地域の力を結集しての芸術事業 学生を巻き込むメリットとは?

マイスターです。

大学間の連携に関する報道が多い今日この頃ですが、そんな中でも、特に「楽しい連携」を見つけましたので、ご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「3大学などとOEKがオペラ上演へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20071129wm04.htm
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出演者やスタッフ、舞台設営など地元の総力を結集して歌劇「カルメン」を金沢で上演する試みが、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のプロデュースで動き出した。金沢歌劇座(旧・金沢市観光会館)の改称記念としての企画で、得意分野の技術と能力を持ち寄りオペラの舞台を作り上げる「実験的で野心的」な取り組み。

音楽はOEKが担当し、舞台制作や衣装は金沢美術工芸大、照明技術は北陸先端科学技術大学院、メークは金沢市の美容専門学校の金沢ビューティーアカデミーなど、それぞれの得意分野で協力し、地元の少年少女合唱団も参加する。

石川県出身のオペラ歌手で東京芸大教授の直野資さん(62)(野々市町出身)の協力で、出演者も主役のカルメンは、東京芸大大学院の小泉詠子さん(津幡町出身)、準主役のミカエラは、オーディションで合格した声楽家岩田志貴子さん(金沢市駅西本町)と、ほとんどを“石川づくし”で舞台を作り上げる。

通常、オペラ上演にはオーケストラや出演者、舞台設備などで最低でも約3000万円ほどの経費がかかるが、今回は「自前」のオーケストラが演奏し、学生が舞台製作することなどで経費を約半分にする。

(略)同アカデミーの石小喜美恵・副理事長は「在学中に、実際の舞台メークをする機会はほとんどない。現場を学ぶ良い機会になる」と意義の深さを説明する。

(上記記事より)

その地域の学校が、「得意分野」で地元オーケストラの公演に参加。
その結果、通常ならあり得ない予算で、オペラを上演してしまおうというプロジェクトです。

いかがでしょうか。
読んでいるそばから、わくわくしてくるような試みだとマイスターは感じました。
こういうのは、大好きです。

記事の中で金沢ビューティーアカデミーの方が語っておられるように、実際の上演に関わるというのは、学生達にとってはまたとない学びのチャンスでしょう。

質の高いオペラを実現させようとすれば、かなりの技術が必要になるはず。
その上、本番は地元の方々が観に来るわけで、知り合い達からダイレクトに「評価」を受けることにもなると思います。
プロフェッショナルのオーケストラや声楽家と一緒に作品を作り上げるという経験も、非常に貴重ですよね。
なかなか、大学生の間にこうした体験はできません。

さらに、分野の異なる、普段はあまり接点がない学校の人達と協働できるというのも、大きいと思います。
こういったプロジェクトを通じて、若い芸術家のタマゴや技術者などの間にネットワークができたら、地域にとっても良いのではないでしょうか。
一回こっきりの上演ではなく、次に可能性が繋がっていくかも知れないというのは、素敵です。

今回のこの取り組みは、オーケストラによるプロデュースなのだそうです。
もしかすると、大学などの教育機関が中心になって、こういった企画を巻き起こしていくような仕組みがあってもいいかもしれませんね。

この舞台、「2008年3月7日午後6時半から、金沢歌劇座で開演予定」だそうです。
お近くに住んでいらっしゃる方は、ぜひ観に行かれてみてはいかがでしょうか。

以上、マイスターでした。