さて、日本eスポーツ連合(JeSU)の副会長を務める浜村弘一氏は、カドカワグループにあって週刊ファミ通の発行元として知られるGzブレインの代表であります。その週刊ファミ通が、3月8日発売号にてeスポーツ特集を大々的に組むとのことで、遅ればせながら拝読いたしました。
当該特集記事の中では、1ページ目からJeSUがその発足当初に発していた「プロライセンスを発行して高額賞金の大会を実現」したなどとする表現が使われているわけですが、一方でページを読み進んでゆくごとに;
・「プロライセンスを発行すれば、その人が高度なパフォーマンスを見せられるという裏付けになるので報酬として支払う整理がつきやすい」
・「ライセンスという形にしたほうが、線引きをしやすいという考え」
・「JeSUのプロライセンスがないと、大会に参加した報酬は支払えないの? ー必須ではありませんが、あったほうが報酬と見なされやすくなると思います」
と段々とトーンが怪しくなってゆきます。アレだけ大々的に各メディアにむかって宣伝していた「JeSUのプロ認定で高額賞金の大会を実現」というのは、一体何だったのでしょうか? そして極めツケとなるのがファミ通編集部が直接、景表法を所管する消費者庁から得たコメント;
消費者庁表示対策課長・大元慎二氏:
「esports大会出場者が優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず、景表法で言う"景品類"には該当しない。」
であります。重要なことなので繰り返しますが、消費者庁表示対策課長によれば「大会出場者が優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず、景表法で言う"景品類"には該当しない。」という事であります。これは、私自身がこれまで幾度となく解説を行ってきた「プロ認定なぞなくともゲーマーに報償は出来る」という論と、同一の法令上の運用に基づく説明であります。
このようにコメントする消費者庁担当課長に対して、先日プロゲーマー梅原氏が主催した座談会において浜村弘一・JeSU副会長は、以下のようなコメントを発していたわけです。
規制当局側の責任者である表示対策課長が「プロ・アマを問わず景表法で言う"景品類"には該当しない」と言っているにも関わらず、浜村氏は「JeSUのプロ認定制度は消費者庁の意向を受けて作られた」などとする主張を行っており、何やら話が完全に食い違ってきているワケで、浜村氏と消費者庁担当課長のどちらの言っていることが正しいのか?という疑念が、溢れ出て留まるところをしりません。
この様に完全に混迷をきたしているJeSUのプロ認定制度をよそに、ここ数週間で一気にJeSUの認定制度に依拠しないプロ制度を発足させるゲームタイトルの発表が相次ぎました。以下、各メディア報道より。
三者三様のプロ制度の発足でありますが、共通するのは景表法の適用除外となる「仕事の報酬」としての金銭の支払いを明示した上でプレイヤーに対して報償することを表明している点。これは、以前より私自身が推奨しているプレイヤーへの報償方式と同様であります。
【参考】全てのゲーム会社に考えて欲しい「プロ認定制度」の問題点と新しい提案
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9774274.html
上記のファミ通での記事も含め、JeSUは未だに「ライセンスという形にしたほうが線引きをしやすい」だの「(プロ認定が)裏付けになるので報酬として支払う整理がつきやすい」だのと謎の言説を繰り返していますが、逆に彼等の推奨するやり方がそういう「裏づけ」や「線引き」を必要としているのは、そもそも景表法で禁じられている「高額賞金の拠出」を仕事の報酬という「名目」で回避しようという、一種の「法の抜け道」を探すようなとても正攻法とはいえない手法を採っているからに他なりません。
本来、景表法運用基準に従前より定められる例外規定を真正面から正しく利用するのならば、今回JeSU認定に依拠しない各社が発足を発表した、ゲームプレイヤーとの雇用契約に基づくその仕事内容に相応した「労務報酬の支払い」というのが最も正統なやり方なのであって、この仕組みの元であれば消費者庁担当課長が示すとおり、その金品の提供が「プロ・アマを問わず景表法で言う"景品類"には該当しない」ことは明確であるわけです。
