻きが2人と五十嵐達が3人。その他2人。森と中島以外で7人か。まあ十分かな…

7人で十分。むしろ多いぐらいかもしれませんけど、奇蹟を目撃する人物は「わざわざ足を運んだあいつらが"何を見たいのか"は明白だろ?」と言い切る伊勢崎。この時、奇蹟譚(蛍の光)を見れなかった生徒は口コミで聞き、それが効率的で信者の本能である、と。

そう、完全にドストエフスキーの「悪霊」でしょうか

悪霊 (上巻) (新潮文庫)
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ドストエフスキー
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悪霊 (下巻) (新潮文庫)
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牧者ども、起こりしことを見るや、逃げ行きて町にも村にも告げたり。
人びと、起こりしことを見んとて、出でてイエスのもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、イエスの足もとに坐しおるを見て懼れあえり…

数人に奇蹟を目撃し、あとは尾ヒレつけて伝わる…という。
数々の奇蹟を見せ神になるように。今後は、海に飛び込む豚のごとく、生け贄が必要になってくるのでしょうか。小さな奇蹟には限界がありますので、人をさっくり殺すぐらいは必要かも。

この手のもので外せないのは「恐怖におののく人々」。石をパンにしたように、牛乳を甘くするという第二の奇蹟を起こした森ユリカ。そしてタブー化されて群衆からは「特別な者」であるという認識が広がっていきます。

10
森ユリカの特別視

「呪いだ…」
「殺される…」

恐怖する生徒。
ここまで小学校のクラスにおいてほぼ完璧に煽る事に成功している伊勢崎。その後は、自らが動いて森ユリカの神格化を促します。ある生徒が森ユリカを排除しようろトンボで暴力を振るえば、庇ってみせて信者になるとうそぶきます。

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宣誓

「ぼく―4年2組出席番号3番、伊勢崎大介は、あなた―森ユリカ様を教祖とし、そのおしえにしたがうことをちかいます」
「みんなのせかいをよりよくするために、みんなをみちびくかかり」

信じる者は救われるという下地が着実に構成されています。もちろん信じる者しか救われません。その為の段階を描く1巻ラスト。少しずつ奇蹟を見せて信者獲得でしょうか。しかし、それにも限度があるわけで、今後絶対に核となるのは「予言」ですね。

ペテンと真理の差は"新奇な予言"。
奇異に見えても、その理論から導き出される正しい予言。この予言を次々と当てて初めて成功するというか神というか救世主になりえるわけで。そして、説法を解く必要があるのですけど森ユリカがそんな事出来るのか。今後の展開が期待大すぎるわけですが、下地はきっちりと出来つつあります。

また「よいこの黙示録」は最初にこの宗教化したクラスを後から振り返るといった倒叙形式から物語が始まっている事も注目。何か大きな事件が起きた際のワイドショー(?)のインタビュー的な感じです。

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倒叙形式から始まる

一体どのような事件が起こったのか。
原始であり最終的なものは死生学でしょうか。集団で自決するかポアか。何にしても大事件を起こすようであり、今後に注目です。

まあ、何よりも特筆すべきは湯島朝子がムチムチプリンプリンで劣情を抱くという事。

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むちむちプリン

なんてエッチな体付きなんでしょうか。
湯島朝子先生は、パンチラやブラチラやシャワーシーンなどオレ好みの大活躍を何度も繰り広げるわけです。うっひょーとガッツポーズを取る事は請け合い。しかし、一つ残念なのはエロ要員が湯島先生だけという。

結論として、もっと女子小学生がパンチラすべきである、と。

よいこの黙示録(1) (イブニングKC)
青山 景
講談社 (2011-03-23)