「仕事のプレッシャーが強く、倫理観のたがが外れたとき、より解放感を味わえた」。フィリピンで少女とのわいせつ行為を撮影したとして、神奈川県警が児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)容疑で元横浜市立中校長、高島雄平容疑者(64)=横浜市金沢区=を逮捕した事件。校長退職後も教諭として教壇に立っていた高島容疑者は、四半世紀ほどの間に延べ1万2660人の女性を買春し、「うち1割は18歳未満だったと思う」と供述した。「聖職者」の仮面を脱ぎ捨て、海の向こうでさらけ出したのは、女性の人権を踏みにじる本性だった。(岩崎雅子、小野晋史)
410冊のアルバムに女性の写真15万枚
「長年にわたって大勢の女性を買春している男がいる」。警察庁を通じてフィリピン政府から情報提供を受けた県警は昨年2月13日、高島容疑者の自宅に家宅捜索に入った。
書斎に踏み込んだ捜査員が目にしたのは、女性らの写真がびっしりと貼られ、平積みされた410冊のアルバムだった。
アルバムは1ページにつき写真が6枚。余白には女性ごとに1番から1万2660番までの番号を振り、それぞれの名前、年齢などを綿密に記録していた。写真は1人1枚とは限らず、お気に入りとみられる女性の場合は、1人で二十数枚もの写真を何ページにもわたって貼る気合の入れよう。写真総数は約15万枚にも達し、捜査員も開いた口がふさがらなかったという。
写っている女性の姿はさまざまで、番号の脇に貼られた1枚目の写真は洋服を着て正面から撮影。2枚目以降はその女性の裸や、性交中の様子、他の女性に撮影させたりした写真などもあった。動画は見つかっておらず、あくまで写真にこだわっていたようだ。
用いられたカメラも、昭和63年から平成26年までの26年間という長い年月を反映して、当初のインスタントカメラからデジタルカメラに変化。押収物には、データ保存用の「SDカード」も含まれていた。
県警は家宅捜索後、1年以上をかけて押収した写真を精査。このうち、26年1月ごろに買春して撮影した1人の少女について、小児科医から「13歳程度」との判定が得られたことから、児童ポルノ製造の容疑で逮捕に踏み切った。だが、女性を特定できなかったため、児童買春容疑での立件は断念せざるをえなかった。児童ポルノ製造の時効は製造の日から3年のため、他の女性についての立件も難しいという。
買春ペースは最少でも1日平均6人
行為のたびに写真を撮影していた理由について、「自分の思い出作りのため、記録として残しておいた」と供述する高島容疑者。フィリピンでの買春に目覚めたのは、37歳で首都マニラの日本人学校に派遣された昭和63年4月以降のことだった。
「女性が好きで、他人よりも性的好奇心が強い」と自らを分析しており、マニラ着任から間もなく、買春宿で遊びを覚えたとみられる。