この他、未だその報償方式は発表されていませんが、間近ではサッカーのJリーグが、Electronic Arts社のゲームタイトル「FIFA18」を利用したeスポーツ大会「明治安田生命 eJ.LEAGUE」の開催を発表するなど、先月発足したばかりにも関わらずJeSUが完全に日本のeスポーツの潮流から置いてけぼりとなっているのが現状。利権取りの為に、当初からオカシナ法解釈を振り回し、ウソにウソを重ねたハリボテの制度によって日本の市場全体に上から網をかけようとした方々の「行き着いた先」というべきでしょうか。ますますオワコン化するJeSUの今後の運命や如何に?といったところであります。
【参考】Jリーグ,EA「FIFA」シリーズのeスポーツ大会「明治安田生命 eJ.LEAGUE」を開催。世界大会への出場権を懸けた戦いに
http://www.4gamer.net/games/383/G038320/20180308061/
当該特集記事の中では、1ページ目からJeSUがその発足当初に発していた「プロライセンスを発行して高額賞金の大会を実現」したなどとする表現が使われているわけですが、一方でページを読み進んでゆくごとに;
・「プロライセンスを発行すれば、その人が高度なパフォーマンスを見せられるという裏付けになるので報酬として支払う整理がつきやすい」
・「ライセンスという形にしたほうが、線引きをしやすいという考え」
・「JeSUのプロライセンスがないと、大会に参加した報酬は支払えないの? ー必須ではありませんが、あったほうが報酬と見なされやすくなると思います」
と段々とトーンが怪しくなってゆきます。アレだけ大々的に各メディアにむかって宣伝していた「JeSUのプロ認定で高額賞金の大会を実現」というのは、一体何だったのでしょうか? そして極めツケとなるのがファミ通編集部が直接、景表法を所管する消費者庁から得たコメント;
消費者庁表示対策課長・大元慎二氏:
「esports大会出場者が優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず、景表法で言う"景品類"には該当しない。」
であります。重要なことなので繰り返しますが、消費者庁表示対策課長によれば「大会出場者が優れた技術によって観客を魅了する仕事をし、その報酬として賞金を得る場合、その賞金はプロ・アマを問わず、景表法で言う"景品類"には該当しない。」という事であります。これは、私自身がこれまで幾度となく解説を行ってきた「プロ認定なぞなくともゲーマーに報償は出来る」という論と、同一の法令上の運用に基づく説明であります。
このようにコメントする消費者庁担当課長に対して、先日プロゲーマー梅原氏が主催した座談会において浜村弘一・JeSU副会長は、以下のようなコメントを発していたわけです。
浜村:僕らもなにも官公庁と相談をしていないなんてことをずっと言われていましたけど、消費者庁と話してるんですよ。僕も消費者庁に5回も行って、来ても貰ったし。そこの中でどうやっていけるかというのを議論したんですね。その中で僕らの中もプロなら行けるんじゃないかと思ってたんですけど、ちゃんと消費者庁の方から二つ方法があって、一つは取引付随性のない全然関係ないところがお金を出すなら問題ない。もう一つはプロライセンスなら、判りやすくその人が高度なパフォーマンスを出せるっていうことを言えるんで、報酬として払う。整理がしっかりと出来ますという言い方をされたんですね。なので僕らはその意向を受けて、プロフェッショナルライセンスというのが良いんだねということで議論したんです。
規制当局側の責任者である表示対策課長が「プロ・アマを問わず景表法で言う"景品類"には該当しない」と言っているにも関わらず、浜村氏は「JeSUのプロ認定制度は消費者庁の意向を受けて作られた」などとする主張を行っており、何やら話が完全に食い違ってきているワケで、浜村氏と消費者庁担当課長のどちらの言っていることが正しいのか?という疑念が、溢れ出て留まるところをしりません。
この様に完全に混迷をきたしているJeSUのプロ認定制度をよそに、ここ数週間で一気にJeSUの認定制度に依拠しないプロ制度を発足させるゲームタイトルの発表が相次ぎました。以下、各メディア報道より。
