JR西は、福知山線脱線事故後も根強く残る、ミス糾弾への恐れを払拭し、根本的な体質を改善しようと鉄道業界で初めてヒューマンエラーの非懲戒に踏み切る。航空業界では、導入が進み、一定の効果が出ている。ただ、悪質な懲罰対象として残すミスとの線引きが難しく課題も浮かぶ。
「原因究明より責任追及が重視されている」
脱線事故後、原因の背景にあったとされる日勤教育は全面的に見直された。また、オーバーランや遅延といった事故に至らないミスの大半は懲戒処分の対象から外れた。
だが、JR西労組が昨秋行った全組合員を対象にしたアンケートでは、ヒューマンエラーについて、27・1%が「原因究明が重視されているが責任を追及する風潮もある」と回答。「原因究明より責任追及が重視されている」としたのも6・4%あった。4割に迫る組合員が何らかのミス糾弾体質が残るとした。
JR西が、重大な影響を与えたミスや、事故につながったケースも含め故意性がないものを非懲戒とする方針を固めた背景には、こうした根強い体質や、社員の意識改革が思うように進んでいないことがあったとみられる。