官公庁の政策や法令改正に対して、事前に要望を伝えられるように(建前上は、官公庁が事前に広く意見を聴取するために)最近増えてきているパブリック・コメントが2つあったので、ここで紹介。まずは国土交通省の道路局が出した
高速自動車国道法施行令の一部を改正する政令案に関するパブリックコメントの募集について(国土交通省・道路局)
かいつまんで書くと、いわゆる「新直轄」で整備が進められている高速自動車国道の開通後の管理費etcを誰が負担するかということについて定めるというもの。
え?何をいまさらと思ったので関係法令を再チェックしてみる。まず新直轄がいわゆる「高速道路」と違う点は、「国と都道府県が費用負担して作る」のうち、国等が作る根拠となっているのが、高速自動車国道法の第6条、
> 高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、(中略)その他の管理は、国土交通大臣が行う。
だ。(法体系上は、むしろ高速道路会社の建設する方がイレギュラーな扱い。道路整備特別措置法の第3条で、この「定めにかかわらず」という規定で(はしょって書くけど)高速道路会社に権限が与えられているわけで)
で、この費用の負担について書かれているのが今回のパブリック・コメントにある高速自動車国道法施行令。この第11条で、
> 高速自動車国道の新設又は改築に要する費用についての国の負担割合は、4分の3(道の区域内にあつては、10分の8.5)とする。
とあって、なぜかここで費用負担を行う対象に、法と施行令に食い違いが出ていたのだ。つまり、法で定められている国の行う範囲を大雑把に書くと「新設+改築+管理」なのだが、施行令で定められている費用負担の割合を行う範囲は「新築+改築」までだったのだ。
今回、この施行令を改正して、費用負担を行う範囲を法に合わせて管理(維持・修繕等もあるけど、大雑把にひとくくりにしちゃいます)まで広げようというもの。そして、それについての意見を求めると言うもの。
いやあ、むしろ今まで棚上げになっていたことを知らずに驚いた。
てっきり整備のスキームを作ったときに、管理についても含めて1:3という比率を決めたものだとばかり思いこんでいた。妙に勘ぐってしまうのは、もしかして地方は自らの管理負担を新直轄が導入された当時に考えていなかったのではないだろうか(もっとも、これは直轄国道の例を考えると、さすがにそのような甘い考えは無かったと思うが)。あるいは、マジックとも言うべき地方交付税の重点配布が管理のお金については切り離されちゃうのかな。ちょっとドキドキするなあ。
もう一つのパブリック・コメントは、山形県の
「山形県中心市街地再生まちづくり基本方針(案)」パブリックコメントの実施について(山形県)
なんだけど、正直言ってあまり中身が無いというかなんというか。
既に中心市街地の空洞化なんて言わずと知れた事実だし、住宅の郊外化に続いて大規模店舗の郊外進出が続いているのもまた事実。その一方で、例えば山形市を見ても七日町や本町でマンションが建つという新たな流れもある。(例:山形市中心部相次ぐマンション建設 活性化へ住民ニーズ模索(河北新報))
かたや、山形→仙台の流れに加えて、将来は米沢→福島という流れも見えてくるだろうから、これまでの「市内中心部に住む人」→「郊外の大型店」というお金の流れ、商店の空洞化に加えて、「県内に住む人」→「県外の大都市」という流れもできあがるだろうね。
今回の案にある
> ◎これまでの実践の芽を伸ばし、商店街全体として独自の強みや競争力を発揮しうる、
> 戦略的な取組みへの発展化を促進
> ◎消費者・生活者を起点とした取組みへの発展化を促進
というのが絵に描いた餅にならなきゃいいなと思うけど、読んでいて残念なのは、餅の絵にすらなっていないような気がするんだよね。あくまで「方向を示すもの」っていうのはわかっているんだけど。