●CyberZ、「シャドウバース」のeスポーツプロリーグを発足--選手に最低給与保障
https://japan.cnet.com/article/35115858/
リーグに参戦する選手には最低収入(給与)として月額30万円を保障する。また年間インセンティブとして、リーグからチームへ総額2000万円を支給するという。
●Supercell,「クラロワリーグ」と「プロ制度」を発表。eスポーツへの本格参入が表明された説明会をレポート
http://www.4gamer.net/games/333/G033329/20180306093/――JeSU(日本eスポーツ連盟)に加盟しますか。殿村氏:今のところ加盟の予定はありません。――日本のゲーム大会には賞金の上限があると思いますが,今回の大会に関しては法的な問題はないのでしょうか。殿村氏:そこには触れないように,賞金という形で支払うことはありません。ただ,チームには一律の助成金と,成績に応じたボーナスを支払うという形で進めさせていただきます。●吉本興業がeスポーツ事業に本格参入。「プロチーム運営」「ゲーム実況」「イベント・大会の開催」を柱に,認知度を向上し世界を目指すhttp://www.4gamer.net/games/122/G012230/20180307053/
吉本興業の所属芸人は契約書もなく,給料も完全歩合制らしいのだが,この3名は契約書を交わし,固定給+出来高払いで活動していくことになる。
[…]ちなみに,吉本興業のeスポーツ事業への参入に,JeSU(日本eスポーツ連合)と関連はなく,今後,何かを一緒にやる予定もないらしい
三者三様のプロ制度の発足でありますが、共通するのは景表法の適用除外となる「仕事の報酬」としての金銭の支払いを明示した上でプレイヤーに対して報償することを表明している点。これは、以前より私自身が推奨しているプレイヤーへの報償方式と同様であります。
【参考】全てのゲーム会社に考えて欲しい「プロ認定制度」の問題点と新しい提案
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9774274.html
上記のファミ通での記事も含め、JeSUは未だに「ライセンスという形にしたほうが線引きをしやすい」だの「(プロ認定が)裏付けになるので報酬として支払う整理がつきやすい」だのと謎の言説を繰り返していますが、逆に彼等の推奨するやり方がそういう「裏づけ」や「線引き」を必要としているのは、そもそも景表法で禁じられている「高額賞金の拠出」を仕事の報酬という「名目」で回避しようという、一種の「法の抜け道」を探すようなとても正攻法とはいえない手法を採っているからに他なりません。
本来、景表法運用基準に従前より定められる例外規定を真正面から正しく利用するのならば、今回JeSU認定に依拠しない各社が発足を発表した、ゲームプレイヤーとの雇用契約に基づくその仕事内容に相応した「労務報酬の支払い」というのが最も正統なやり方なのであって、この仕組みの元であれば消費者庁担当課長が示すとおり、その金品の提供が「プロ・アマを問わず景表法で言う"景品類"には該当しない」ことは明確であるわけです。
この他、未だその報償方式は発表されていませんが、間近ではサッカーのJリーグが、Electronic Arts社のゲームタイトル「FIFA18」を利用したeスポーツ大会「明治安田生命 eJ.LEAGUE」の開催を発表するなど、先月発足したばかりにも関わらずJeSUが完全に日本のeスポーツの潮流から置いてけぼりとなっているのが現状。利権取りの為に、当初からオカシナ法解釈を振り回し、ウソにウソを重ねたハリボテの制度によって日本の市場全体に上から網をかけようとした方々の「行き着いた先」というべきでしょうか。ますますオワコン化するJeSUの今後の運命や如何に?といったところであります。
【参考】Jリーグ,EA「FIFA」シリーズのeスポーツ大会「明治安田生命 eJ.LEAGUE」を開催。世界大会への出場権を懸けた戦いに
http://www.4gamer.net/games/383/G038320/20180308061/