「ラストエンペラー」として知られる中国・清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀(あいしんかくら・ふぎ)(1906〜67年)の弟の溥傑(ふけつ)(1907〜94年)とその家族の足跡をたどる展覧会「日中のかけはし-愛新覚羅溥傑家の軌跡」が、関西学院大博物館(西宮市上ケ原一番町)で開催されている。溥傑の次女で同市在住の福永●生(こせい)さん(77)からの寄贈品約千点のうち約50点が展示され、一家が日中友好へ懸けた思いが感じ取れる。22日まで。
溥儀を皇帝とする満州国が建国された後、軍人となっていた溥傑は昭和12年、日満親善の象徴として昭和天皇の遠縁にあたる嵯峨浩(ひろ)(1914〜87年)と結婚。3年後には福永さんが生まれた。だが終戦により満州国が消滅すると、溥傑は兄とともにシベリアに抑留。一方、幼い福永さんは浩とともに中国から日本へ引き揚げ、一家が再会を果たしたのは昭和36年のことだった。
溥傑は日中国交正常化後も、両国の友好のために尽力。会場には溥傑と浩の結婚式の写真のほか、書家としても知られた溥傑の書などが展示されており、平成4年の最後の来日の際に記した「宿愛女家詠即興」には、日中関係について「お互いに期待を寄せ、将来の世代にさらなる名誉と利益をもたらそう」と記されている。福永さんは「父と母は人の心と心の交流を大切にしていた。日中関係は最近悪化しているが、両親の願いを感じてくれれば」と話している。
日曜休館で、開館時間は午前9時半〜午後4時半。入館無料。問い合わせは同館(電)0798・54・6054。
●=女へんに雨、その下に誇のつくりで大を取る