共産党の地方議員が全国各地の自治体職員に対し、庁舎内で政党機関紙「しんぶん赤旗」の購読勧誘を続けている問題で、兵庫県稲美町で特別職を除く課長級以上の幹部職員の約8割が赤旗を購読していることが18日、分かった。いずれも共産町議の勧誘に応じたという。ある幹部職員は取材に「慣習と思っていた」と説明。町議らは庁舎内で無許可で勧誘しており、町は庁舎管理規則に抵触する疑いもあるとして今後の対応を見直す方針。
関係者によると、元職を含む共産町議は少なくとも約30年前から、執務室にいる幹部職員らに赤旗の購読を勧誘。現在は町長ら特別職を除く課長級以上の幹部職員29人のうち、約8割にあたる23人が私費で購読している。
産経新聞の取材に応じた幹部職員の男性は「特に読みたくはないが、共産議員と良好な関係を築きたいと考え、10年以上購読している。ほかの職員も勧誘に応じていたので、そういう慣習だと思っていた」と説明する。
町の庁舎管理規則では、庁舎内で物品の販売や勧誘を行う場合、庁舎管理者や町長の許可が必要と定めているが、共産町議らは許可を得ていなかった。
産経新聞の取材に、共産党所属の大路恒町議は許可を得ずに赤旗を勧誘した事実を認めた上で「従来の共産党議員のやり方を尊重し、踏襲しただけだ」と主張。一方、庁舎管理を担当する町幹部は「状況を把握し、総合的に今後の対応を見直したい」としている。