映画『メアリと魔女の花』はニセモノなのか(前編)
完了しました
赤い館村に引っ越してきたメアリ(声・杉咲花)は、森の中で青く輝く不思議な花を見つける。それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の花だった。花の力で不思議な力を手に入れたメアリは、ほうきに乗って雲間にそびえ立つ魔法世界の最高学府エンドア大学へとたどり着く。そして、大学への入学が許されるのだが、その時についたひとつの
なぜジブリの名前ではないのか
――映画を拝見しました。米林監督の3作品目ですが、率直に言って一番良いと思います。『思い出のマーニー』(14年)とは方向性が違いますが、米林監督はやはりジブリの伝統を引き継ぐ人だと思う。表現ひとつひとつ、世界観、すべてです。要するに良質なジブリ映画そのものだというふうに僕は感じたわけです。ところが、大きな問題がある。どうしてこれがジブリ映画ではないのか。ジブリの名前で出せなかったんですか?
出せなかったでしょうね。
――もちろん、スタジオジブリは宮崎駿監督が引退宣言をして、制作部門を解散してしまったので、簡単にはいかないと思う。でも、目指すべきだったのではないですか。どうしてできなかったんですか?
どうしてか? ジブリじゃないから、としか言えません。米林監督が『思い出のマーニー』を作り終えた後に、ジブリで彼の新作を作ろうという話はもちろんないし、それが答えですよね。ジブリという組織の答えです。もちろん宮崎監督が引退したのなら制作部門を解散するしかないという判断に、僕はすんなり納得しました。だから、米林監督が映画を作りたいという時に、新しい場所を用意せざるを得なかったですよね。
スタッフの8割がジブリ出身
――でも、スタッフロールの名前を見ていても、『かぐや姫の物語』(高畑勲監督、2013年)『思い出のマーニー』をプロデュースしてきた西村さんご自身を含め、ジブリ作品を支えてきた人ばかりではないですか。実際、どのくらいのスタッフがジブリ出身者なんですか?
終盤は作業工程によっていろんな方に関わってもらいましたけれど、やっぱり8割ぐらいはジブリ作品の経験者ですね。クリエイターなんかは、ほぼそうなっている。制作進行スタッフや間接部門も含めて、まあジブリですよね。別にカウントしたわけじゃないですけど、感覚的には8割くらいかな。
――やっぱり。
メインスタッフは音響効果まで、ほぼジブリ作品経験者ということですね。